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キリストの地上再臨前の大患難

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5. キリストの地上再臨前の大患難

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「人の子は大きなラッパの響きとともに、御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで、四方からその選びの民を集めます。」(マタイの福音書24章31節)

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  • 前回は、地上再臨の有様とその目的について学びました。キリストが地上再臨されるときの有様は、「雲に乗って来られること」、しかも、「天の軍勢を従えて来られること」について学びました。そして、キリストの地上再臨の目的として、その一つは、キリストが神の敵を鉄の杖をもって滅ぼし、神の国、天の御国、御国、キングダムをこの地上に打ち建てることです。もう一つは、この地上において、イスラエルの民も民族的に加わっての「小羊の婚宴」、ならびに、過越の祝いである大晩餐会が催されるということについても学びました。
  • 今回は、時間軸を少し戻して、キリストの地上再臨の前に起こる大患難時代とイスラエルの民族的回心に至るプロセスについて学びたいと思います。メイン・テキストとしては、マタイの福音書24章を取り上げます。

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  • マタイの福音書24章は次章の25章とともに、イェシュアの語った「終末預言」が一つにまとめられています。ここには、ダニエルが預言した「七十週の預言」の最後の一週のことが扱われています。特に、マタイの福音書24章は、上図にあるように、二つの部分からなっています。七年間の患難時代の前半(24:4~14)と後半(24:15~31)のことです。後者の三年半の期間は「産みの苦しみ」「大患難」、あるいは、「終わりの日」とも呼ばれます。
  • 七年間におよぶ患難時代と呼ばれるこの時代が始まる前に、すでに教会はキリストの空中再臨によって携挙されています。ですから、イェシュアをメシアと信じている者たちは、この七年の患難時代にはいないことになりますが、やがてキリストの地上再臨と共にこの地上に降りてきますので、その間、地上ではどんなことがなされていたのかを知っておくことは重要です。特に、神に選ばれたイスラエルの民に対する神の真実がどのようにして実現されるのかを知ることは、千年王国を生きる上できわめて重要なことなのだと信じます。ですから、無関心であってはならないのです。
  • 七年間の患難時代が置かれているその目的は、神の民であるイスラエルが最終的に神に立ち返るためであり、どうしても必要な産みの苦しみなのです。旧約聖書においては、神の民であるイスラエルとユダの民の回復を繰り返し、繰り返し預言しています。ところが、聖書を読んでもそのことになかなか気づきません。それは、置換神学の弊害によるものです。イスラエルとか、ユダということばが聖書の中に出て来ると、それをすべて教会、あるいは自分に置き換えて読んでしまうからです。今日も多くのクリスチャンがそのようにして聖書を読んでしまっているのです。ここから脱出するのは容易なことではありません。聖書のことばを解き明かす牧師たちが置換神学の影響を多分に受けてしまっているからです。その置換神学のゆがみは神のマスタープランの理解にも及びます。特に、キリストの再臨とその後に来る千年王国の到来の意味することが、置換神学においては意味のない、曖昧な理解となってしまっています。

1. 患難時代における「産みの苦しみの初め」(前半の3年半)

【新改訳改訂第3版】マタイ24:3~14
3 イエスがオリーブ山ですわっておられると、弟子たちが、ひそかにみもとに来て言った。「お話しください。いつ、そのようなことが起こるのでしょう。あなたの来られる時や世の終わりには、どんな前兆があるのでしょう。
4 そこで、イエスは彼らに答えて言われた。「人に惑わされないように気をつけなさい。
5 わたしの名を名のる者が大ぜい現れ、『私こそキリストだ』と言って、多くの人を惑わすでしょう。
6 また、戦争のことや、戦争のうわさを聞くでしょうが、気をつけて、あわてないようにしなさい。これらは必ず起こることです。しかし、終わりが来たのではありません。
7 民族は民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こります。
8 しかし、そのようなことはみな、産みの苦しみの初めなのです。
9 そのとき、人々は、あなたがたを苦しいめに会わせ、殺します。また、わたしの名のために、あなたがたはすべての国の人々に憎まれます。
10 また、そのときは、人々が大ぜいつまずき、互いに裏切り、憎み合います。
11 また、にせ預言者が多く起こって、多くの人々を惑わします。
12 不法がはびこるので、多くの人たちの愛は冷たくなります。
13 しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われます。
14 この御国の福音は全世界に宣べ伝えられて、すべての国民にあかしされ、それから、終わりの日が来ます

