恩寵用語Ps32(3)
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詩32篇(3)「悟りを与える」 שָׂכַל サーハル
〔カテゴリー賦与〕
8節「わたしはあなたがたに悟りを与え、行くべく道を教えよう。」(新改訳)
8節「わたしはあなたを目覚めさせ、行くべき道を教えよう。」(新共同訳)
Keyword; 「悟りを与える、賢くする」 instruct, make discreet, wise, ponder,have insight, careful, understand
- 「悟りを与える」と訳された「サーハル」(שָׂכל)は、賢くする、知恵・思慮・分別、を与える、心を配る、注意を払う、ものごとをじっくりと考える、見抜く、教える、諭す、といった意味があります。名詞は「セヘル」שֶׂכֶל(sephel)で「知恵、聡明、識見、思慮、分別」意味します。
- また、「サーハル」(שָׂכל)は、成功する、栄える、繁栄する、勝利を収める(prosper)といった意味もあります。ダビデはどこにいっても大勝利を収めたため、サウル王はダビデを恐れました。それほどに神の「サーハル」(שָׂכל)は神に祝福された人々のしるしと言えます。ダビデは息子ソロモンのために思慮と分別が与えられるように祈っています(Ⅰ歴代誌22章12節)。「思慮深い妻は主からのもの」(箴言19章14節)とあるように、ダビデを助けたナビルの妻アビガイルは聡明な女性で、後にダビデの妻となりました。救いの計画における最も終末的なヴィションを啓示されたダニエルに対して、天使のガブリエルは「私は今、あなたに悟りを授けるために出てきた」(ダニエル9章22節)と語りました。
- キリストある私たちも神から与えられる悟りをもつことができます。なぜなら、キリストご自身が「悟り」だからです。「人はその栄華の中にあっても、悟り(※)がなければ、滅びうせる獣に等しい」のです(詩49篇20節)。(※) ここの「悟り」は類義語の「ビーン」(בִּין)です。
- 自分のそむきが神によって赦され、罪がおおわれただけでなく、神に生かされた者として賢くされるという主の約束があります。ものごとの本質を見抜き、明察・洞察力を与えられることは、まさに知恵を与えられることであり、それが成功と勝利をもたらします。
- 詩32篇の1~7節までは、「私とあなた(神)」のかかわりの構図ですが、8~9節は「わたしとあなた」のかかわりの構図です。新改訳は「わたしとあなたがた」としていますが、原文では「あなた」(単数)です。新改訳の訳だと、罪赦されたダビデが他者に対して語っているような解釈になります。しかしここでは神が預言的(励まし)に語っています。(ちなみに、典礼訳ではー意訳的ですがー、「神は仰せになる。『わたしはおまえに教え・・』」と訳しています。新改訳を除くすべての聖書が神とダビデのかかわりの中で語られたことばとして訳しています。)
- 私たちの現実は、「悟りのない馬や騾馬のように」自分勝手な行動をしやすいものです。8~9節の神の預言的な約束―「わたしはあなたに悟りを与え、行くべく道を教えよう。わたしはあなたに目を留めて、助言を与えよう。」―は私たちに大きな励ましとなります。