感情の発露は、詩篇の特徴であることを受け入れること
22. 感情の発露は、詩篇の特徴であることを知ること
- 詩篇には個人的な歌と、共同体的な歌とがありますが、そのいずれにおいても感情の発露が顕著です。これは詩篇の特徴であり、恐れ、驚き、感謝、歓喜などを基調としています。特に、歓喜を基調とした感情を体で表現することに反感や嫌悪を感じられる方もおられるかもしれません。しかし詩篇では大げさともいえる表現が多くなされているのです。新約聖書においては使徒パウロの手紙の中にそうした表現が見られます。例えば、「計り知れない」「あふれるばかりの」「この上もなく」「驚くべき」「喜びあふれる」「言い尽くすことのできない」・・等です。パウロは今日で言うと学者タイプの人ですが、主観的、感情的表現を非常に多く用いた人でもあります。
- 詩篇における「主観性」は一人称単数、「私は、私の、私を(I, my, me)」として表現されます。それはおびただしい程です。しかも一人称単数の世界にはある種の激しさがあります。それは感情的表現が顕著だからです。このような表現に対してつまずきを覚える人は少なくありません。しかしそれは詩篇のもっている力そのものなのです。感情的表現それ自体よりも、むしろそれを産み出させている源泉が何であるかに目を留めることが大切です。