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イスラエルの聖なる方のもとへ帰れ

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22. イスラエルの聖なる方のもとへ帰れ

【聖書箇所】31章1~9節

ベレーシート

  • イザヤ書31章は、30章に続いて、エジプトに頼ろうとするユダの者たちに対して、イスラエルの聖なる方のもとに「帰れ」と呼びかけています。この時代は、北のアッシリヤと南のエジプトの強大な両国に挟まれた中東の国々がどちらの国と同盟を結べば生き残ることができるのかという選択を迫られる危機の中で、それぞれの国が舵取りを迫られるという時代でした。ユダ王国の中にも親エジプトに頼ろうとするグループがあったようです。しかし、そうした「悪を行なう者の家」「不法を行なう者」(31:2)に対して、主はわざわいをもたらすと預言しています。それゆえに主は呼びかけているのです。「帰れ」と。

1. 「帰れ」と呼びかける主

【新改訳改訂第3版】イザヤ書31章6節
イスラエルの子らよ。あなたがたが反逆を深めているその方のもとに帰れ。

  • 「あなたがたが反逆を深めているその方」とは、「イスラエルの聖なる方」であり、また「万軍の主」です。その方がイスラエルの子らの罪の深さにもかかわらず、「帰れ」(「シューヴー」שׁוּבוּ)と呼びかけているのです。
  • イザヤ書で「帰れ」と呼びかけている箇所が他に2箇所あります。驚くべきことに、この呼びかけは意外と少ないのです。

    44:22
    「わたしは、あなたのそむきの罪を雲のように、あなたの罪をかすみのようにぬぐい去った。わたしに帰れ。わたしは、あなたを贖ったからだ。」

    55:7
    悪者はおのれの道を捨て、不法者はおのれのはかりごとを捨て去れ。【主】に帰れ。そうすれば、主はあわれんでくださる。私たちの神に帰れ。豊かに赦してくださるから。

  • これは悔い改めの命令です。これはある意味驚くべきことなのです。なぜなら、本来ならば、主に「助けを求め」、主の力に「より頼み」、主を「信頼し」なければならないにもかかわらず、彼らはイスラエルの聖なる方に「目を向けず」「主を求めない」で、エジプトの助けを求め、エジプトのこの世的な力に頼ろうとしたのです。このことは主に対する許されるはずのない侮辱です。そんな民に対して主は呼びかけているのです。

2. 「帰れ」との主の呼びかけの根拠

  • イザヤ書44章22節と55章7節には、罪の赦しの宣言とその約束が背景にありますが、イザヤ書31章ではいつくかの根拠が語られています。

    (1) エジプトは滅び果てること(31:3)

    ユダの民が頼ろうとするエジプトは主の御手によって滅び果てる運命にあること。事実、エジプトはアッシリヤのセナケリブによって壊滅的に打ち負かされます。そりゆえ、それに頼った者も共に滅ぼされます。主がエジプトの馬や、戦車、騎兵を一掃するためにしたことは、ただ「御手を伸ばすこと」だけでした。

    (2) エルサレムは主によって守られること(31:4~5)

    4~5節は、主がどのような方法でエルサレムのために戦って、その民を守られるかについて述べられています。「獅子」と「若獅子」にたとえられるアッシリヤが「獲物」であるユダの民に向かってほえ、しかも周辺諸国の「牧者」がみなエルサレムに集められたとしても、彼らの声に脅されることのない万軍の主が、戦いのために、天から下って来られる。このことは同時に「終わりの日において」、再臨のキリストがオリーブ山に立ち、反キリストの軍勢を滅ぼしてエルサレムを守り、危機から神の民を救い出し、助けて解放することをも預言しています。聖書の中で実際に起こったことは、終わりの日に起こる出来事のヒナ型なのです。そのことを知っておくなら、旧約ですでに実現した預言の成就は、すでに終わったこととして理解するのではなく、最後に起こる出来事と深くかかわっているということを想起しなければならないということです。

    (3) アッシリヤは倒れる(8~9節)

    8~9節には、あの強大なアッシリヤが神によって倒れることが預言されています。

    (4) 「その日」-イスラエルの子らは偽りの神々を退ける

    その日」(「バッヨーム・ハフー」בַּיּוֹם הַהוּא)は、これまで繰り返して出てきているように、「終わりの日」を意味しています。そのときには、自分のために自分の手で造った罪を犯した偽りの神々を、自ら「退ける」ようになる。必ずそうなるのだからというニュアンスが、主に「帰る」ための要因とされているということです。

    「退ける」と訳された「マーアス」(מָאַס)は、「拒む、軽蔑する、嫌う」ようになるという意味です。


2014.9.10


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