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動詞「ザーナー」(זָנָה)と名詞「ゼヌーニーム」(זְנוּנִים)の初出箇所

動詞「ザーナー」(זָנָה)の初出箇所は創世記34章31節です。ここでは「ザーナー」の分詞形で用いられています。また名詞の「ゼヌーニーム」(זְנוּנִים)の初出箇所は創世記38章24節です。その同じ24節には「ザーナー」(זָנָה)も同時に使われています。

●イェシュアがたとえられた「毒麦」をヘブル語にして考えると、前者の創世記34章31節は「毒麦」を引き抜いてしまった例であり、後者の創世記38章24節は「毒麦」を抜かずにそのままにしておいた例として考えられます。

1. 創世記34章31節

創世記34章31節
彼らは言った。「私たちの妹が遊女(「ザーナー」(זָנָה)の分詞)のように扱われてもよいのですか。」

●創世記34章には、ヤコブの娘ディナがシェケムの町に住む若者シェケムによって強姦された出来事が記されています。そうした状況の中で、ディナの兄のシメオンとレビが悪巧みを図り、シェケムにいる若者たちを欺いてみな殺してしまうということが起こりました。これに対しては、ヤコブははっきりと「あなたがたは、私に困ったことをしてくれて、この地の住民の憎まれ者にしてしまった。」と言い、復讐はさらなる復讐を生むことを教え、叱責しています。しかし、息子のシメオンとレビが「私たちの妹が遊女のように取り扱われてもいいのですか。」という問いに対しては、ヤコブは答えることができなかったのです。

●ヤコブの息子たちはまだ復讐は神のすることであるという教えを学んではおらず、神に祈ることもせずに、感情にまかせて復讐を計ったことは決してほめられることではありません。ヤコブは自分の生涯の終わりの祝福において、長子のルベンは父のそばめと性的関係に陥ったことで長子の権利は認めませんでした。そしてシェケムの若者たちを殺害した第二子のシメオンと第三のレビにも長子としての権利を与えませんでした。そのためヨセフが長子の権利を受け継ぐことになります。復讐はさらなる復讐を連鎖的に招きます。それゆえ、復讐は自分ですることなく、神にまかせるべきことを神の民は悟らなければならないのです。


2. 創世記38章24節

【新改訳2017】創世記38章15~24節
15 ユダは彼女を見て、彼女が顔をおおっていたので遊女(「ザーナー」(זָנָה)の分詞)だと思い、
16 道端の彼女のところに行き、「さあ、あなたのところに入らせてほしい」と言った。彼は、その女が嫁だとは知らなかったのである。彼女は「私のところにお入りになれば、何を私に下さいますか」と言った。
17 彼が「群れの中から子やぎを送ろう」と言うと、彼女は「それを送ってくださるまで、何か、おしるしを下されば」と言った。
18 彼が「しるしとして何をやろうか」と言うと、「あなたの印章とひもと、あなたが手にしている杖を」と答えた。そこで彼はそれを与えて、彼女のところに入った。こうしてタマルはユダのために子を宿した。
19 彼女は立ち去って、そのベールを外し、やもめの服を着た。
20 ユダは、その女の手からしるしを取り戻そうと、アドラム人の友人に託して子やぎを送ったが、彼はその女を見つけることができなかった。
21 その友人がその土地の人々に「エナイムの道端にいた娼婦(קְרֵשָׁה)はどこにいますか」と尋ねると、彼らは「ここに娼婦(קְרֵשָׁה)がいたことはありません」と答えた。
22 彼はユダのところに戻って来て言った。「あの女は見つかりませんでした。あの土地の人たちも、ここに娼婦がいたことはない、と言いました。」
23 ユダは言った。「われわれが笑いぐさにならないように、あの女にそのまま取らせておこう。私はこの子やぎを送ったけれども、あなたはあの女を見つけられなかったのだから。」
24 三か月ほどして、ユダに、「あなたの嫁のタマルが姦淫をし(「ザーナー」זָנָה)、そのうえ、なんとその姦淫(「ゼヌーニーム」זְנוּנִים)によって身ごもっています」と告げる者があった。そこでユダは言った。「あの女を引き出して、焼き殺せ。」

●創世記38章は、ユダは妻が亡くなって喪が明けてから、ある祭りに出かけた話が記されています。そのことを聞いたカナン人のタマルはユダによって後継ぎを得ようと画策します。タマルは遊女に姿を変えます。そして、彼女はユダのために子を宿したます。三か月ほどして、ユダに、「あなたの嫁のタマルが姦淫をし、そのうえ、なんとその姦淫によって身ごもっています」と告げる者があった。そこでユダは言った。「あの女を引き出して、焼き殺せ。」と言いましたが、その相手が自分だったことをユダは知ります。ユダとタマルの間に生まれたのが、ペレツとゼラフの双子でした。タマルがユダとのたった一度の関係をもったことによって、双子を身ごもることができたのは、イェシュア・ハマシーアッハの系譜を引き継ぐ子孫を与えようとした神の格別の摂理でした。

●ペレツ(פֶּרֶץ)はヘブル語で「割り込む」という意味です。双子の出産のときに奇妙なことが起こりました。

【新改訳2017】創世記38章27~30節
27 彼女の出産の時になると、なんと、双子がその胎内にいた。
28 出産の時、一人目が手を出したので、助産婦はそれをつかみ、その手に真っ赤な糸を結び付けて言った。「この子が最初に出て来ました。」
29 しかし、その子が手を引っ込めたとき、もう一人の兄弟が出て来た。それで彼女は「何という割り込みをするのですか」と言った。それで、その名はペレツと呼ばれた。
30 その後で、手に真っ赤な糸を付けた、もう一人の兄弟が出て来た。それで、その名はゼラフと呼ばれた。

●助産婦が手に真っ赤な糸を結び付けた子ではない子が割り込んで出ることによって、ペレツが長子となりました。彼が腹の中で長子の権利を得たのです。これも神の主権的な出来事です。ペレツの弟ゼラフは、後に自らの家系において、全イスラエルを苦しめることになる「アカン」事件によって、恥ずべき家系となってしまうのです(ヨシュア7:16~18、Ⅱ歴代誌2:7)。

●長子ペレツからサルモンが生まれ、そのサルモンと結ばれるのがカナン人の遊女ラハブです。彼女はモーセの後継者ヨシュアがカナン侵攻のための偵察のために二人の使者をエリコに遣わしたとき、その使者をかくまっていのちを救った女でした。サルモンとラハブの間に生まれたのがボアズです、彼の妻もモアブ人ルツです。そしてオベデを生み、エッサイ、ダビデへとつながり、ダビデもウリヤの妻バテ・シェバによってソロモンを生み、やがてイェシュア・ハマシーアッハへとつながっていくのです。

●敵である悪魔の蒔いた毒麦さえも、神はそれを用いてご計画に組み入れられます。イェシュアを裏切ったイスカリオテのユダの行為も、神はご自身の計画を実現させることができるのです。それゆえ、人間的判断で毒麦の存在の有無を決定できないのです。

2019.5.27


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