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エルサレム(3) パウロの傍らに立たれる主

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38. エルサレム(3) パウロの傍らに立たれる主

【聖書箇所】 22章30節~23章35節

ベレーシート

  • 23章では、千人隊長がなぜパウロがユダヤ人から告訴されたのかを確かめるため、サンヘドリンという全議会を召集させました。そしてそこへパウロを連れて行き、彼らの前に立たせたのです(23:30)。
  • 23章は大きく二つの部分からなっています。1~10節にはパウロの機智に富んだ弁明によって議会は大混乱し、問題が神学論争へとすり替わりました。そのため、千人隊長はパウロを守るために、そこから兵営に身柄を移すように命じました。議会は混乱しましたが、それを通してパウロは政治的な意味での罪を犯してはいないことが判明したのです。
  • 12~30節には、パウロ殺害の陰謀がパウロの姉妹の子による情報によって千人隊長が知ることとなります。千人隊長はその対処策として、パウロを守るために、すぐにローマの総督ペリクスがいるカイザリヤへと護送付で送ったことが記されています。
  • この二つの間にある11節は、主が特別にパウロの傍らに立って語りかけるという出来事を記しています。この出来事はパウロの生涯における重要な、特別な「夜」として、注目すべき箇所です。今回は、そこに焦点を当ててみたいと思います。

【新改訳改訂第3版】使徒の働き 23章11節
その夜、主がパウロのそばに立って、「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなければならない」と言われた。

使徒パウロの生涯において、きわめて重大な意味を持つ、三つの特別な「夜」があったことをルカは記しています。

1. 16章9節の「ある夜」

  • 八方塞がりの状況で、ある夜、パウロは幻を見ました。それは、ひとりのマケドニア人が彼の前に立って、『マケドニアに渡って来て、私たちを助けてください。』と懇願する幻でした。パウロはこの幻を見たとき、ただちにマケドニアに出かけることを決心しています。なぜなら、「神が私たちを招いて、彼らに福音を宣べさせるのだ、と確信したから」でした。
  • 10節の主動詞は、「ただちに・・へ出かけることにした」の「した」の部分である「ゼーテオー」(ζητεω)という動詞です。この語彙は、本来、「熱心に捜し求める」という意味ですが、ここでは「あることを、熱意をもってしよう」という意味で使われています。「あること」とは、自分たちが「確信したこと」です。「出かけようと熱心に努めた」その理由は「神が私たちを招いて、彼らに福音を宣べさせるのだと、確信したから」なのです。ここの「確信する」という動詞は「スムビバゾー」συμβιβαζωです。この語は、「組み合わす、結び合わす、比較検討しながら最終的な結論を出す」ことを意味しています。さまざまな材料を組み合わせながら、比較検討しながら、最終的な結論を出すということです。
  • パウロはアジアに伝道しようと思いましたが、聖霊に禁じられました。そして消却法的導きによって、ヨーロッパ伝道へと導かれたのです。パウロに与えられた異邦人伝道に従事していくことになる大きな転換点となった特別な「夜」でした。

2. 18章9~11節

18:9 ある夜、主は幻によってパウロに、「恐れないで、語り続けなさい。黙ってはいけない。
18:10 わたしがあなたとともにいるのだ。だれもあなたを襲って、危害を加える者はない。この町には、わたしの民がたくさんいるから」と言われた。

  • この幻の中で、主はパウロに「恐れないで」と語っています。おそらくパウロの心に「恐れ」が生じていたと思われます。その恐れはどこから来たのか、それについては詳しく書かれていません。しかし文脈の流れからすると、会堂管理者がイエスをキリストと信じたことでユダヤ人たちの中に大きな反感が産まれ、それによる迫害が起こる可能性がありました。そうしたパウロの「恐れ」に対して、「恐れてはいけません。かえって、語り続けなさい。わたしがあなたとともにいるからです。あなたを襲って危害を加える者は誰もいません。」という主のことばは、パウロにとって大きな励ましだったに違いありません。それゆえ、パウロは「腰を据えて」、1年半の間、神のことばを教え続けることができたのです。この1年半という長さは、パウロにとって、これまでにない長期滞在でした。

3. 23章11節

23:11 その夜、主がパウロのそばに立って、「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなければならない」と言われた。

  • パウロは議会の中で弁明する機会が与えられました。告訴されている内容を「死者の復活という望みのこと」だと語ったために、そのことについて立場を異にするサドカイ派とパリサイ派との間に意見の衝突が起こり、議会は二つに割れてしまいました。
  • 議会を招集した千人隊長の意図はパウロがなぜユダヤ人に告訴されたのか、その理由を知りたいためでした。千人隊長としてはその告訴の中に政治的な(俗なる)部分があるかどうかを知りたいという思惑がありました。しかし実際に問題となっているのは聖なる部分、つまり、宗教的な事柄であったことが判明しました。それで千人隊長は、パウロを混乱している状況から力づくで引出し、兵営に連れて行くように命じました。
  • その夜」です。主がパウロの傍らに立って、「勇気を出しなさい。あなたは、エルサレムでわたしのことをあかししたように、ローマでもあかしをしなければならない」と言われたのです。
  • 12節以降を見ると分かるように、ユダヤ人はこのパウロを殺すまでは、断食するという決心までして、パウロを殺害する綿密な計画を立てていました。まさに、パウロにとっては逃れる道はないような状況です。そんな夜にパウロは主の声を聞いたのです。明日の命もどうなるか分からない状況の中で、「勇気を出しなさい」と主はパウロを励まされただけでなく、パウロにローマでも主をあかしするようにと語りかけました。このことばは、パウロに対するゆるぎない主のご計画があることを示すものでした。つまり、これからパウロに起こることは、すべてローマの道に通じることを確信させることばでもありました。パウロにできることは、ただ主のことばを信頼して、その時をただ忍耐して待つことしかありませんでした。
  • 「勇気を出しなさい」-これをヘブル語で言うと何と言うでしょうか。「ハザク」(חֲזַק)です。「強くあれ」です。「雄々しくあれ」がつくと、「ハザク ヴェ・エマーツ」です。生存と防衛の保障のみならず、主の力強い励ましです。主に信頼することを呼びかけることばです。旧約で主のために用いられた多くの人々がこの主のことばを聞きました。パウロにとって、この主のことばはどんなに力づけたことでしょう。人のことばではなく、主のことばを私たちも聞くことでしか使命を持って立ち上れない時があるのです。そうした主の声を聞くときが、人生における特別な「夜」と言えます。

まとめ

  • パウロにとって特別な夜があったように、私たちにとってもそうした夜が訪れることを信じたいと思います。
    その「夜」は、自分の歩むべき道が示され、方向転換を迫られる時です。
    その「夜」は、主の復活の力によって奮い立たせられる時かもしれません。
    その「夜」は、将来の神のご計画が告げ知らされる時かもしれません。
  • いずれにしても、それは、はからずも、転機となる時、人生の節目となる時、新たな飛躍につながるチャンスとなる時です。そのような時が主によって備えられているとすれば、そのような特別な「夜」を、私たちはしっかりと信仰をもって受け止めなければならないのです。


2013.9.26


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