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詩篇112篇における「堅固さ」を表わす四つの動詞
- 詩112篇には恩寵としての堅固さを表わす四つの動詞があります。それは永遠なるものによって支えられているがゆえに成立する堅固さです。
(1) 6節「彼は決してゆるがされない。」לֹא יִמּוֹט
(2) 7節「主に信頼して、その心はゆるがない。」כּוּן
(3) 8節「その心は堅固で、恐れることなく」סָמַך
(4) 3, 9節「彼の義は永遠に堅く立つ」עָמַד - 順にその動詞を見てみます。
(1) 6節「彼は決してゆるがされない。」
- 「ゆらぐ」、「よろける」を意味するモートמוֹט(mot)に否定の接頭語ローלֹאをつけることによって「ゆるがされない」לֹא יִמּוֹטとなります。これは詩篇の特愛用語でほとんど否定形で用いられます。詩篇30:6の作者は自分が栄えた時に「私はゆるがされない」と言いましたが、それはもろくも崩れ去りました。ゆるぎなさは主によって与えられるものだからです。この「ゆるがされない」は以下の詩篇の箇所で用いられています。 しかも、「決して」の原語は「永遠に」を意味するレ・オーラムלְעוֹלַםです。
- 「あなたの重荷を主にゆだねよ。主は決して正しい者がゆるがされるようにはなさらない。」(55:22)
- 「神こそ、わが岩、わが救い、わがやぐら。私は決してゆるがされない。」(62:2, 6)
- 「神は、私たちわいのちのうちに保ち、私たちの足をよろけさせない。」(66:9)
- 「まことに王は、主に信頼して、いと高き方の恵みによってゆるがないでしょう。」(21:7)
- 「主はあなたの足をよろけさせず、あなたを守る方は、まどろむこともない。」(121:3)
- 「主に信頼する人々はシオンの山のようだ。ゆるぐことなく、とこしえにながらえる。」(125:1)
(2) 7節「主に信頼して、その心はゆるがない。」
- 「ゆるがない」と訳されるクーンכּוּן(kun)は、詩篇と歴代誌の特愛用語です。「確立する」「堅く建てる」ことを意味します。
- 「神よ。私の心はゆるぎません。」(108:1)
- 「どうか私の道を堅くしてください。」(119:5)
- 「あなたのみことばによって、私の歩みを確かにし、どんな罪をも支配させないでください。」(119:133)
(3) 8節「その心は堅固で」
- 「堅固で」と訳されたことばは、「支える」を意味するサーマフסָמַך(samakh)の受動態です。主の支えがあることではじめて「堅固さ」を得ることができるのです。
- 「私は身を横たえて、眠る。私はまた目をさます。主がささえてくださるから。」(3:5)
- 「ひとりの正しい者の持つわずかなものは、多くの悪者の豊かさにまさる。なぜなら、・・
主は正しい者をささえられるからだ。」(37:16, 17) - 「人の歩みは主によって確かにされる。・・その人は倒れてもまっさかさまに倒されはしない。主がその手を支えておられるからだ。」(37:23, 24)
- 「あなたの救いの喜びを、私に返し、喜んで仕える霊が、私をささますように。」(51:12)
(4) 3, 9節「彼の義は永遠に堅く立つ」
- 「堅く立つ」と訳されたアーマドעָמַד(`amad)は、永遠に変わることのない存続を意味します。詩111篇の恩寵用語を参照。