恩寵用語Ps71
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詩71篇 「再び・・・をする」 שׁוּב シューヴ
〔カテゴリー愛顧〕
20節「あなたは私を多くの苦しみと悩みとに会わせなさいましたが、私を再び生き返らせ、地の深みから、再び私を引き上げてくだいます。」(新改訳)
20節「数多い重い苦悩を私に負わせたあなた、そのあなたはふたたび私を生かしに来られ、地の淵から私を引き上げるだろう。」(バルバロ訳)
Keyword; 「再び」again
- 「再び」と訳された原語はシューヴשׁוּב(shuv)です。本来、シューヴは「返る、帰る」といういう意味ですが、ここでは「再び」という意味で使われています。
- 20節には「私を再び生き返らせ、・・再び私を引き上げてくださいます」と訳されていますが、原文直訳では「あなたが帰る(תָּשׁוּב)。あなたが私を生かすでしょう(תְּחַיֵּינִי) ・・あなたが帰る(תָּשׁוּב) あなたが私を引き上げるでしょう(תַּעֲלֵנִי)」です。主語は「二人称単数、未完了」で、「あなた」、すなわち、神の恩寵が強調されています。「あなたが帰る」とは、再び神が私とかかわってくださるという意味です。そのことによって、神が私を生かし、私を引き上げてくださるのだという意味になります。主語である「あなた」を意識して訳しているのはバルバロ訳です(上記参照)。
- このシューヴשׁוּב(shuv)は実に興味深い動詞です。用途を調べてみると、これは、恩寵、礼拝、敵対の三つの領域において用いられています。これらの三つの領域は別々のものではなく、三つの領域が互いに関連しあって、同時に起こり得る動詞だということです。
(1)神の恩寵用語としてのシューヴשׁוּבは「もとに返す、生き返らせる」という意味で、「捕われて人を(もとに)帰すーreturn」(詩85:1)、「主は(主の教えは)私のたましいを生き返らせーrestore」(詩23:3、詩19:7)とか、「あなたの救いの喜びを私に返しーrestore」(詩51:12)で使われています。他には「主は・・私に償いをされたーreward」(詩18:20, 24)、「怒りを押しとどめるーrestrain」にも使われています。
(2)礼拝用語としてのシューヴשׁוּבは「神に立ち返る、神の方向に足(心)を向ける、悔い改める」といった意味です。「罪人はあなたのもとに帰ります」(詩51:13)、「悔い改めて、生きよ。」(エゼキエル18:32-repent)
(3)敵対用語としてのシューヴשׁוּבは「(敵が)退く、後退する」という意味です。
- このように私たちが神に立ち返るとき、神が再び私たちとかかわりをもってくださり、そのことによって敵が退くという三つの領域の霊的現実が引き起こされます。
- キリスト教の歴史を振り返る時、変革が起こったときには必ずと言ってよいほど、シューヴの現実が見られます。どこに立ち帰ったかといえば、それは神であり、神が語られた聖書に立ち返っているのを知ることができます。現代の危機の時代に生きる教会も、またキリスト者ひとり一人も、真剣にシューヴする必要性に迫られているかもしれません。