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サムソンの出生との召命

士師記の目次

11. サムソンの出生との召命

【聖書箇所】 13章1節~25節

はじめに

  • 12人の最後の士師として14章以降に活躍するサムソン。その生涯の序ともいうべき出生と召命について記されているのが13章です。
  • イスラエルにおける部族間の不安定感もあってか、士師による安定期間が短くなっていることを前回述べましたが、背教による敵の圧迫期間は逆に40年間と長くなっています。神が民の教育的配剤として用いられたのはペリシテ人でした。ペリシテ人はもともと海洋民族であり、高度の鉄器文明をもった民族でした。しかも軍事国家であり、イスラエルのカナン入国以来、ダビデの時代までイスラエルを悩まし続けました。このペリシテ人に対して単独で戦った士師、それがサムソンでした。

サムソンの舞台となった地図

画像の説明

1. サムソンの出生にまつわる出来事

  • 「サムソン」(原語「シムショーン」שִׁמְשׁוֹן)という名前は「太陽」を意味する「シェメシュ」שֶׁמֶשׁとの関連から「太陽の子」というような意味です。この名前は母親がつけたとあります。サムソンはゾラという町に住むマノアとその妻に神が約束によって与えられた子でした。
  • マノアの妻は不妊の女でした。その彼女に主の使いが現われ、「見よ。あなたは不妊の女で、子どもを産まなかったが、あなたはみごもり、男の子を産む。」(13:3)と告げます。そしてその子は胎内にいる時から生涯にわたってナジル人(脚注1)として生きること。そしてその子はイスラエルをペリシテの手から救い始める」と付け加えました。
  • サムソンは母の胎内に入る時からやがて主の特別な働きをするように召されたのです。夫のマノアも時を異にして、妻と同じく「それは不思議」という名前の「主の使い」のことばを確認しました。サムソンは敬虔な両親のもとに主から託され、その両親のもとで順調に育てられました。
  • サムソンの出生と召命の告知は、イエス・キリストの前ぶれとなったバプテスマのヨハネと非常によく似ています。
  • 敬虔な両親のやり取りが22, 23節にあります。それを観ると、夫のマノアは既成概念で物事を考えるのに対して、彼の妻は新しい視点から物事を理解し、夫の考え方を諭しています。このような両親のもとでサムソンは育ちました。

2. サムソンの霊的覚醒のはじめ

  • 「その子は大きくなり、主は彼を祝福された。そして主の霊は、ツォルアとエシュタオルとの間にあるマハネ・ダンで彼を揺り動かしはじめた」とあります。
  • ツァルアのサムソンの生まれ育った地名です。その地とエシュタオルとの間にある「マハネ・ダン」というところで、サムソンは霊的覚醒が与えられたようです。「マハネ」の複数形は「マハナイム」で「神の陣営」を意味します。ということは、「マハネ・ダン」とは「ダンの陣営」ということになります。LBは「ダン部族の練兵場」と訳しています。つまり戦いを訓練するところです。そのところで、サムソンの霊的覚醒がなされ始めたのです。
  • 25節をいろいろな聖書を見比べてみましょう。

    【新改訳】
    「主の霊は・・・・で、彼を揺り動かし始めた」
    【新共同訳】
    「主の霊が、彼を奮い立たせ始めたのは、・・」
    【口語訳】
    「主の霊は、・・初めて彼を感動させた」
    【フランシスコ会訳】
    「ヤーウェの霊は、・・によって、彼を奮い立たせ始めた。」
    【岩波訳】
    「ヤーウェの霊が・・によって、彼を奮い立たせ始めた。」
    【関根訳】
    「ヤハヴェの霊は・・で、始めて彼を動かした。」
    【リビングバイブル(LB)】
    「‥‥・神の霊は、彼を奮起させるべく働き始めた。」

  • 「揺り動かす」「奮い立たせる」「奮起させる」「動かす」「感動させる」と訳された原語は「パーアム」פָּעַםです。この動詞は旧約聖書ではわずか5回しか使われていません。しかも士師記の13:25を除いてはみな消極的な意味合いで「心が騒ぐ」「心が乱れる」「不安になる」としていますが、13:25だけは人をして奮い立たせる積極的な意味合いとして用いられています。(脚注2)
  • 神によって選ばれ、召され、しかも祝福された者はいつかどこかで自他共にわかる形でその頭角を現わし始めます。サムソンの場合、ダンにおける「陣営」(練兵場)でそれが現わされ始めたのです。
  • 神によって召し出されたとすれば、みないつかは主の霊によってその頭角を表わすのです。それがいつかは分かりませんが、必ずや自他共に認められる形で現われるということです。

脚注1
【ナジル人】「聖別する」「分離する」という意味のヘブル語動詞「ナーザル」נָזַרから出たことばで、「ささげられた者」「聖別された者」という意味.ナジル人に関する規定は民6章に記されています。ここでは、①ぶどう酒、強い酒を飲まないこと ②かみそりを頭にあてないこと ③死体に近づかないこと ④汚れたとされる食物を食べないこと。ここでは③を除いたことがらが主の使いによって語られています。

脚注2
「パーアム」פָּעַםの類義語として、「ウール」עוּרの強意形があります。後者の方が一般的で使用頻度も81回と多いです。神の民の再建の使命を担ったエズラは神によって「奮い立たせられた」一人でした。

2012.4.27


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