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恩寵用語Ps92

詩92篇「(油を)注ぐ」 בָּלַל バーラル

〔カテゴリー賦与〕

10節「あなたは私の角を野牛の角のように高く上げ、私に新しい油をそそがれました。」
(新改訳)
11節「あなたはわたしの角を野牛のように上げさせ、豊かな油を注ぎかけてくださることでしょう。」(新共同訳)

Keyword;「そそぐ、注ぎかける」  poured upon me 92:10

  • 詩45篇でも「(油を)注ぐ」という恩寵動詞を味わいましたが、ここ詩92篇でも「油をそそぐ」という動詞が登場します。詩45篇と詩92篇ではとせちらも「そそぐ」と訳されていますが、原語は異なります。詩45篇の「(油を)そそぐ」と訳された原語はマーシャハ(מָשַׁח)で、旧約で70回、詩篇には45:7と89:20の2回、「任職の油を注ぐ」という意味で使われています。ところが、詩92篇の「そそぐ」原語はバーラル(בָּלַל)で、旧約では43回、詩篇ではここ1回のみです。これは、あるものに混ぜて、あるいは添えてささげられる油を意味しています。
  • バーラル(בָּלַל)は、モーセの幕屋における主への「穀物のささげ物」に関係があります。罪のいけにえ、罪過のいけにとは異なり、自発的なささけげものですが、それは小麦にオリーブ油を混ぜたものです。それは主に祭司たちの日々の糧となりました。小麦は穀物の中でも貴重なものであり、そして大切な食糧です。人の手のわざを通して、穂を摘み、脱穀して小麦粉として製粉し、それに油を混ぜて(mix)すぐに焼いて食べる事ができるようにしてささげられものです(レビ記2:4, 5/7:10,12/9:4、民数記7:13, 19, 25, 31, 43, 49, 55,61, 67, 73, 79/15:4, 6, 9/28:5,9,12, 13・・等を参照)。バーラル(בָּלַל)の本来的な意味は「混ぜる」です。そこから「添える」という意味が派生します。
  • 19世紀の英国の偉大な説教家、牧会者、大衆伝道者として有名なC・H・スポルジョンが精魂を傾けて、詩篇150篇のすべてを、一篇ももらさず、1節ごとに研究し、解説をした著作ー
    The Treasury of Davidーがあるようです。日本ではいのちのことば社から『ダビデの宝庫』としてⅠ、Ⅱ、Ⅲと出版されていますが(今は絶版)、それは全150篇のうちの42篇を抜粋したものです。その中にある詩92篇10節のスポルジョンの解説には次のようにしるされています。
  • 「・・野牛は、古代人の間では不屈の力を示す場合に好んで用いられる象徴でした。詩篇作者はそれを自分の象徴として取り入れています。・・『私に新しい油をそそがれました。』強くしてくださることに、さらにさわやかと栄誉が添えられます。古代の宴会で客に香油が注ぎかけられたように、聖徒は神の恵みのそそぎかけによってさわやかにされ、喜んでいます。こうした栄養のゆえに、聖徒は悪者のように滅びないのです。・・」(西河直茂訳「ダビデの宝庫Ⅲ」、118頁、いのちのことば社、1993)
  • スポルジョンの解説では10節の「新しい油」を、任職の油ではなく、力に添えられた神の歓迎の喜びとしての油としています。これは彼が「そそぐ」という原語を調べたからです。彼がどんなに緻密にみことばと向き合い、味わおうとしたかを垣間見せてくれます。

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