帰還後に神殿で仕えた人々とその職務
9. 帰還後に神殿で仕えた人々とその職務
【聖書箇所】Ⅰ歴代誌 9章1~44節
ベレーシート
- バビロンの捕囚から解放された民たちと神殿で仕える者たちのその職務について記されています。9章の構成としては、捕囚から帰還した人々(1~2節)、エルサレムの住民(3~9節)、祭司の家族(10~13節)、レビの家族(14~16節)、門衛たち(17~32節)、歌手たち(33~34節)、サウルの家系(35~44節)について記されています。
- 今回、とりわけ目立つのは神殿で働く者たちの中で、冠詞つきの「ハッネティーニーム」(הַנְּתִּינִים)と言われる人々の存在で、歴史書の中ではじめて登場します。
1. 「ハッネティーニーム」(הַנְּתִּינִים)と言われる人々
- 歴代誌は、神殿を中心とした礼拝の民としてのアイデンティティのもとに歴史を見直し、新しい民としてスタートするために書かれた書です。その中に、それまでの歴史の中にはいなかった者たちが登場します。それは神殿で仕えるしもべたちの存在です。彼らはヘブル語で「ハッネティーニーム」と言います。冠詞を取ると、「ナーティーン」(נָתִין)です。この語彙は旧約で17回使われていますが、ここ以外では、エズラ記7回、ネヘミヤ9回に使われています。つまり、バビロン捕囚の前にはそのような職務はなかったということです。神殿を中心とした新しい神の民として生きるために与えられた職務であったと言えます。「ハッネティーニーム」は、「聖所における下働きを与えられた者たち」を意味します。
- 捕囚後の期間に、エルサレムに建てられた第二神殿において、ある働く者たちの集団としてクローズアップされる人々がいます。
(1)新改訳では「宮に仕えるしもべたち」
(2)新共同訳は「神殿の使用人」
(3)口語訳は「神殿で奉仕するしもべ」
(4)岩波訳は「神殿職員」
と、それぞれ訳されています。いずれにしても、祭司やレビ人の下に位置して神殿のために働くしもべたちでした。イスラエルの民が礼拝の民とて新しく出発するためにはこのような人々が必要とされたというその理由とは、レビ人たちにはみことばを教えるという新しい職責が与えられるようになったからだと考えられます。
2. 門衛と歌うたい
- 門衛(守衛)は、神殿警備の職務を担った人々です。彼らは212人で、レビ人たちです。彼らはみなエルサレムの神殿の近くに住んでいました。
- レビ人の中で「歌うたい」という神殿における賛美を務める人々がいました。彼らは音楽以外の奉仕はすべて免除され、一日中、賛美の務めをする人々でした。
【レビ人の5つの任務】
①神殿内の部屋、および倉庫の管理(26節)
②神殿の門衛(守衛)として、毎朝、門を開くこと(27節)
③神殿の管理人として、礼拝に使用する調度品の保管(28節)
④礼拝に用いる什器の保管、麦粉、ぶどう酒、乳香、香料等の諸材料の購入と保管、パンの製造等(29~32節)。
⑤賛美をささげること(33節)ー策に、賛美の奉仕者はそのことに専心するため、他の職責を持ちませんでした。
2013.12.24
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