偽預言者たちの語るメッセージ
エレミヤ書の目次
26. 偽預言者たちの語るメッセージ
【聖書箇所】 23章9節~40節
ベレーシート
- 23章9節以降には、偽預言者たちに対して語られたメッセージがまとめられています。エレミヤを主の宮の門にある足かせにつないだ祭司であり、主の宮の司であり、監督者であったパシュフルが偽りの預言をしたことが記されています(20:6)。主はそうした偽りの預言者に対して「わざわいをもたらし、追い散らし、倒す」としています。
- ユダの民が捕囚となり、エルサレムが完全に崩壊するまえには、人々は神に信頼してはいませんでした。そのために不安定な歩みをしていたのです。そうした不安の中に人々に対して偽預言者たちは、偽りの平和と安全を語っていたのです。
1. 偽預言者たちに対する主の糾弾
(1) 自分の心の幻を語っている(23:16)
具体的には、
①主を侮る者に向かって、「主はあなたがたに平安があると告げられた」と。
②かたくなな心のままに歩む者に対して、「あなたがたにはわざわいが来ない」と。(2) 自分たちの夢を語っている
(3) 偽りと自慢話を語って惑わしている
「自慢話」とは大言壮語(4) 「主の宣告」ということばを使って語っている
- 主はこのような偽預言者に対して「見よ。主の暴風、-憤り。-うずを巻く暴風が起こり、悪者の頭上にうずを巻く。主の怒りは、御心の思うところを行なって、成し遂げるまでさることはない。」と語っています。
2. 真の預言者としての重荷
- 主はエレミヤを通して偽預言者に対する怒りを向けておられますが、同時に、真の預言者の使命とその重荷について語っています。
【新改訳改訂第3版】エレミヤ書 23章28節
・・・わたしのことばを聞く者は、わたしのことばを忠実に語らなければならない。」
- 神のことばは、それを聞く者にとって火のようであり、岩を砕く金槌のように、創造的な破壊とそれを突破させて新しいものを生み出させる力を有しています。しかしそうした神のことばを宣告することは、重荷となるのです。その重荷に耐えられずに、神のことばを曲げてしまいやすいのです。
- 今日、癒しブームです。癒しグッズなるものが売れる時代です。人々の心が疲れ、潤いを失っている時代なのかもしれません。しかしキリスト教会がそうした癒しブームに乗せられてはなりません。人を慰めてくれる神のことば、神のいやしのことばーそうしたものを求める傾向の中に、主の厳しい真にいのちをもったことばを拒絶する心が働いています。神のみことばを真摯に受け取める心はなくなり、旧約の偽預言者たちが語ったように、自分にとって心地良いことば、自分にとって優しいことばだけを偏って求めるようになります。しかしそれは結果的には神のことばによって生きる道には導かれません。
- 神の宣告には、それを語る者にも、それを聞く者にも重荷となるものが含まれているために、神のことばを曲げてしまう誘惑にかられるのです。神のことばを預けられている者はこの誘惑に打ち勝たなければなりません。
- イエスは「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」(マタイの福音書11:28)と言われました。このことばの直接的な意味は、イエスと同様に神のみことばを預けられた者たちに対して語られたことばです。コンテキストをみれば一目瞭然です。人々が神のことばに耳を傾けない現実の中で、神からの重荷のゆえに、神のことばを薄めたり、曲げてしまう誘惑に陥らないようにと語られたみことばです。
- エレミヤ書の23章36節と33節では、偽りの預言者たちが「主の宣告」と言いながらも、その宣告が重荷となって神のことばを曲げてしまうならば、主ご自身も「あなたがたが重荷となったから、わたしはあなたがたを捨てる」と皮肉っているのです。
2013.3.1
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