ヘブル語の断言的命令
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ヘブル語の断言的命令
- 十戒は、強い断言的否定の命令で記されています。断言的命令とは、「決して・・・してはならない」という強い否定の命令です。
- 普通の「・・・してはならない。」という場合には、「アル(אַל)+未完了形」ですが、
断言的命令の場合には、「ロー(לֹא)」+未完了形」が用いられます。面白いことに、二つの文字が入れ換わっただけなのですが。
- 前者に比べて、後者の方が7倍と圧倒的に多く使われています。
例えば、出エジ20:13「殺してはならない。」(日本語・新改訳聖書)は、日本語に直訳すると「あなたは決して殺さない」となります。。そのニュアンスは「あなたは、わたしの愛する民であるから殺人などしない。するはずがない。どうして殺すようなことをするだろうか」という意味になります。これは、命令というより、むしろ神からの、ご自身の選んだ民に対する信頼をこめた愛の語りかけです。したがって、こう信頼されては、そのような罪を犯せなくなるような、実に拘束力のある愛の発言なのです。十戒には、本来こういう要素があるのです。
- このことを頭にいれて、是非、もう1度、十戒(出エジ20:1-17)を読んでみるならば、そこには新鮮な神の愛が満ちていて、心が大きく動かされるはずです。
- ちなみに、未完了形で表わされる「愛しなさい」という命令は、「あなたはやがて愛するようになります」という肯定的な意味合いがあることを心に留めておくことが大切です。
「聖書ヘブル語四週間」(野口誠著、野口良哉著)いのちのことば社、88頁より
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