****** 詩篇は、神と私たちの生きた関係を築く上での最高のテキストです。******

「わたしに帰れ。わたしはあなたを贖った。」

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36. 「わたしに帰れ。わたしは、あなたを贖ったからだ。」

【聖書箇所】44章1~28節

ベレーシート

  • 44章では「わたしのしもべヤコブ」「わたしの選んだイスラエル」、そして「イスラエル」が「エシュルン」と言い換えられます。「エシュルン」という呼び名はイスラエルの愛称(雅名)です。申命記32章15節ではじめて使われますが、同じく33章5節と26節でもその愛称で呼ばれています。
  • この「エシュルン」の語源は、真っ直ぐにする、正しく考える、物事を正すといった意味の動詞「ヤーシャル」(יָשַׁר)から来ています。形容詞は「ヤーシャール」(יָשָׁר)正しい(upright)という意味で、現実のイスラエルにはほど遠い名前です。しかしイスラエルは、主が「だれがあなたのようであろう」(申33:29)と言われるほどに、神に愛された特別な、そして不思議な存在なのです。とても真っ直ぐとは言い難い不真実なイスラエルが、ここでは「真っ直ぐ」を意味する「エシュルン」と呼ばれているのです。

1. エシュルンとその子孫に注がれる「水」と「霊」

  • 43章でも触れた「水」の注ぎについて主は再び言及されると同時に、主の「霊」の注ぎについて言及しています。

    【新改訳改訂第3版】イザヤ書44章3~4節
    3 わたしは潤いのない地にを注ぎ、かわいた地に豊かな流れを注ぎ、わたしのをあなたのすえに、わたしの祝福をあなたの子孫に注ごう。
    4 彼らは、流れのほとりの柳の木のように、青草の間に芽ばえる。

  • 「水」と「霊」には密接なつながりがあります。それは「いのちの回復」「いのちへの刷新」という概念です。エゼキエル書37章には「ひどく干からびてしまった骨が生き返る」というヴィジョンが記されています。そこでは干からびた骨に主の息が吹きつけられることによって、はじめて生き返ります。息がそれらの中に入ることで、生き返り、自分の足で立ち上がるのです。これは再生したイスラエルを意味しています。そして世界各地に散らされたイスラエルの民が故国に帰ってその地に住み着くのです。イスラエルの建国(1948年)の以来、ユダヤ人たちはイスラエルの地に帰って来ています。しかし、彼らは未だ生き返ってはいません。ですから、エゼキエル書37章の預言は、メシア王国(千年王国)において実現される預言と考えられます。
  • 「水」もいのちを芽生えさせる象徴です。メシア王国では地の呪いは消えるために、多くのいのちが本来の在り方を現わすのです。神の栄光がこの地に現わされるのです。神はご自身が約束したこと、宣言したことを、将来において必ず実現させる方です。そしてその証人となるためにイスラエルは選ばれたのです。

    【新改訳改訂第3版】イザヤ書44章8節
    恐れるな、おののくな。わたしが、もう古くからあなたに聞かせ、告げてきたではないか。あなたがたはわたしの証人。わたしのほかに神があろうか。ほかに岩はない。わたしは知らない。


2. 偶像を造り、それを慕うことはむなしい

  • エシュルンをエシュルンたらしめる力は、偶像の神にはありません。それは何の役にも立たない神であり、それを造る者もみなむなしく、恥を見るのです。

    【新改訳改訂第3版】イザヤ書44章10~11節

    10 だれが、いったい、何の役にも立たない神を造り、偶像を鋳たのだろうか。
    11 見よ。その信徒たちはみな、恥を見る。それを細工した者が人間にすぎないからだ。彼らはみな集まり、立つがよい。彼らはおののいて共に恥を見る

  • ここで「恥を見る」(恥を受ける、恥じ入る)というのは、ずっと期待し、信頼してきたことが崩れて失望落胆することを意味します。多くの者たちが共に大きな期待をもって梯子を昇って行ったら、なんとその先がなかったという状況を思い浮かべてみてください。すでに進むことも、降りることもできないのです。これが偶像を作る者たちの運命なのです。

3. 「わたしに帰れ。わたしは、あなたを贖ったから。」

【新改訳改訂第3版】イザヤ書44章22節
わたしは、あなたのそむきの罪を雲のように、あなたの罪をかすみのようにぬぐい去った。わたしに帰れ。わたしは、あなたを贖ったからだ。」

  • 何の役にも立たず、恥を見させられる偶像を頼ることから、「わたしに帰れ。」と主は言われます。22節では「帰れ」ということばが強調されています。原文ではそのことを強調するために「帰れ」を長形の命令形を使うことで表わしています。
  • 原文を見てみましょう。

