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失われた部族の系図が意味すること

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7. 失われた部族の系図が意味すること

【聖書箇所】Ⅰ歴代誌 7章1~40節

ベレーシート

  • 5章のルベン族、ガド族、マナセの半部族の3部族、そして7章のイッサカル族、ベニヤミン族、ナフタリ族、マナセの半部族、エフライム部族、アシェル族の6部族の系図が記されています。ところが、ゼブルン族とダン族は抜け落ちています。なぜ、二つの部族の系図が抜け落ちているのか、と私たちは考えます。ところが、歴代誌が書かれた時代では、5章、および7章に記されている部族の系図が記されていることの方が驚きなのです。ユダ族、ベニヤミン族、レビ族は捕囚の民となり、それらの者たちが帰還してからのことですから、他の部族の消息については詳しく知ることが出来ないはずです。特に、北にあった部族はなおさらです。
  • 歴代誌は礼拝の民としてのアイデンティティを確立するために、歴史が見直されているのですが、驚くべきことに、消息の分からなくなった部族の系図を書き記しているのです。失われた部族、それが神にとっては必ずしも失われてはいないことが示されています。

1. 失われたと思われる部族に対する見方

  • 7章は、ナフタリ族がわずか1節のみ記述されており、他の部族と比べるならあまりにアンバランスです。また、ゼブルン族とダン族は完全に抜け落ちています。
  • ところが、イザヤの預言によれば、次のように記されています。

    新改訳改訂第3版 イザヤ書9章1~2節
    1 しかし、苦しみのあった所に、やみがなくなる。先にはゼブルンの地とナフタリの地は、はずかしめを受けたが、後には海沿いの道、ヨルダン川のかなた、異邦人のガリラヤは光栄を受けた。
    2 やみの中を歩んでいた民は、大きな光を見た。死の陰の地に住んでいた者たちの上に光が照った。

  • この預言はメシア・イェシュアによって実現します。イエスはガリラヤ湖のカペナウムという所で宣教を開始されました(マタイ4章14~16節)。カペナウムはイエスの宣教の中心地としています。ガリラヤはすでに異邦人化された町となっていました。そこは「闇と死の陰」の地となっていましたが、なんとそこに偉大な光が照らしたのです。失われた部族と思われていたところからイエスは宣教を開始され、「悔い改めなさい。天の御国は近づいたから。」と言われました。ここの「悔い改めなさい。」という命令形は現在形です。つまり、意味としては、悔い改め続けなさいということです。神はずっと彼らが立ち返り続けることを待っていたことを示唆しています。なぜなら、神がアブラハムやダビデに対して約束されたこと、多くの預言者を通して約束されたことを、今やメシアによって実現する時が近づいたからです。
  • ちなみに、「カペナウム」とは「慰めの村」の意味。かつて失われたイスラエルの民(北イスラエルの部族)を慰めるために、イエスはここを拠点とされたとも考えることができます。
  • 北イスラエルの民たちは、B.C.721にアッシリヤによって滅び、その消息を失った者たちです。しかし聖書は、多くの預言者たちによって、イスラエルの全部族が回復することを預言しています。歴代誌の著者は預言という形ではなく、系図を記すという形で神の選びの民は不完全な形ではありますが、不滅であることを示そうとしたのかも知れません。神の視点からすれば、散らされ、消滅したかに見えるイスラエルの全部族の回復こそ、神の悲願であることを訴えていると言えます。

2. 神のマスタープランにおける全イスラエルの回復

  • そうした神の視点が聖書(特に、預言書)を読み直すならば、全イスラエルの回復について、何度も繰り返して語られていることを知ることが出来ます。たとえば、その一つを取り上げてみると、

    【新改訳改訂第3版】エレミヤ 3章14~18節
    14 背信の子らよ。帰れ。──【主】の御告げ──わたしが、あなたがたの夫になるからだ。わたしはあなたがたを、町からひとり、氏族からふたり選び取り、シオンに連れて行こう。
    15 また、あなたがたに、わたしの心にかなった牧者たちを与える。彼らは知識と分別をもってあなたがたを育てよう。
    16 その日、あなたがたが国中にふえて多くなるとき、──【主】の御告げ──彼らはもう、【主】の契約の箱について何も言わず、心にも留めず、思い出しもせず、調べもせず、再び作ろうともしない。
    17 そのとき、エルサレムは『【主】の御座』と呼ばれ、万国の民はこの御座、【主】の名のあるエルサレムに集められ、二度と彼らは悪いかたくなな心のままに歩むことはない。
    18 その日、ユダの家はイスラエルの家といっしょになり、彼らはともどもに、北の国から、わたしが彼らの先祖に継がせた国に帰って来る。

  • 全イスラエルの回復は、「その日」と言われる終わりの時代において、神の主権によってなされる大いなる奇しいわざ(ご計画)です。すでにその回復の予兆として、1948年、イスラエル共和国が奇蹟的に復興しています。人間的には不可能と思われることを、神は確実になされるのです。

3. ダン部族は千年王国の約束において回復されるという預言

  • ダン部族がなぜ系図から抜け落ちいているのか、その理由は分かりません。聖書がその理由を記していないからです。しかし士師記17章を読むならばうなずけるかもしれません。いずれにしても、歴代誌においても新約聖書の唯一の預言書である黙示録においても、ダン部族の名前は抜け落ちています。ところがエゼキエル書の最後の章(48章)に、つまりメシア王国の完成の(千年王国)の時にはダン部族の名がはっきりと記されているのです。
  • エゼキエル書48章2節に(部族の最初に)、ダン部族の名前があることは驚きです。歴代誌の系図にも、またヨハネの黙示録の7章(反キリストの支配の中にあっても守られるイスラエルの十二部族)にもダン部族の名前はありません。十二部族の中で最も神から遠い存在になったダン族ですが、彼らは千年王国の始まりの時には十二部族の筆頭としてその名前が再び刻まれているのです。士師の時代から数えて三千年もの間、異教の偶像礼拝者へと身を落としたダン族のことを、神は見捨てることなく、最後の最後において、彼らの相続地を用意していてくださるとは何という神の愛でしょうか。ほんとうに驚きです。全イスラエルの回復の約束は、文字通り、受け止めなければなりません。


2013.12.20


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