ἀπολύτρωσις
エペソ書の瞑想の目次
エペソ書の重要語彙のリスト
ἀπολύτρωσις 贖い
- 「贖い」と訳された原語の「アポリュトローシス」ἀπολύτρωσιςは新約聖書に10回使われて、そのうち9回はパウロ書簡に使われています。その基本的な意味は、身代金の支払いによる解放、釈放、あるいは、捕虜、奴隷の買い戻しです。
- 「アポリュトローシス」の概念は旧約聖書と連続しています。第一に、出エジプトという歴史的事件で、神がイスラエルをエジプトの奴隷から解放して、ご自分の民とするということが「贖い」を示すものです。また、第二には、バビロン捕囚からの解放も同じく「贖い」を示す出来事です。そうした流れの中に、新約聖書での「贖い」とは、神が罪人である私たちを、罪と死の中からイエス・キリストの十字架の血潮によって救い出し、神の子どもとすることを意味しています。
- エペソ書では3回、その言葉が使われています。
1:7
「私たちは、この御子のうちにあって、御子の血による贖い、すなわち罪の赦しを受けているのです。これは神の豊かな恵みによることです。」
1:14
「聖霊は私たちが御国を受け継ぐことの保証であられます。これは神の民の贖いのためであり、神の栄光がほめたたえられるためです。」
4:30
「神の聖霊を悲しませてはいけません。あなたがたは贖いの日のために、聖霊によって証印を押されているのです。」
- 他の箇所としては、ローマ3:24/8:23、Ⅰコリント1:30、コロサイ1:14、ヘブル9:15/11:35があります。
- 新約聖書の「贖い」は、イエス・キリストの十字架の血潮によった、神の恵みによる一方的な神の愛に基づいています。御子イエスの血は、私たちの罪を赦し、神の前に義とします。しかしその完成はキリストの再臨を待たなければなりません。しかし、すでにその贖いの日のために、聖霊によって証印が押されています。贖いの完成の時には、私たちのからだが贖われて、キリストの栄光のからだと同じ姿に変えられます。つまり、不死のからだを与えられるのです。
- 関連用語としては、動詞の「アポリュオー」ἀπολύωが66回。「福音書」と「使徒の働き」で、追い払う、釈放する、離縁する、見送る、出発するなどの意味で使われています。
接頭辞の「アポ」を取り除いた名詞の「リュトローシス」λύτρωσις も「贖い」と訳され、3回(ルカ1:68/2:38、ヘブル9:12)使われています。また、その動詞「リュトロー」λύτρωは「贖う」「贖い出す」と訳されて、3回(ルカ24:21、テトス2:14、Ⅰペテロ1:18)使われています。