    画像の説明

普通ならば、赤色部分のように「シューヴー」なのです。

画像の説明

  • この「長形命令形」、ヘブル語の文法書でも説明されることは少ないのですが、あることを強調するとき、また、ある気持ちを強調するときに用いられるようです。ここでは主に「帰る」、主に「立ち帰る」ことが強調されているのですが、それは「さあ、わたしのもとに帰っておいで」「さあ、帰って来なさい」といったイメージかも知れません。
  • なぜなら、そうした「立ち帰り」を可能とするお膳立てが、すでにできているからです。そのお膳立てとは、「わたしは、あなたのそむきの罪を雲のように、あなたの罪をかすみのようにぬぐい去った。」という神のあわれみです。「ぬぐい去った」という動詞は預言的完了形です。イザヤ書25章6節と8節、及び43章25節も、背きの罪を消し去る、かすを濾(こ)すという意味で使われています。イザヤ書においてはきわめて重要な語彙です。「ぬぐい去る」とは罪の赦しを意味します。別の視点からの語彙として、「贖った」(「ガーアル」גָּאַל)とも表現されます。つまり、罪の赦しのための代価が支払われたのだから、「わたしに帰っておいで」と命じているのです。罪を悔い改めるということが強調されているのではありません。むしろ、神に立ち帰ることが強調されているのです。
  • ちなみに、新改訳では、自分の罪から(罪の中から)神に立ち帰ることを、一貫して「罪を悔い改めて」と訳しています。

    (1) イザヤ書59章20節
    「しかし、シオンには贖い主として来る。ヤコブの中のそむきの罪を悔い改める者のところに来る。」──【主】の御告げ──
    (2) エゼキエル書18章28節
    彼は反省して、自分のすべてのそむきの罪を悔い改めたのだから、彼は必ず生き、死ぬことはない。
    (3) エゼキエル書33章14節
    わたしが悪者に、『あなたは必ず死ぬ』と言っても、もし彼が自分の罪を悔い改め、公義と正義とを行い、


    ●新改訳聖書のこれらの訳は微妙に誤解を与えてしまう表現です。原語の「シューヴ」(שׁוּב)は、明確に「罪から神に立ち帰る」ことが意味されているにもかかわらず、「罪を悔い改める」という表現はどういう意味なのか、どういうイメージなのか、それがよくつかめず、「シューヴ」(שׁוּב)に対する自分勝手なイメージを思い描いてしまう懸念があります。これは新約聖書でも同様です。神に立ち帰ることができるのは、すでに罪が赦されているからです。イザヤ書44章22節はそのことを正しくイメージさせてくれる箇所と言えます。


4. イスラエルの贖いの基調は爆発的な喜びをもたらす

【新改訳改訂第3版】イザヤ書44章23節

天よ。喜び歌え
【主】がこれを成し遂げられたから。
地のどん底よ。喜び叫べ
山々よ。喜びの歌声をあげよ
林とそのすべての木も。
【主】がヤコブを贖い、イスラエルのうちに、
その栄光を現されるからだ。

  • 主の贖いのみわざはすでにイェシュアの十字架と復活によって実現しています。そしてその恵みの福音を聞き、異邦人クリスチャンとメシアニック・ジューの人々は喜んでいます。しかし、終わりの日において、神の選びの民であるイスラエルが主の贖いのみわざを悟った時、爆発的な喜びとなります。メシア王国(千年王国)はまさにそのようなことがこの地上に実現するのです。天も地も、その中にあるすべてのものが(異邦人クリスチャンとメシアニック・ジューも含めて)、イスラエルのうちに現わされた主の栄光を見て喜び叫ぶのです。「喜びと楽しみ」、それが「御国の福音」の基調となるのです。
  • イザヤ書44章の神の選ばれたエシュルンに対してなされた主の約束は、繰り返しますが、以下の通りでした。

    【新改訳改訂第3版】イザヤ書44章2~5節
    2 ・・・・・わたしの選んだエシュルンよ。
    3 わたしは潤いのない地に水を注ぎ、かわいた地に豊かな流れを注ぎ、わたしの霊をあなたのすえに、わたしの祝福をあなたの子孫に注ごう。
    4 彼らは、流れのほとりの柳の木のように、青草の間に芽ばえる。


    5 ある者は『私は【主】のもの』と言い、ある者はヤコブの名を名のり、ある者は手に『【主】のもの』としるして、イスラエルの名を名のる。」


    ●5節の「ある者」とは、ヤコブ(エシュルン)の仲間となる者たちのことです。使徒パウロのことばに従えば、イスラエルに接ぎ木された者たちのことです。ここにユダヤ人と異邦人とが共にキリストにある相続財産(祝福)を受けることが預言されているのです。


2014.10.13


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