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しかし、ノアは、主の心にかなっていた

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82. しかし、ノアは、主の心にかなっていた

【聖書箇所】 創世記6章8節
ー「第一のパラシャ」(1:1~6:8)の最後の節ー

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【読み】
ヴェノッハ マーツァー ヘーン ベエーー アドーイ

【文法】
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【翻訳】

【新改訳改訂3】
しかし、ノアは、【主】の心にかなっていた。
【口語訳】
しかし、ノアは主の前に恵みを得た。
【新共同訳】
しかし、ノアは主の好意を得た。
【岩波訳】
しかし、ノアはヤハウェの恵みを得た。
【バルバロ訳】
しかし、主のみ前に、寵を受けていた。
【尾山訳】
しかし、ノアだけは違っていた。彼は主の御心にかなっていた。
【NKJV】
But Noah found grace in the eyes of the Lord.
【NIV】
But Noah found favor in the eyes of the LORD.

【瞑想】

創世記6章8節、とても短いフレーズであり、しかも第一のバラシャの最後の節です。「しかし」で始まりますが、この「しかし」は接続詞ですが、その前の出来事を踏まえながら、それと対比させるきわめて重要な「しかし」です。

(1) ノアに向けられた神の好意(ヘーン)
創世記6章で、主は、地上に人の悪が増大して、その心に計ることがみな、いつも悪いことだけに傾くのをご覧になりました。主はそれをご覧になって、地上に人間を造ったことを悔やみ、心を痛められました。そして主はすべてのものを地上から消し去って、もう一度新しくしようと思われたのです。しかし、そのとき、神はひとりの人物に目を留められました。その人物こそ「ノア」でした。彼は神と人とをつなぐ、天と地をつなぐ「一縷の望み」だったのです。

6章8節は「ノアは、主の心にかなっていた」(新改訳)と訳されています。原文では「ノアは主の目の中に恵みを見出した」となっています。「恵み」(「ヘーン」חֵן)とは「自分に対する特別な好意」を意味します。それを新改訳は「主の心にかなっていた」と訳しています。

ノアは周囲の者たちが神から離れ、神を信じる者たちの数が次第に少なくなっていく時代の中にあっても、完全なマイノリティー(少数派も少数派―家族のみ)の状況にあっても、彼は時代の流れに流されることなく、自ら、主体的に、自発的に「神とともに歩んだ人」でした。こうした生き方だけでも、「慰め」を意味する「ノア」の存在が一縷の望みとして光ります。そのノアに対して、主は特別に目をかけられ、特別にひいきされて、地上での新しい出発のために用いられたのです。この神の態度が今回のフレーズにある「ヘーン」חֵןなのです。

(2) ギリシャ語の「カリス」に翻訳された「ヘーン」
さて、神の一方的な好意を意味するへブル語の「ヘーン」は、ギリシャ語では「カリス」χαριςということばで表わします。ギリシャ語の「カリス」は新約では155回使われており、その半数が使徒パウロによるものです。彼は「カリス」ということばを用いて、福音を説明しました。使徒パウロが使った「カリス」の意味は、受けるに値しない罪人に注がれた神の愛、価値なき者に与えられる神の愛顧です。英語でいうなら「グレース」grace 、あるいは、、「特別な好意、親切、愛顧、寵愛、ひいきする、気に入られる、かわいがられる、目をかけられる」ことを意味する「フェイヴァー」favorです。

新約聖書で「カリス」χαριςということばが最初に登場するのはルカの福音書1章30節です。マタイ、マルコには「カリス」ということばは使われていません。この「カリス」はイエスの母となるマリヤに対して語られました。
「御使いは、入って来ると、マリヤに言った。『おめでとう、恵まれた方、主があなたとともにおられます。』」(1:28)このことばを聞いたマリヤはひどく驚きます。しかしそのあと、御使いはこう言います。「こわがることはない。あなたは神から恵み(χάρις)を受けたのです。」

もうひとつ特記すべきことは、「カリスを受けた」と受動態で訳されていますが、原文では「カリスを見出した」(「見出す」は「ユーリスコー」ευρισκω)」と能動態になっていることです。このことは重要です。マリヤは御使いの受胎告知の中に、神の恵みを見出したのです。誰もが信じられないような方法で、天の父が遣わされた御子を受胎するという務めを、マリヤは神のカリスとして見出したのです。この彼女に、信仰によって天と地が、神と人とがつながっていく望みがありました。その意味で、マリヤは神の最高度の好意 favorを受けた人(you who are highly favored!)-「めちゃくちゃうらやましい方」なのです。

ここにノアとマリヤを結ぶ信仰の系譜を見ることが出来ます。この系譜の中に、アブラハム・イサク・ヤコブ、モーセやダビデを含みつつ、そして使徒パウロにつながっていく神の「ヘーン」、「カリス」の系譜が流れているのです。


2013.5.7.


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