  • 2節でイェシュアが神殿の崩壊について語られた後で、弟子たちはひそかにイェシュアのみもとに来て尋ねました。「いつ、そのようなことが起こるのでしょうか」と。実は、弟子たちは神殿崩壊のみならず、世の終わりに起こるすべてのことを含めて質問したのです。というのは、「そのようなこと」とは原文では複数形になっていることと、3節で「あなたの来られる時」と「世の終わり」ということばが一つの冠詞で括られているということからです。「キリストの来臨(現われ)」(パルーシアπαρουσία)と、「完結、仕上げ」を意味する「世の終わり(スンテレイアス συντελείας)」とは、同一の出来事だということができます。
  • そのときが訪れる前兆はどんなものかと弟子たちはイェシュアに尋ねたのです。それに対するイェシュアの答えは以下の事でした。

(1) 多くの惑わしが起こる
「私こそキリスト」と名乗る者たちが大勢現われて、多くの人が惑わされます(4~5節)。

(2) 戦争が起こる、戦争のうわさが流布される。
これらは必ず起こることだと言われました(6節)。ギリシア語の「デイ」(δεί)が使われています。これは神の必然を意味します。イエスがザアカイの「家に泊まることにしてある」(ルカ19:5)という箇所や、イエスがサマリヤを通って行かなければならなかった箇所(ヨハネ4:4)にも使われていることを知れば、神の必然のニュアンスが理解できるはずです。 

(3) 民族が民族に、国は国に敵対して立ち上がり、方々にききんと地震が起こる
ここには大きな戦いのことが触れられています。と同時に、飢饉と地震が起こります(7節)。

(4) イスラエルの民に対する迫害が起こる
この迫害は、すべての国の人々に憎まれるだけでなく、そのことで、互いに裏切り、憎み合うようになるとイエスは言われます(9~10節)。なぜ、すべての国の人々に憎まれるのか、その理由は記されていませんが、一説によれば、他の国が飢饉で苦しむ中、イスラエルの地だけは生産力が著しく向上し、エデンの園のように肥沃だからだ(エゼキエル36:8, 29~30, 34~35)と言われています。

(5) にせ預言者が多く起こって人々を惑わす

(6) 不法がはびこり、多くの人たちの愛は冷たくなるが、最後まで耐え忍ぶ者は救われる

(7) 御国の福音が全世界に伝えられ、すべての国民にあかしされる
黙示録11:3の「二人の証人」、および「14万4千人の証し人」。この「14万4千人」とは、教会の携挙後に、神の恵みの選びによって残されたイスラエルの民が「御国の福音」を伝えることで、多くのユダヤ人が救われると考えられます。「二人の証人」も「14万4千人の証し人」も、いずれも世界的規模の働きがなされます。

  • これらの出来事は「産みの苦しみの初め」、序の口にすぎないとイェシュアは言われます。これが七年間の患難時代の前半に起こる事です。

2. 患難時代における「産みの苦しみ」(後半の3年半)

  • 14節「・・それから、終わりの日が来ます。」本当の「産みの苦しみ」はこの後に起こる事です。新しい命が誕生するときにどうしても通過しなければならない極度の苦しみのことですが、神の歴史のマスタープランにおいても、新しい世界が生まれるためには、そのような産みの苦しみを避けて通ることは出来ません。その苦しみは、未曾有の苦難であり、「世の初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないようなひどい苦難」(24:21)だとイエスが語っておられます。

(1) 反キリストが神殿の至聖所に立つ
この未曾有の苦難は、反キリストが神殿の至聖所に立つことによって始まります。

【新改訳改訂第3版】マタイ24章15~31節
15 それゆえ、預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』が、聖なる所に立つのを見たならば、(読者はよく読み取るように。)
16 そのときは、ユダヤにいる人々は山へ逃げなさい。
17 屋上にいる者は家の中の物を持ち出そうと下に降りてはいけません。
18 畑にいる者は着物を取りに戻ってはいけません。
19 だがその日、哀れなのは身重の女と乳飲み子を持つ女です。
20 ただ、あなたがたの逃げるのが、冬や安息日にならぬよう祈りなさい。
21 そのときには、世の初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような、ひどい苦難があるからです。
22 もし、その日数が少なくされなかったら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、選ばれた者のために、その日数は少なくされます。

