ヘブル語のコンコルダンスの使い方の例
ヘブル語コラムの目次
ヘブル語のコンコルダンスの使い方・・その例; ダーヴァクדָּבַק
1. The Hebrew-English Concordance で דָּבַק(davaq)という動詞を調べます。するとその動詞は旧約で54回使われていることが分かります。ただし、コンコルダンスではQal形(三人称、男性、単数)で載っているので、まずそれが明確にされる必要があります。最初は、これを掴むのに難儀します。
2. そこに記されている聖書箇所の中から全部、あるいは主なものを選択し、自分のもっている聖書でどのように訳されているかを調べてみます。
3. それを列記してみます。(ここでは新改訳聖書からの引用です)
- 創 2:24
それゆえ男はその父母を離れ、妻と結び合い(united)、ふたりは一体となるのである。- 創 31:23
彼は身内の者たちを率いて、七日の道のりを、彼のあとを追って行き、ギルアデの山地でヤコブに追いついた(caught up)。- 創 34:3
彼はヤコブの娘ディナに心をひかれ(was drawn)、この娘を愛し、ねんごろにこの娘に語った。- 申 10:20
あなたの神、【主】を恐れ、主に仕え、主にすがり(hold fast)、御名によって誓わなければならない。- 申 11:22
もし、あなたがたが、私の命じるこのすべての命令を忠実に守り行い、あなたがたの神、【主】を愛して、主のすべての道に歩み、主にすがる(hold fast)なら、- 申 28:21
【主】は、疫病をあなたの身にまといつかせ(plague)、ついには、あなたが、入って行って、所有しようとしている地から、あなたを絶滅される。- 申 28:60
主は、あなたが恐れたエジプトのあらゆる病気をあなたにもたらされる。それはあなたにまといつこう(cling)。- 申 30:20
あなたの神、【主】を愛し、御声に聞き従い、主にすがる(hold fast)ためだ。- ヨシ 22:5
ただ【主】のしもべモーセが、あなたがたに命じた命令と律法をよく守り行い、あなたがたの神、【主】を愛し、そのすべての道に歩み、その命令を守って、主にすがり(hold fast)、心を尽くし、精神を尽くして、主に仕えなさい。」- ヨシ 23:12
しかし、もしもあなたがたが、もう一度堕落して、これらの国民の生き残っている者、すなわち、あなたがたの中に残っている者たちと親しく交わり、彼らと互いに縁を結び(ally)、あなたがたが彼らの中に入って行き、彼らもあなたがたの中に入って来るなら、- 士 18:22
彼らがミカの家からかなり離れると、ミカは家の近くの家にいた人々を集め、ダン族に追いついた(overtake)。- 士 20:42
それで、彼らはイスラエル人の前から荒野のほうへ向かったが、戦いは彼らに追い迫り(not escape)、町々から出て来た者も合流して、彼らを殺した。- 士 20:42
追跡する(pressing)- ルツ 1:14
彼女たちはまた声をあげて泣き、オルパはしゅうとめに別れの口づけをしたが、ルツは彼女にすがりついていた(clung)。- ルツ 2:8
ボアズはルツに言った。「娘さん。よく聞きなさい。ほかの畑に落ち穂を拾いに行ったり、ここから出て行ったりしてはいけません。私のところの若い女たちのそばを離れないで、ここにいなさい(stay)。- ルツ 2:21
モアブの女ルツは言った。「その方はまた、『私のところの刈り入れが全部終わるまで、私の若者たちのそばを離れてはいけない(stay)』と私におっしゃいました。」- ルツ 2:23
それで、彼女はボアズのところの若い女たちのそばを離れないで(stayed close)、大麦の刈り入れと小麦の刈り入れの終わるまで、落ち穂を拾い集めた。こうして、彼女はしゅうとめと暮らした。- Ⅱサム1:6
報告をもたらした若者は言った。「私は、たまたま、ギルボア山にいましたが、ちょうどその時、サウルは槍にもたれ、戦車と騎兵があの方に押し迫っていました(almost upon)。- Ⅱサム 20:2
そのため、すべてのイスラエル人は、ダビデから離れて、ビクリの子シェバに従って行った。しかし、ユダの人々はヨルダン川からエルサレムまで、自分たちの王につき従って行った(stay)。- Ⅱサム 23:10
彼は立ち上がり、自分の手が疲れて、手が剣について(froze)離れなくなるまでペリシテ人を打ち殺した。- Ⅱ列王 3:3
しかし、イスラエルに罪を犯させたネバテの子ヤロブアムの罪を彼も犯し続け(clung)、それをやめようとはしなかった。- Ⅱ列王 5:27
ナアマンのツァラアトは、いつまでもあなたとあなたの子孫とにまといつく(cling)。- Ⅱ列王 18:6
彼(ヒゼキヤ)は【主】に堅くすがって(hold fast)離れることなく、【主】がモーセに命じられた命令を守った。- 詩 22:15
私の力は、土器のかけらのように、かわききり、私の舌は、上あごにくっついています(stick)。- 詩 44:25
私たちのたましいはちりに伏し私たちの腹は地にへばりついています(cling)。- 詩 63:8
私のたましいは、あなたにすがり(cling)、あなたの右の手は、私をささえてくださいます。- 詩 102:5
私の嘆く声で私の骨と皮はくっついてしまいました(be reduced to)。- 詩 119:25
私のたましいは、ちりに打ち伏しています(be laid low)。- 詩 119:31
私は、あなたのさとしを堅く守ります(hold fast)。- 詩 137:6
もしも、私がおまえを思い出さず、私がエルサレムを最上の喜びにもまさってたたえないなら、私の舌が上あごについてしまう(cling)ように。- エレ 13:11
なぜなら、帯が人の腰に結びつく(bound)ように、わたしは、イスラエルの全家とユダの全家をわたしに結びつけた(bound) 。
4. 引用箇所の訳語を自分なりにグルーピングしてみます。
- 〔1〕結びつく、縁を結ぶ
- 〔2〕すがる 堅くすがる
- 〔3〕まといつく
- 〔4〕くっつく、くっついて離れない
- 〔5〕心が惹かれる
- 〔6〕そばにいる、そばから離れない
- 〔7〕へばりつく、打ち伏す
- 〔8〕追いつく、追い迫る、追跡する、押し迫る
- 〔9〕(罪がへばりついて、その結果)、罪を犯し続ける
- 〔10〕堅く守る
5. グルーピングすることでこの動詞の持つイメージが鮮明になりますが、余裕があれば、動詞以外にも少し範囲を広げてみます。
たとえば、
- 箴言18:24「滅びに至らせる友人たちもあれば、兄弟よりも親密な者(stick closer)もいる。」とあります。ここでは動詞の「ダーヴァク」(davaq)ではなく、形容詞の「ダーヴェーク」דָּבֵק(daveq)が使われています。英語訳語のスティック(stick )は、しっかりと貼り付ける、ぴったりと固着して離れないという意味です。
結論として、「ダーヴァク」דָּבַק(davaq)は、神と人、および人と人のかかわりがきわめて親密であることをうかがわせる動詞だということがはっきりします。こうした作業を通して、ダーヴァクというヘブル動詞が心に刻み込まれます。特に、ルツがナオミに「すがり」ついたことがどんなにすばしらい結果をもたらしたか、それは圧巻です。
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