エルサレム陥落
エレミヤ書の目次
42. エルサレム陥落
【聖書箇所】 39章1節~18節
ベレーシート
- エレミヤが警告したエルサレム陥落の悲劇は文字通り実現しました。この出来事は列王記第二の最後の章である25章にも記されています。エレミヤ書39章で重要なことは、エレミヤ自身と彼を信じて、自ら王に進言して穴から救い出したクシュ人の宦官エベド・メレクとエレミヤを支えた書記官の息子ゲダルヤと彼の周辺の人々は捕囚されることなく、生き延びることができたことです。
1. エルサレムの徹底的な破壊
- 二年半の包囲(兵糧攻め)の後、エルサレムの城壁の一角が破れ、バビロンの手勢の侵入を目撃するやいなや、ゼデキヤ王とすべての戦士たちは、都を出て一目散にアラバの道へと逃亡します。しかし逃亡の企ては失敗に終わり、捕らえられて、リブラで待機していたバビロンの王ネブカデレザルのみもとに連れて行かれます。そこでゼデキヤの息子たちは彼の目の前で虐殺され、王自身も両目をえぐり出され、青銅の足かせにつながれて、エルサレムに住む者たちとともにバビロンへと連行されました。
- エルサレムは、かつてエホヤキム王がエレミヤの語ったことばを記した巻き物を火で焼いたように、王宮と民の家は(おそらく神殿も)火で焼かれ、エルサレムの城壁は完全に取り壊されました。ここにユダ王国は滅亡したのです。
- 以下は、39章に使われている破壊(破滅)用語についてまとめたものです。
(1) 1節「包囲する」「ツール」צוּר
旧約37回、エレミヤ5回。同じ表記で名詞の「岩」を意味します。
(2)2節「破る」(分ける、突破する)「バ―カー」בָּקַע 堅固な城壁であっても、その一角に破れ口ができることは、そのまま都の滅亡を意味します。したがって「破れた」とは事態の終結を告げることばです。
旧約51回、エレミヤ2回。
(3) 6節「虐殺する」(ほふる、殺す)「シャーハト」שָׁחַט
旧約80回、エレミヤ6回。
(4) 8節「(城壁を)取り壊す」(打ち壊す、引き倒す)「ナータツ」נָתַץ
旧約42回、エレミヤ7回。
(4) 8節「火で焼く」「サーラフ」שָׂרַף
旧約117回、エレミヤ23回。
2. 捕囚を免れ、生き延びた人々
- バビロンに捕囚されることなく、生き延びることのできた人々がいます。それらはみな主を信頼し、エレミヤのことばを信じていた人々でした。
(1) エレミヤ&バルク・・バラクの名前は記されていませんが、いつもエレミヤに寄り添っていた人物です。ネブカデレザルは部下にエレミヤを解放すべく、自由にふるまわせるように指示しました。
(2) クシュ人で宦官のエベド・メレク・・王に進言してエレミヤを穴から助け出した人。彼もエレミヤと同様にいのちを保障されました。18節に「それは、あなたがわたしに信頼したからであるー主の御告げーと記されています。「エベド」は「しもべ」、「メレク」は「王」を意味します。「しもべであり、同時に、王である者」といえば、メシアなるイエス・キリストを指し示しますが、そのような名前を持った人物がエレミヤを助け出したのです。
(3) エレミヤを支えてきた書記官シャファンの子アヒカムの息子ゲダルヤとその周辺・・ゲダルヤはユダに残された者たちの総督としてバビロンの王から任命されました。
2013.4.3
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