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二ネベの町でヨナが語った主のことば

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6. ニネベの町でヨナが語った主のことば

ベレーシート

  • 今回は、ヨナ書3章1〜4節の箇所に限定して瞑想したいと思います。この箇所には「再び」とか、「三日」とか、「四十日」などの数が使われています。そのままの数でもあり、同時に、象徴的な数字でもあります。

1. 「再び」が意味すること

【新改訳改訂第3版】ヨナ書3章1節
再びヨナに次のような【主】のことばがあった。

  • 冒頭の「再び」という言葉を除くと、1章1節の「アミタイの子ヨナに次のような主のことばがあった。」と全く同じです。「あった」と訳されたヘブル語の「ハーヤー」(הָיָה)は、神のことばがひとたび臨むなら、不可抗力的な力によって神の御計画が実現されることを含んだ動詞です。誰もそれに対抗することができません。すべてが神によって動かされて、導かれ、神の栄光が現わされていくという主権的な力をもった動詞なのです。ヨナは最初に語られた主のことばに逆らってタルシシュに逃れようとしましたが、主によって阻止され、再び当初の神の御計画に引き戻された形です。
  • このように、再度、主から同じ使命のために同じことばで命じられた預言者は、ヨナ以外にいません。みことばに仕える者として神の召しのことばを聞いた者が、再度、同じ召しのことばを聞くとすれば、ヨナのようにそこから逃げた者だということです。それほどに、主のことばが臨むときには、不可抗力的なことばとして迫られるのです。
  • 「再び」(副詞「シェーニート」שֵׁנִית)という状況は、私たちにとってなかなか受け入れ難い重要な事柄を神が私たちに理解させる場面で起こる場合があります。たとえば、使徒ペテロが異邦人を受け入れることについての神からの啓示に対して拒絶する箇所にあります。

【新改訳改訂第3版】使徒の働き10章9〜16節
9 ・・・・ペテロは祈りをするために屋上に上った。昼の十二時ごろであった。
10 すると彼は非常に空腹を覚え、食事をしたくなった。ところが、食事の用意がされている間に、彼はうっとりと夢ごこちになった。
11 見ると、天が開けており、大きな敷布のような入れ物が、四隅をつるされて地上に降りて来た。
12 その中には、地上のあらゆる種類の四つ足の動物や、はうもの、また、空の鳥などがいた。
13 そして、彼に、「ペテロ。さあ、ほふって食べなさい」という声が聞こえた。
14 しかしペテロは言った。「主よ。それはできません。私はまだ一度も、きよくない物や汚れた物を食べたことがありません。」
15 すると、再び声があって、彼にこう言った。「神がきよめた物を、きよくないと言ってはならない。
16 こんなことが三回あって後、その入れ物はすぐ天に引き上げられた。

  • ペテロ。さあ、ほふって食べなさい」という天からの声は、神の定めた規則(既成概念)を打ち破って神が新しいことをはじめようとしているその促しを、「さあ」(「アニステーミ」άνιστημι)という言葉で表しています。「アニステーミ」(άνιστημι)とは「立つ」という復活用語ですが、新しい啓示とその理解をペテロに促しているのです。そのために、ルカはこの神の特別な導きを2章に渡って(10章と11章)書き記しています。「それはできません」とするペテロのことばに対して、天の声は再び、「神がきよめた物を、きよくないと言ってはならない。」とペテロを諭したのです。ペテロが啓示の意味を受け入れるまで、こうしたやりとりが何と「三回あった」とルカは記しています。ヨナの場合も魚の腹の中で、「三日三晩」かかったと記しています。

2. ヨナに対する主の命令

【新改訳改訂第3版】ヨナ書3章2〜3節
2 「立って、あの大きな町ニネベに行き、わたしがあなたに告げることばを伝えよ。」
3 ヨナは、【主】のことばのとおりに、立ってニネベに行った。

  • 主はヨナに対して、以下のような三つの命令を下しています。

    ①「立て」・・・「クーム」(קוּם)
    ②「行け」・・・「ハーラフ」(הָלַךְ)
    ③「伝えよ(叫べ)」・・「カーラー」(קָרָא)

  • 特に、「伝えよ」と訳された「カーラー」は、告げる、叫ぶ、宣告する、宣教する、呼ぶという意味がありますが、同時にこの動詞は「出会う」という意味があるのです。神が呼び、叫び、告げる声を聞くことで、神との出会いが起こるようにせよとの命令です。一方的な神の叫びや呼びかけではなく、その声を聞くところに出会いが起こることが期待されている動詞です。ですから、「時が良くても悪くても」(Ⅱテモテ4:2)、神のみことばを、いろいろな形で、いろいろな方法で、絶えず、しっかりと宣べ伝えなければなりません。この出会いをつくることができるのは私たちではありません。神のなさる働きです。しかし、そのようなことが起こるためには、神に代わって告げる者が必要なのです。ヨナもその一人でした。今日もそのヨナ的人材が求められているのです。もし主の声を聞いたならば、ヨナのようにその声に従わなければなりません。

3. ヨナに託された主の告知

  • ヨナが大きな町二ネベに対して主から託されたメッセージは、以下の通りです。

    【新改訳改訂第3版】ヨナ書3章4節
    ヨナはその町に入って、まず一日目の道のりを歩き回って叫び、
    もう四十日すると、ニネベは滅ぼされる」と言った。

  • このメッセージは五つの語彙からなっています。

(1) 「オード」(עוֹד)

①新改訳「もう40日すると
②口語訳「40日を経たら
③新共同訳「あと40日すれば
●「オード」は副詞で。ある猶予の期間や態度を表わす語彙。


(2) 「アルバーイーム」(אַרְבָּעִים)
●「4」を意味する「アルバ」(אַרְבַּע)の複数形です。「4」は全世界を意味する数字ですが、「40」は神のさばきや試みを表す象徴的な数字です。「40日すると二ネベは滅ぼされる」との「40」という数字の意味は、神に対する悔い改めへの猶予期間を表していると考えられます。


(3) 「ヨーム」(יוֹם)
●「ヨーム」は、時を表す語彙で、「日」の意味。


(4) 「ニーヌヴェ」(נִינְוֶה)
●読みは「ニーヌヴェ」ですが、日本語表記では「二ネベ」とされています。アッシリヤの首都。


(5) 「ネフパーヘット」(נֶהְפָּכֶת)
●「ネフパーヘット」は、「ハーファフ」(הָפַךְ)のニファル態です。「滅ぼされる」「ひっくり返す」「覆す」「倒す」という意味ですが、同時に、「向きを変える」「変える」という意味もあります。つまり、この動詞は破滅のみならず、再生の可能性を含んだ真逆の意味をも含んだ動詞だということです。


2015.5.20


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