****** 教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

主が立ち上がられるとき

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24. 主が立ち上がられるとき

【聖書箇所】33章1~24節

ベレーシート

  • 使徒パウロはコリント第一の手紙の中で「兄弟たち。私はあなたがたにぜひ次のことを知ってもらいたいのです。」(10:1)と述べてイスラエルの歴史の中で起った事柄を語り、「これらのことが彼らに起こったのは、戒めのためであり、それが書かれたのは、世の終わりに臨んでいる私たちへの教訓とするためです。」(10:11)と書き記しています。つまり、イスラエルの歴史の中で起こった出来事はこれから起こる「世の終わり」の出来事の型になっているということなのです。パウロは「御国の福音」を宣べ伝える中で神のご計画の全体を、そうした出来事を「余すところなく知らせ」ることを通して教えたようです(使徒20:25~27)。
  • イスラエルの歴史を学ぶことは、将来、この世に起こる出来事について、また神のご計画の全体像を正しく知ることにつながるのです。そうした視点から聖書を読む(瞑想する)ということが、今日の教会において欠落しているように思われます。神の語られたことばをイスラエルの歴史の文脈で正しく理解することを怠り、即、今の自分にそれを適応しようとして教訓化することによって、ますます歴史的文脈から離れて行くという読み方になって行きます。そうした聖書の読み方は、神のご計画の全体像に関心を抱かなくさせてしまいます。神の活動舞台はイスラエルという歴史です。ですから、客観的に歴史を学ぶことは神のご計画全体を知ることにつながり、確かな希望を見出すことになるのです。終末における教えの混乱の一因は、聖書の読み方にあると考えられます。
  • さて、イザヤ書33章は1~33章、13~33章、あるいは28~33章の最後の章として多くの注解書は位置づけています。つまり、イザヤの生きた時代における最も重要な出来事(災い)と真の救い(回復)の預言が書き記されている章だということです。
  • 33章の内容の構成は、以下のようになっています。

    (1) 荒らす者の運命(1節)
    (2) 終末における主の民の祈りと主のご計画の核心(2~6節)
    (3) 荒らす者によるユダの荒廃(7~14節)
    (4) 終末のシオンにおける祝福(15~24節)


1. 踏みにじる者(荒らす者)の運命(1節)

【新改訳改訂第3版】イザヤ書33章1節
ああ。自分は踏みにじられなかったのに、人を踏みにじり、自分は裏切られなかったのに、人を裏切るあなたは。あなたが踏みにじることを終えるとき、あなたは踏みにじられ、あなたが裏切りをやめるとき、あなたは裏切られる。

  • 33章1節は、28~33章のグループの中で六番目(最後)に登場する「ホーイ」(חוֹי)で始まります。「ああ」「災いだ」「わざわいなるかな」と訳されますが、それは「踏みにじる者」、そして同義的パラレリズムの「裏切る者」に対して向けられたことばです。原文では「踏みにじる」の分詞と「裏切る」の分詞が文節の頭に置かれています。
  • 踏みにじる」と訳された「シャーダド」(שָׁדַד)は「略奪する」「(人を)害する」「滅ぼす」「荒らす」とも訳されます。また、「裏切る」と訳された「バーガド」(בָּגַד)は「欺く」とも訳されます。この二つの語彙の組み合わせはイザヤ書21章2節にも見られます。
  • 33章1節に語られている「踏みにじる者」も「裏切る者」も同義ですが、いったい誰のことなのでしょうか。しかも、その者が、踏みにじり尽くした果てに踏みにじられる者、裏切り尽くした果てに裏切られる者です。特にここでは説明されていませんが、アッシリヤのセナケリブのことです。彼はエルサレム攻略に失敗し、自国に戻ったときに二人の息子によって暗殺されます。そのことを33章1節は語っています。
  • アッシリヤのセナケリブがなにゆえに「踏みにじる者」「裏切る者」と呼ばれているのか、その理由があります。彼がユダに侵入して、ユダの城壁の町々を次々と占拠したB.C.701年に、ユダの王ヒゼキヤ(その時はヒゼキヤの治世14年目)はこのことに驚き、エルサレムを守るためにアッシリヤ王が求めるどんな要求も呑む代わりにここ(エルサレム)から引き上げてほしいと協定を結びます。ヒゼキヤはセナケリブの求めるままに貢物である金銀を渡しました。ところが、セナケリブはその貢物を受け取ったにもかかわらず、ヒゼキヤとの約束を破り、エルサレムを包囲してしまったのです。

