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主なる神は私の耳を開かれた

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46. 主なる神は私の耳を開かれた

【聖書箇所】 イザヤ書50章5節前半

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【読み】
アドーイ エローーム パーハ リー ーゼン

【文法】
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【翻訳】

【新改訳改訂3】
神である主は、私の耳を開かれた。
【口語訳】
主なる神はわたしの耳を開かれた。
【新共同訳】
主なる神はわたしの耳を開かれた。
【NKJV】
The Lord God has opened My ear; 
【TEV】
The Lord has given me understanding,

【瞑想】

第三の「主のしもべの歌」は50章4節~9節です。
第三の歌のテーマは「しもべの従順」です。そのキーワードは「耳を開く」です。全き従順は決して簡単なことではありません。それは、謙遜、忍耐、学び、服従、聴従、受難と同義です。「キリストは御子であられるのに、お受けになった多くの苦しみによって従順を学び」(ヘブル書5:8)とあるように、全き従順は多くの苦しみの中でテストされ、かつ訓練されるのです。旧約では「聞く」(「シャーマ」שָׁמַע)と「従う」ことは同義です。「シェマ イスラエル」とは、神の御声に聞き従うことを命じている表現です。空知太教会での礼拝の最初の賛美は「シェマ イスラエル アドナイ エロヘーヌ」で始ります。私自身、このことばの重みと深さをもっと深く受けとめたいと思います。

詩篇40篇6節に「あなたは私の耳を開いてくださいました。」(新改訳)というフレーズがあります。ここでの「耳を開く」と訳された原語は「カーラー」כָּרָהという動詞です。旧約では15回、詩篇では6回(7:15/22:16/40:6/57:6/94:13/119:85)使用されています。本来は「穴を掘る、穴をあける、刺し通す」という意味です。井戸や墓を掘る(創世記26:25, 50:5, 民数21:18)、人を捕えるために穴を掘ったり、逆に、墓穴を掘ったりという風に使われています。しかし、詩40篇6節の「耳の穴を掘る」「耳を開く」と訳されているのは比喩的な用法です。出エジプト記21章に6年間、強制的に義務として仕えてきた奴隷が7年目に自由の身となるにもかかわらず、そのあとも、自ら主人のもとで自発的に仕えたいと決心した者は、公に、自分の耳をきりで刺し通さなければなりませんでした。それは奴隷が主人に対する目に見える「愛のしるし」、「従順のしるし」でした。そこから、しもべが「耳を開く」とは主人にとっては「からだ全体」を受け取ることを意味するようになりました。それゆえ、ヘブル書10:5では「あなたは、いけにえやささげ物を望まないで、わたしのために、からだを造ってくださいました。」として引用されています。それはからだをもって神のみこころを行うためです。ことばは異なりますが、意味としては「パータハ」פָּתַחと近似です。

ところで、イザヤ書50章5節における「耳が開かれる」という意味は、第三の「しもべの歌」においては、第一に、神のみおしえ(トーラー)を学ぶことを意味します。メシアであるとしもべが神の任務を全うするためには、しもべ自身がまず神の御声を十分に聞くようにされなければなりませんでした。それは「学ぶ」ことを意味します。神のことばを人に教えるためには、教える者自身がまず学ばなくてはならないのです。耳が開かれることによって、神の教えについての知恵、洞察力、説得力が与えられます。学ぶ力と教える力を身に着けることを、聖書は「耳が開かれる」と表現するのです。

第二に、「耳が開かれる」とは、迫害や恥辱を受けたとしても、主を信頼し喜んで神の御声に従って行くことを意味します。後戻りは許されないのです。イザヤ50章6節には、「打つ者に私の背中をまかせ、ひげを抜く者に私の頬をまかせ、侮辱されても、つばきをかけられても、私の顔を隠さなかった。」とあります。最高の侮辱を受けてもそれを甘受出来るのは、メシアにのみ当てはまる事柄です。なぜなら、普通はそうした屈辱的苦しみに耐えることはできないからです。この苦しみは53章の第四の「しもべの歌」でクライマックスに達します。そして50章9節には「見よ。神である主は、私を助ける。だれが私を罪に定めるのか。見よ。彼らはみな、衣のように古び、しみが彼らを食い尽くす。」とあり、従順による勝利を宣言しています。


2013.4.1


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