****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

二ネベに対するわざわいを思い直された神

文字サイズ:

7. 二ネベに対するわざわいを思い直された神

ベレーシート

  • ヨナ書3章でヨナが語った主のことばは、「もう四十日すると、二ネベは滅ぼされる。」ということばだけでした。そのことで二ネベの人々、および王と大臣たちの対応が5〜9節まで記されています。今回はその対応に目を留めたいと思います。

1. ヨナのことばを神のことばとして信じた二ネベの人々

  • 3章5節に、新改訳では「身分の高い者から低い者まで」(「大きな者から小さな者まで」と訳すことも可です)と訳されていますが、これはメリズモ法で「すべての人々」という意味です。異邦人である二ネベに住むすべての人々が、また、町の王と大臣たちが、ヨナの語ったことばを神のことばとして信じたということです。これは驚くべぎ奇蹟と言えないでしょうか。
  • 二ネベの人々は神とそのメッセージを「信じた」ことから、人々に断食を呼びかけ、荒布を着たのです。これは神のメッセージを聞いた人々によって自発的になされたことでした。しかもそのことによって、それを伝え聞いた二ネベの王が自ら「王座から立って」「王服を脱ぎ」「荒布をまとい」「灰の中にすわる」ということが引き起こされたのです。その後に、王と大臣の命令によって、正規に、断食を伴う「悔い改めの布告」が町中に出されたのです。これが奇蹟でなくて何でしょうか。まさに、大きな町二ネベに「ネフパーヘット」(נֶהְפָּכֶת)(脚注)が起こったのです。

2. 悪の道と暴虐な行いからの神への立ち返り

【新改訳改訂第3版】ヨナ書 3章7〜8節
7 王と大臣たちの命令によって、次のような布告がニネベに出された。「人も、獣も、牛も、羊もみな、何も味わってはならない。草をはんだり、水を飲んだりしてはならない。
8 人も、家畜も、荒布を身にまとい、ひたすら神にお願いし、おのおの悪の道と、暴虐な行いから立ち返れ

  • 布告の内容は「断食すること」と「(神に)立ち返る(悔い改め)こと」です。これは別個の事柄ではなく一つの事柄です。人も家畜も同様に断食するというのは、悔い改めが徹底されることの表現と考えられます。しかも、「人も、家畜も、荒布を身にまとい」とあります。「荒布」はやぎの毛で織った黒くて粗い布を意味し、悲しみや後悔の念を表す時に着たようです。家畜までもをも荒布をまとわせ、断食させるというのは不思議です。まさか家畜が悔い改めることはあり得ないことですから、神に対する人の熱意を伝えようとする表われなのかもしれません。
  • そのようにして、「ひたすら神にお願い」するようにと布告しています。「ひたすら」と訳された語彙は、強力という意味の「ヘズカー」(חֶזְקָה)に前置詞の「べ」(בְּ)がついて、「激しく、力を尽くして、いよいよ切に」願い事をするというニュアンスです。彼らがそうするのは、そうした努力をすることで、「もしかすると、神が思い直してあわれみ、その燃える怒りをおさめ、私たちは滅びないですむかもしれない」と考えた(計算した)からです。
  • 「悔い改め」とは、人が「悪の道」や「暴虐」を反省することではなく、「悪の道」から、「暴虐」から神に立ち返ることを意味しています。特に、「暴虐」と訳されたことばは「ハーマース」(חָמָס)です。今日でも「ハマス」というイスラム原理主義組織のことをニュースで耳にします。ハマスは今日のことばで言うならば「テロリズム」と言えます。武力による抗争と支配です。
  • アッシリヤの首都二ネベは、ハムの子孫のニムロデが建設した町です。ニムロデはこの地上で最初の権力者となった人物で、力によって町々を支配し拡大させた人物です。二ネベもその町の一つで、そこに住む人々も、ニムロデの霊性が流れていると考えられます。その彼らが「ハマス」的生き方から神に立ち返るということは、普通では考えられないことなのです。しかし、おどろくべきことにそれが起こったのです。

3. 神はわざわいを思い直された

【新改訳改訂第3版】ヨナ書3章10節
神は、彼らが悪の道から立ち返るために努力していることをご覧になった。それで、神は彼らに下すと言っておられたわざわいを思い直し、そうされなかった

  • 布告にしたがって、二ネベの王と大臣(高官)たちも、またその町のすべての人々が悔い改め、わざわいが及ばないようにとひたすら神に願ったことによって、神は彼らに下すと言っておられたわざわいを思い直されました。これは実に奇蹟的なことです。



脚注
●「ネフパーヘット」(נֶהְפָּכֶת)は、「ハーファフ」(הָפַךְ)のニファル態です。初出は創世記3章24節で「輪を描いて回る炎の剣」で、「あらゆる方向に変わる」というヒットパエル態で使われています。ここでは、「滅ぼされる」「ひっくり返す」「覆す」「倒す」という意味と同時に、「向きを変える」「変える」という意味があります。つまりこの動詞は、破滅のみならず、再生の可能性を含んだ両義性を含んだ動詞だということがわかります。

2015.5.22


a:5082 t:1 y:0

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional