同じ語根を重ね合わせることで意味を強調する用法(同根対格)
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同じ語根を重ね合わせることで意味を強調する用法(同根対格)
●ヘブル語の強調表現は強意形ばかりではなく、同じ語根を重ね合わせることで意味を強調する用法(同根対格)があります。たとえば、創世記50章でいうならば、25節の「必ずあなたがたを顧みられる」と訳された部分がそうです。原文はそこを「パーコード・イフコード」(פָּקֹד יִפְקֹד)で、「顧みる」という動詞「パーカド」(פָּקַד)が重ねられています。他にも、創世記22章17節では「大いに祝福する」と「数多く増し加える」が、動詞「バーラフ」(בָּרַךְ)と「ラーヴァー」(רָבָה)がそれぞれ重ねられています。原文で参照のこと。
●「謙遜な、柔和な、謙虚な、穏やかな」という訳の原語は「アーナーヴ」(עָנָו)という形容詞です。ヘブル語原文ではこのことばがなんと二つも並べられています。それはヘブル語の強調表現です。但し、読む時には一方だけ読むと指定されています。バルバロ訳はこのことばのニュアンスを伝えるために、「柔和な」という訳と「穏やか」という二つの訳語を用いています。本来、一つの原語に対して一つの訳語ですが、二つの訳語を使わなければならないほどにこの「アーナーヴ」の意味は微妙だということです。
●同じ語根を重ね合わせることで意味を強調する修辞法は多くあります。創世記2~3章では、「あなたは思いのままに食べてよい」(2:16)、「あなたは必ず死ぬ」(2:17)
16節「あなたは思いのままに食べてよい」
(=「必ず食べなさい」とも訳せます)
אָכֹל תֹּאכֵל 〔語根は「アーハル」אָכַל〕17節「あなたは必ず死ぬ」
מֹות תָּמוּת 〔語根は「ムート」מוּת〕
2016.2.29
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