堅い盟約(同意書)を結んでの新たな出発
ネヘミヤ記、エステル記の目次
9. 堅い盟約(同意書)を結んでの新たな出発
【聖書箇所】 9章1節~38節
ベレーシート
- 城壁を完成した翌月に、神の律法を聞いた人々は、そこに定められていた主の例祭のひとつである七日間の「仮庵の祭」ときよめの集会を行った後に、再び、彼らは自分たちと先祖の罪を告白して、神を礼拝し、大声で主を賛美しました。その賛美の中での祈りが6~37節の長い祈りをささげました。その祈りは、新しい神の民の出発としての堅い盟約へと導かれて、おもだった人々はそれに押印したのでした。
1. 新たな時代を作る歴史認識
- 6~37節の内容は、詩篇の中にもありますが、ここでは歴史のある時点においての生々しい祈りとして記されています。その祈りによれば、「これこれしてください」と言った嘆願の祈りはありません。ただ単に、神は長い歴史において、神と自分たちが結んだ契約に対して、神は常に真実(誠実)であったことを告白しつつ、にもかかわらず、自分たちはなんと悪を行なて続けてきたか」ということを正しく認識し、そのことが、今、自分たちがペルシアの支配下にあって、属州の一つとされ、今なお苦しみの中にあるということを認識した祈りでした。その祈りをまとめたのが、33節のことばです。
【新改訳改訂第3版】9章33節
私たちに降りかかって来たすべての事において、あなたは正しかったのです。あなたは誠実(「エメス」אֶמֶת)をもって行われたのに、私たちは悪を行ったのです。
- この新たな歴史認識を土台として、かつて主と結んだ契約に忠実に生きていこうという同意書に、主にある民たちが書き記した同意書、それが「盟約」という言葉で表わされています。
2. 「盟約」という語彙
- 9章38節(新共同訳では10章1節)の「これらすべてのことのゆえに」とあります。「これらすべてのこと」とは、神が彼らを選び出して、導いて来られた全歴史において、神である主はことごとく真実(誠実)であったにもかかわらず、自分たちはその神に対して悪を犯し続けてきた出来事を意味します。
- つまり、「盟約」とは、神とその民との新たな歴史認識をもって、神との契約の中に生きようとする「同意書」だと考えます。聖書で「盟約」と訳された語彙はこの箇所だけです。他にも同じ語彙が3箇所ありますが、山や川の名前として使われています。
- 「盟約」(新共同訳では「誓約」)と訳された原語は「アマーナー」(אֲמָנָה)でとても珍しい語彙です。「誓約」であれば、普通「アーラー」(אָלָה)で表わされます。しかも34回の使用頻度です。しかし、ここではむしろ神に対しての誓いというよりも、神の民が自発的に新しい歴史認識をもって神との契約に仕えて行こうとの呼びかけに同意・押印したことが重視されているように思います。それゆえに、この「盟約」は新しい意味を有しているのだと思います。「アマーナー」を「盟約」と訳しているのは新改訳だけですが、この訳語は「名訳」です。
3. いくつかのフレーズ
- 賛美と祈りの中で使われている短いフレーズの中で、簡単な二つのフレーズを覚えたいと思います。
(1) 9章6節「ただ、あなただけが主です」
(2) 9章7節「あなたこそ神である主です」
2013.11.8
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