しっかりした妻は夫の冠
箴言は「父から子への知恵」、主にある家庭教育の根幹を学ぶ最高のテキストです。
聖書を横に読むの目次
24. しっかりした妻は夫の冠
【聖書箇所】12章4節
ベレーシート
- つい最近のニュースです。香川県でうどんの宣伝のために作った「うどんかるた」の中に「強いコシ 色白太め まるで妻」とあったことで、この表現は不適切だとする一人の人のクレームで販売停止となったそうです。男性目線からの発想であることは明らかで、女性からすると気に入らないのかもしれません。箴言も男性(父、夫)目線から語られていますので、特に、妻の立場にある者からすると、気に入られない表現が目立つのではないかと思います。箴言11章22節の「美しいが、たしなみのない女は、金の輪が豚の鼻にあるようだ」などは、現代の言うセクハラと見なされるに違いありません。
- 前回(11章)は「自分の家に災いをもたらす」父親に対する厳しい言葉がありましたが、12章では4節に「しっかりした妻は夫の冠。恥をもたらす妻は、夫の骨の中の腐れのようだ。」とあり、辛辣な表現です。「しっかりした妻」と「恥をもたらす妻」とが反意的パラレリズムで表わされています。「恥をもたらす妻は、夫の骨の中の腐れのようだ」という部分を、L.B訳は「悪い妻は夫に肩身のせまい思いをさせ、事々に足を引っ張ります」と訳しています。
- また、「口うるさい妻」についても触れられており、そのような妻のことを「したたり続ける雨漏り」(19:13)にたとえています。つまり、家の屋根から雨漏りするほど腹立たしいものはないという意味です。争いを好む女と一緒にいるよりは、「屋根の片隅に住む方が良い」(21:9, 25:24)とも、「荒野に住む方がましだ」(21:19)ともあります。それに対して、「しっかりした妻」(12章)が取り上げられているのですが、そのような「思慮深い妻は主からのもの」(19:14)だとしています。つまり、主が授けてくださるのでなければ、そのような妻を自分で見つけることは難しいのだということを、これから結婚しようとしている自分の息子(あるいは若者)に対して語っているのです。ちなみに、19章14節の「思慮深い妻」と訳された原語は「イッシャー・マスカーレット」(אִשָּׁה מַשְׂכָּלֶת)で、「マスカーレット」は「サーハル」(שָׂכַל)の単女分詞ヒフィル態です。
1. 「エーシェット・ハイル」(אֵשֶׁת־חַיִל)とは
- 箴言12章4節の「しっかりした妻」(口語訳「賢い妻」、新共同訳「有能な妻」)と訳された「エーシェット・ハイル」(אֵשֶׁת־חַיִל)というフレーズは、箴言(12:4)を含めて3回しか使われていません。その3回とは以下の通りです。
【新改訳改訂第3版】ルツ記 3章11節
さあ、娘さん。恐れてはいけません。あなたの望むことはみな、してあげましょう。この町の人々はみな、あなたがしっかりした女であることを知っているからです。【新改訳改訂第3版】箴言 12章4節前半
しっかりした妻は夫の冠。
恥をもたらす妻は、夫の骨の中の腐れのようだ。【新改訳改訂第3版】箴言 31章10節
しっかりした妻をだれが見つけることができよう。
彼女の値うちは真珠よりもはるかに尊い。
●「ハイル」(חַיִל)は、基本的には「力強さ、堅固さ、効果的な働き」を意味します。「イーシュ・ハイル」(אִישׁ חַיִל)で「勇士」を意味します。いわば、この語彙は軍隊用語です。その女性版が「エーシェット・ハイル」だと言えます。「エーシェット・ハイル」は夫に名誉と尊厳をもたらすだけでなく、夫の持っている能力のうちから最高のものを引き出す存在なのです。貴重な存在と言われるのもうなずけます。そのような妻が主から授けられるように祈れと諭しているのです。
2. 「エーシェット・ハイル」の資質
- 箴言31章には「エーシェット・ハイル」(「しっかりした妻」「有能な妻」「賢い妻」)の資質が記されています。
(1) その値打ちは真珠よりも尊い
(2) 夫に幸いをもたらす
(3) 精神的・肉体的にも健康的である
(4) 貧しい人に手を差し伸ばし憐みを施すことができる
(5) 未来への希望を持っている
(6) 主を畏れ、知恵の言葉を語り、そして教える
(7) 家族全体の様子に目を配る
(8) 勤勉である
(9) 夫と子どもたちから称賛されている
- 今日、「女子力」が叫ばれていますが、本当の「女子力」は、主を畏れる者に授けられることを心に留めたいと思います。と同時に、「主を畏れる夫」「主を畏れる父」が求められていることは言うまでもありません。
2015.12.19
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