  • 以上の箇所は、マルコ13:14~20とルカ21:20~24にも並行記事があります。上記の16~22節には、反キリストがその本性を現わす時、どうすれば良いかを指示しています。「山へ逃げなさい」「逃げよ」という命令は現在形です。したがって、逃げて、逃げて、逃げ続けなさい、という意味です。反キリストに抵抗することは無駄だというニュアンスです。災難が緊急に迫っているために、家の中の物を持ち出そうとしたり、着物(ここでは外套のこと)を取りに戻ったりしてはいけないと。上着は当時とても貴重なものでした。しかし、絶対に後戻りして取りに帰ったら最期、いのち取りになるという警告です。
  • 妊婦の人や乳飲み子を持つ女のことにも触れています。これらの人たちが普通の人たちよりも逃げることが一層困難な状況になるのは目に見えます。こうした描写によって、イエスは終わりの日に起こる患難が現実的、かつ具体的なものであることを教えようとされたのです。必然的な出来事と同時に、日数が少なくされることに神の寛容さを見ることが出来ます。

    24:21 そのときには、世の初めから、今に至るまで、いまだかつてなかったような、またこれからもないような、ひどい苦難があるからです。
    24:22 もし、その日数が少なくされなかったら、ひとりとして救われる者はないでしょう。しかし、選ばれた者のために、その日数は少なくされます。

  • 15節にある「預言者ダニエルによって語られたあの『荒らす憎むべき者』」とは、ダニエル書に登場する「あの荒らす者」(8:13)、「荒らす忌むべき者」(9:27)、「荒らす忌むべきもの」(11:31、12:11)と関連があります。これらは直接的には、B.C.167年にエルサレム神殿にゼウス神の祭壇を築き、豚や汚れた動物をいけにえとしてささげたアンティオコス四世・エピファネスのことだと解釈されます。と同時に、その型は、終末に立ち上がる「不法の人」、つまり、反キリストのことを預言したものとも言えます。
  • 使徒パウロは、「不法の人の到来は、サタンの働きによるのであって、あらゆる偽りの力、しるし、不思議がそれに伴い、また、滅びる人たちに対するあらゆる悪の欺きが行われます。なぜなら、彼らは救われるために真理への愛を受け入れなかったからです。それゆえ神は、彼らが偽りを信じるようにと、惑わす力を送り込まれます。それは、真理を信じないで、悪を喜んでいたすべての者が、さばかれるためです。」と述べています(Ⅱテサロニケ2:9~12)。
  • ところで、15節で、なぜ「読者はよく読み取るように」とマタイは記したのでしょうか。それは、おそらく、ダニエル書が予告していることを正しく理解し、そこから終末に起こる事を正しく推測するようにと、その福音書を読む者に対してチャレンジを与えているのだと考えられます。
  • 今、学んでいることは、教会が携挙された後の話です。ですから、主にある者たちは、心配することはないことを知って読まなければなりません。イスラエルの民に対する神の真実を貫くための最後のあわれみのときなのです。そこで、再び、イエスのことばに戻りましょう。

    23 そのとき、『そら、キリストがここにいる』とか、『そこにいる』とか言う者があっても、信じてはいけません。
    24 にせキリスト、にせ預言者たちが現れて、できれば選民をも惑わそうとして、大きなしるしや不思議なことをして見せます。
    25 さあ、わたしは、あなたがたに前もって話しました。26 だから、たとい、『そら、荒野にいらっしゃる』と言っても、飛び出して行ってはいけません。『そら、へやにいらっしゃる』と聞いても、信じてはいけません。
    27 人の子の来るのは、いなずまが東から出て、西にひらめくように、ちょうどそのように来るのです。
    28 死体のある所には、はげたかが集まります。

  • 「人の子」、すなわち、キリストの再臨はだれの目にも見える形で来るからです。「死体のある所には、必ず、はげたかが集まってくるように」、また逆に「はげたかが集まる所には、必ず死体があるように」、同じくキリストの再臨はだれの目にも分かるように来るということがここで強調されています。それゆえ、惑わされないように警告されているのです。

(2) 自然界における天変地異

29 だが、これらの日の苦難に続いてすぐに、太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天の万象は揺り動かされます。
30 そのとき、人の子のしるしが天に現れます。すると、地上のあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見るのです。
31 人の子は大きなラッパの響きとともに、御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで、四方からその選びの民を集めます。

