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幸いなことよ(第一の祝福)

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3. 幸いなことよ(第一の祝福)

【聖書箇所】 1章3節

【新改訳改訂第3版】
この預言のことばを朗読する者と、それを聞いて、そこに書かれていることを心に留める人々は幸いである。時が近づいているからである。

【新共同訳】
この預言の言葉を朗読する人と、これを聞いて、中に記されたことを守る人たちとは幸いである。時が迫っているからである。

【塚本訳】
幸福なる哉、この預言の言を朗読する人、及び(それを)聞いて、その中に書かれてある(一切の)ことを守る人々!(この言の成就する)時が(はや既に)近いからである。


1. 黙示録における「七つの祝福」

  • 黙示録の中には、「~の者(~する者)は幸いである」というフレーズが7回あります。つまり、「七つの祝福」が記されていますが、1章3節はその最初の祝福です。
    日本語訳では分かりませんが、原語では単数(マカリオス)、ないし複数(マカリオイ)で表わされています。
  • 原文には、動詞にあたることばはありません。それゆえ、形容詞の「マカリオス」ということばを、塚本訳では感嘆詞とみなして、「幸福なる哉(かな)」と訳しています。以下は、その七つの祝福のことばです。

    1章3節
    「この預言のことばを朗読する者と、それを聞いて、そこに書かれていることを心に留める人々(複数)は幸いである。」
    14章13節
    「今から後、主にあって死ぬ死者(複数)は幸いである。」
    16章15節
    「見よ。わたしは盗人のように来る。目をさまして、身に着物を着け、裸で歩く恥を人に見られないようにする者(単数)は幸いである。」
    19章9節
    「小羊の婚宴に招かれた者(複数)は幸いだ。」
    20章6節
    「この第一の復活にあずかる者(単数)は幸いな者・・である。」
    22章7節
    「見よ。わたしはすぐに来る。この書の預言のことばを堅く守る者(単数)は、幸いである。」
    22章14節
    「自分の着物を洗って、いのちの木の実を食べる権利を与えられ、門を通って都に入れるようになる者(複数)は、幸いである。」

  • マタイの福音書にも「幸いです」という言葉で始まる「八つの祝福」があります。そこには神の恵みの祝福が、さまざまな様相として表わされていると言えます。「・・する者は幸いです」という表現は新約聖書では50回使われていますが、その内容はすべてこの世の幸福観とは異なるものです。
  • ちなみに、黙示録においては、以下のように、四つの「七つの預言」があります。

    (1) 七つの教会 ー教会時代全体における預言
    (2) 七つの封印 ー終末時代全体における預言
    (3) 七つのラッパー患難時代全体における預言
    (4) 七つの鉢  ー大患難時代クライマックスにおける預言


2. 「聞く」ことは、守り行うこと(従うこと)

  • 旧約において、神のトーラーを「聞く」(「シャーマ」שָׁמַע)ことは、「聴従」、つまり「従う」「守る」ことを意味します。ギリシャ語の「テーレオー」(τηρέω)も、神のトーラー(教え)を、恒常的に、不断に守り続けることを意味しています。ですから、新改訳のように単に「心を留める」という訳ではそのニュアンスが伝わってきません。むしろ、「とどまる」(「メノー」μενω)に近いニュアンスではないかと思います。
  • テーレオー」(τηρέω)は、新約で70回使われていますが、そのうちの18回がヨハネの福音書に、7回がヨハネの手紙(第一)に、そして11回が黙示録に使われています。この「テーレオー」は、いわばヨハネ文書の特愛用語なのです。ヨハネにおける「テーレオー」は、律法主義的な意味での「守る」(厳守)ということではなく、神への愛のゆえに、神のことばを、神の教えを、自発的に、主体的に、「守る」(聴従、愛のかかわり保ち続ける、愛とみことばの中にとどまる)ことを意味しています。

3. 時は迫っている

  • ヨハネは神のことばを不断に守ることを勧めています。なぜなら、それは「時が迫っている」からです。ここでいう「時」とは、時の流れを刻む「クロノス」ではなく、危機的な時、神の救いのご計画における「終わりの時」を意味する「カイロス」が使われています。それは、教会の唯一の祝福された望みである「キリストの空中再臨される時であり、教会が携挙される時」です。その時が「近い」とは、「間近に迫っている」「切迫している」という意味です。時の切迫感は、黙示録の中で「これらをあかしする方(主イエス・キリスト)がこう言われる。『しかり、わたしはすぐに来る。』」ということばによっても確証できます(黙示録22:20)。


2013.11.10


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