トルコ玉
1. 大祭司の胸当てに埋め込まれている12の宝石
(4) 「トルコ玉」ー「ルべン部族」
ベレーシート
- 「トルコ玉」と訳されたヘブル語「ノーフェフ」(נֹפֶךְ)は、「ざくろ石」(口語訳、新共同訳、バルバロ訳)とも訳されています。岩波訳は「孔雀石」、フランシスコ会訳も「くじゃく石」と訳しています。また、この石を「エメラルド」とする見解もあります。
- 「ノーフェフ」(נֹפֶךְ)の語源については不明な点があります。一つの仮説ですが、親語根(ペアレント・ルート)をפכと考え、最初の「ヌーン」(נ)の文字をチャイルド・ルートとして除き、後ろに「へー」(ה)の文字をチャイルド・ルートとして付け加えると、「パーハー」(פָּכָה)となり、「流れる」「勢いよく湧き出る」「さらさらと流れ出る」という意味になります。
1. 「ルベン」の語源は「子を見よ」という合成語の「レウー・ヴェーン」
- 「ルベン」(「レウーヴェーン」רְאוּבֵן)はイスラエル(ヤコブ)の最初の息子です。母のレアがみごもって子を産んだ時、彼女は「主が私の悩みをご覧になった」と言って「ルベン」と名付けました。「見る」を意味する(「ラーアー」רָאָה)の命令形の「レウー」(רְאוּ)と、「子」を意味する「ベン」(בֵּן)の合成語で「子を見よ」という意味になります。逆にすれば、「見よ。子を。」となります。
2. 「ルベン」の精神
- この「ルベン」と「トルコ玉」の語源である「パーハー」(פָּכָה)とどのようにつながるのでしょうか。ここでもイスラエル(ヤコブ)のルベンに対する預言を見てみましょう。
【新改訳改訂第3版】創世記49章3~4節
3 ルベンよ。あなたはわが長子。わが力、わが力の初めの実。すぐれた威厳とすぐれた力のある者。
4 だが、水のように奔放なので、もはや、あなたは他をしのぐことがない。あなたは父の床に上り、そのとき、あなたは汚したのだ。──彼は私の寝床に上った──
- この預言で、ルベンの特徴はヤコブの長子であり、ヤコブの力、ヤコブの力の初めである存在です。優れた威厳と力を持ちつつも、父ヤコブと同様、「水のように奔放」であったのです。それゆえ、彼は第一の者としてふさわしくあることができなかったのですが、ヤコブがイスラエルという名に変えられたように、やがてはルベンの存在とその名前が、常に「第一の者である子を、見よ」というメッセージを放っている存在です。
- ルベンの存在は、あらゆる時代において、すべてのことにおいて、第一のものである「御子を、見よ。」というメッセージを放っています。私たちが見るべき第一のものとは、神の御子イェシュアです。御子こそ、「初めであり、死者の中から最初に生まれた方で」あり、「すべてのことにおいて、第一のものとなられた」からです(コロサイ1:18)。
- 御子は神の栄光の輝き、また、神の本質の完全な現われです。信仰の創始者であり完成者です。それゆえ私たちは、その御子イェシュアから決して目を離さないようにしなければならないのです。
- やがて、メシアが統治される千年王国において建てられる神殿は、栄光の神殿(第四神殿)です。そしてその敷居の下から流れ出る水は、少しずつ勢いを増して、その流れゆくところのすべてのものを生かします。「流れ出る水」の奔放さとその豊かさの象徴、これこそ「トルコ玉」の語源である「パーハー」(פָּכָה)なのです。
2014.4.22
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