  • 反キリストによる苦難だけでなく、「太陽は暗くなり、月は光を放たず、星は天から落ち、天の万象は揺り動かされる」という自然界の天変地異も、キリストの再臨のしるしです。再臨前は、地上だけでなく天においても異常な現象が起きるようです。しかし、24章30節「そのとき」!! です。
    「人の子のしるしが天に現れます。すると、地上のあらゆる種族は、悲しみながら、人の子が大能と輝かしい栄光を帯びて天の雲に乗って来るのを見るのです。」。
  • 「悲しみながら」とは、自分たちがこれまで拒絶してきたイェシュアが神であることが明らかにされたことによるものです。「悲しむ」と訳された「コプトー」(κοπτω)とは、本来、「切り取る」という意味ですが、「胸を打って嘆き悲しむ」とか、「泣き叫ぶ」という意味があります。黙示録1:7では「見よ。彼が雲に乗って来られる。すべての目、ことに彼を突き刺した者たちが、彼を見る。地上の諸民族はみな、彼のゆえに嘆く。しかり。アーメン。」とあります。ここにある「嘆く」も「コプトー」です。

(1) ある者にとっては、自分のこれまでの罪の歩みを神に裁かれることの嘆きを意味する。
(2) ある者にとっては、悔い改めに導く悲しみ。特に、イスラエルの民が、自分たちに与えられたメシアを長い間拒んできた罪を知って悔い改める悲しみを意味します。

  • ここで重要なのは、後者の悔い改めの悲しみです。パウロも言っています。「神のみこころに添った悲しみは、悔いのない、救いに至る悔い改めを生じさせますが、世の悲しみは死をもたらします。」(Ⅱコリント7:10)

3. 民族的回心をもたらす「恵みと哀願の霊」

  • ゼカリヤ書12~14章には、イスラエルの民がどのようにしてメシアを受容するかが語られていますが、12章9~10節にはこう記されています。

    【新改訳改訂第3版】ゼカリヤ書12章9~10節
    09 その日、わたしは、エルサレムに攻めて来るすべての国々を捜して滅ぼそう。
    10 わたしは、ダビデの家とエルサレムの住民の上に、恵みと哀願の霊を注ぐ。彼らは、自分たちが突き刺した者、わたしを仰ぎ見、ひとり子を失って嘆くように、その者のために嘆き、初子を失って激しく泣くように、その者のために激しく泣く。

  • すでにイェシュアが復活して昇天された後に聖霊が傾注しています。それによってメシアニック・ジューと異邦人とからなる「教会」(エクレシア)が誕生しましたが、再度、終わりの日に聖霊が傾注されるその目的は、神の民であるイスラエル(ユダヤ人)が民族的に回心するためです。
  • 反キリストによる大患難をくぐり抜けた1/3のユダヤ人は、キリストの再臨の時に、聖霊の傾注によって、「自分たちが突き刺した者(イェシュア)」である主を仰ぎ見て、主とメシアが一体であったことに霊の目が開かれます。おそらく、十字架にかけられた手の傷や脇の傷を見たのかもしれません。そして、メシアを拒絶したことがどんなに大きな罪であったかを示されて「激しく泣く」のです。つまり、尋常ではない「苦しみを伴ったひどい悲しみ」となります。そうした民族的回心がなされるところに、キリストは再臨されるのです。

4. 人の子は、御使いを通して、四方から御国の民を集める

  • マタイ24:31には「人の子は大きなラッパの響きとともに、御使いたちを遣わします。すると御使いたちは、天の果てから果てまで、四方からその選びの民を集めます。」とあります。今回の最後のポイントは、人の子、すなわちキリストが再臨されるときには、ご自身に仕える御使いを通して、四方から選びの民を集められるということです。そこでは、すでに携挙された教会も、そして神の恵みによって選ばれたイスラエルの民をも含んでいると考えられます。なぜなら、そこでは主にあるユダヤ人と異邦人がひとつになるためです。そのために、御国の構成メンバーを四方から集めるのです。
  • 「四方から」とは「四隅から」という意味で、「天の果てから果てまで」と同義です。ここに使われている「集める」という動詞は、「集める」という意味の「スナゴー」(συνάγω)に「エピ」(έπι)という強意の接頭語がついた「エピスナゴー」(έπισυνάγω)で、単に集めるというよりも、御国の食卓に「招待する、招く」という意味があります。キリスト再臨後には、この地上において、小羊の婚宴が行われるからです(黙示録19:9)。それは、御使いがパトモス島の孤島に囚われている使徒ヨハネに対し「小羊の婚宴に招かれた者は幸いだ、と書きなさい。」と言ったほどに、喜びの婚宴、祝宴なのです。


2013.12.1


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