アッシリヤのユダ攻略.JPG

  • セナケリブはやがて登場する反キリストの型です。反キリストも患難時代が始まる前にイスラエルと平和の契約を結びます(ダニエル9:27)。ところが、やがて(三年半して)反キリストは契約を破って、エルサレムの神殿(第三神殿)の至聖所に入り、自らを神と宣言します。それゆえイスラエルの民に大患難が襲うのです。それゆえ、33章1節の「あなた」は、むしろ、中澤訳やフランシスコ会訳のように、「おまえ」と訳すべきです。
  • 1節は、終わりの時に登場するセナケリブの本体としての反キリストー「荒らす憎むべき者」-が預言的に語られていると言えます。そのときの悲惨な荒廃が、33章7~9節に記されています。

【新改訳改訂第3版】イザヤ33章7~9節
7 見よ。彼らの勇士はちまたで叫び、平和の使者たちは激しく泣く。8 大路は荒れ果て、道行く者はとだえ、契約は破られ、町々は捨てられ、人は顧みられない。
9 国は喪に服し、しおれ、レバノンははずかしめを受けて、しなび、シャロンは荒地のようになり、バシャンもカルメルも葉を振り落とす。


7節の「見よ」は終末に起こる出来事を指しています。「彼らの勇士」とは、エルサレムの別名としての「アリエルの人々」のことであり、「平和の使者」とも呼ばれています。その彼らが「ちまたで叫び、激しく泣く」のです。


2. 主が立ち上がられるとき、敵は散らされる

  • 2~6節は、アッシリヤによるエルサレムの包囲の危機の中で祈った祈りと言えますが、それを越えて、やがて「シオンを公正と正義で満たされる」時代が来ることが預言されています。

【新改訳改訂第3版】イザヤ書33章2~6節
2 【主】よ。私たちをあわれんでください。私たちはあなたを待ち望みます。朝ごとに、私たちの腕となり、苦難の時の私たちの救いとなってください。
3 騒ぎの声に国々の民は逃げ、あなたが立ち上がると、国は散らされます。


4 あなたがたの分捕り物は、油虫が物を集めるように集められ、いなごの群れが飛びつくように飛びつかれる。
5 【主】はいと高き方で、高い所に住み、シオンを公正と正義で満たされる。
6 あなたの時代は堅く立つ。知恵と知識とが、救いの富である。【主】を恐れることが、その財宝である。

  • 2節と3節は、危機、あるいは圧制に苦しむ者たちの主に対する明確な祈りとして理解できますが、4~6節はその祈りに対する「人称なき存在」の声とも受け取れます。それはキリストの地上再臨によって実現する内容です。6節の「あなた」はメシアなる王を意味しています。そしてその支配は「エムーナー」(אֱמוּנַת)です。新改訳では「堅く立つ」と訳されていますが、原語は名詞で、「確実」「不動」「真実」を意味する語彙です。それは神のご計画(約束)の確かな成就を意味するのです。移り行くことのない不動の真実、それが「エムーナー」(אֱמוּנָה)です。そしてそれによって実現する国は、豊かな「救い」「知恵」「知識」、そして「主を恐れること」によって特徴づけられます。
  • 10節では、ユダが悲惨な状況の中にあるとき、主は「今、わたしは立ち上がる」と言われます。これは2節にある神の民の祈りのこたえです。「Let God Arise」という賛美があります。「われらの神、立ち上がれ。敵は散り失せよ。御前から失せよ。神は勝利を得た。喜び踊れ。」という内容ですが、まさにこれは終末的賛美です。
    Let God Araise live-recording

画像の説明

  • 神が立ち上がられるとき、以下に見られるようなシオンの救いと回復がなされるのです。

    【新改訳改訂第3版】イザヤ書33章
    17 あなたの目は、麗しい王を見、遠く広がった国を見る。
    18 あなたの心は、恐ろしかった事どもを思い起こす。「数えた者はどこへ行ったのか。測った者はどこへ行ったのか。やぐらを数えた者はどこへ行ったのか。」

    20 私たちの祝祭の都、シオンを見よ。あなたの目は、安らかな住まい、取り払われることのない天幕、エルサレムを見る。その鉄のくいはとこしえに抜かれず、その綱は一つも切られない。
    21 しかも、そこには威厳のある【主】が私たちとともにおられる。そこには多くの川があり、広々とした川がある。櫓をこぐ船もそこを通わず、大船もそこを通らない。
    22 まことに、【主】は私たちをさばく方、【主】は私たちの立法者、【主】は私たちの王、この方が私たちを救われる。

    24 そこに住む者は、だれも「私は病気だ」とは言わず、そこに住む民の罪は赦される。

  • 「麗しい王」、「祝祭の都、シオン」、「威厳のある主」・・これらはすべてメシア王国を示唆する表現です。

2014.9.17


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