恩寵用語Ps77(2)
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詩77篇(2) 「奇しいわざ(を行う)」 פֶּלֶא ペレ
〔カテゴリー防御〕
12節「まことに、昔からのあなたの奇しいわざを思い起こそう。」(新改訳)
14節「あなたは奇しいわざを行われる神・・です。」 (新改訳)
Keyword; 「奇しいわざを行う wonder, do marvelous,
〔動詞 9:1/17:7/27:7/31:21/40:5/71:17/72:18/75:1/78:4, 11,32/86:10/96:3/98:1/
105:2, 5/106:7, 22/107:8, 15, 21, 24,31/111:4/118:23/119:27/131:1/136:4/139:14/145:5 פָּלָא
〔名詞פֶּלֶא 77:11, 14/78:12/88:10, 12/89:5/119:129
- 詩77篇の作者が霊の呻きから解放されることとなった転機は、彼が、昔からの神の奇蹟のわざに思いを向け始めたことでした。
「私は、主のみわざを思い起こそう。まことに、昔からのあなたの奇しいわざを思い起こそう。私は、あなたの名さったすべてのことに思いめぐらし、あなたのみわざを、静かに考えよう。」(11, 12節)
「あなたは奇しいわざを行われる神・・です。」(14節)
- ただし、詩77篇で使われているのは11節も14節も、いずれも名詞形のペレ(פֶּלֶא)です。旧約では13回、そのうち詩篇では7回使われています。
- 動詞の「奇しいわざ(を行う)」と訳された「パーラー」(פָּלָא)の原義は、「不思議に見える、驚嘆する」といった意味です。詩篇では26回(旧約では73回)使われており、詩篇の特愛用語といえます。
- この名詞形「ペレ」(פֶּלֶא)が聖書で最初に登場するのは、出エジプトしたイスラエルの民が紅海を渡ると同時に、追ってきたエジプトの軍勢が海に放り投げられたことです。神の圧倒的な勝利を経験したモーセと民たちがこぞって神を賛美したその歌は、こうでした。
「主よ。神々のうち、だれがあなたのような方があるでしょうか。だれがあなたのように、聖であって力強く、たたえられつつ恐れられ、奇しいわざを行うことができましょうか。」(出15:11)
- 「奇しいわざ」とは神にしかできない奇蹟です。神の民であるイスラエルはまさに神の奇しいわざによって存在し得ています。歴史における様々な民族存亡の危機にも、神の奇しいわざはなされて助け出されました。このとき、人々はただ静かにしていなければなりませんでした。モーセは民に言いました。
「恐れてはいけない。しっかり立って、きょう、あなたがたのために行われる主の救いを見なさい。あなたがたは、きょう見るエジプト人を永久に見ることはできない。主があなたがたのために戦われる。あなたがたは黙っていなければならない。」(出14:13~14)
- この戦いにおける神の奇しいわざは、歴史の中で常に変わらない神の民の原点です。そこに思いを巡らし、静かに瞑想するとき、たとえ自分が置かれている環境が絶望的に見えたとしても、神の奇しいわざを待ち望むことができ、そこにはじめて神による慰めと希望を見出すことができるのだと信じます。