いちどきに
ヨシュア記の目次
10. いちどきに
【聖書箇所】 10章1節~43節
はじめに
- この10章はヨシュア記の中でも最も長い章です。ここにはまことに不思議な展開、不思議な戦いが記されています。
- この10章のキーワードを42節にある「いちどきに」としたいと思います。「いちどきに」「一気に」「一撃のもとに」と訳されている「いち」の「エハーッド」(אֶחָד)に注目したいと思います。
1. 不思議な展開
42節「ヨシュアはこれらのすべての王たちとその地とをいちどきに攻め取った。イスラエルの神、主が、イスラエルのために戦われたからである。」
- 「いちどきに」、ヨシュアはカナンの地に住む七つの国を占領しました。これまで、一つの国(町)に対して1回の戦いでしたが、ここに至っては、一気に7つの国を占領したのです。これには9章でギブオンの町の住民が変装してイスラエルを騙して平和の契約を交わしました。そのことでカナンの地の5人の王たちが連合してギブオンを攻めようとしました。ギブオンの人々はギルガルの陣営にいるヨシュアのところへ使いを出して支援を頼みました。
- 9章でギブオンの住民がイスラエルと平和の協定を結んだことがそもそもなにをもたらしたかと言えば、相手側の方から戦いをしかけられ、それによって結果的に七つの町を攻め取ることができたということです。一回の出撃でこのような想定外の、不安になるような勝利がもたらされることがあるのです。
- ゲームでも勝ちが続くと逆に不安になるように、向かう所敵なしという状況も不安になるものです。ところが、ヨシュアは8節と15節で本丸としているギルガルに戻っています。自分の立つべきところを知っておりきわめて冷静です。どんなに勝利が続いたとしても指導者にはこの冷静さが必要です。
2. 不思議な戦術
- 10章にあるヨシュアの戦術はほとんど夜襲、奇襲、不意打ちです。それに加えて「雹」によって敵の多くが死んで占領することができたのですが、戦いの時にいつも「雹」が降るとは限りません。時には、雷雨であったりしますが、戦いの時にそれがいつもあるという保証はありません。それゆえ信仰がなければ到底戦うことばできないのです。安定した戦術ではなく、あくまでも神頼み的なところが多分に要求されるリスクの高い戦いです。これが信仰の戦いと言われるものです。
2012.3.27
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