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栄光はイスラエルから去った

4. 栄光はイスラエルから去った

【聖書箇所】4章1節~22節

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はじめに

  • 4章は最悪のシナリオ、最悪の不祥事が記されています。それは「栄光がイスラエルを去った」とあるからです。しかし、神はそうした最悪のところでも、次の新しい時代を担う神の器をすでに備えられていました。それが最後の士師、そして神のことばを預かる預言者サムエルです。
  • ちなみに、栄光が「去った」と訳されている動詞は「ガーラー」(גָּלָה)です。この動詞は本来「啓示用語」です。つまり、神ご自身を現わす、耳を開く、知らせる、あらわにされる、神の秘密やはかりごとを示す意味で使われます。受動態では「目が開かれる、啓示される」という意味です。神がご自身を現す意味で使われている箇所は、サムエル記では2:27/3:21/14:8, 11があります。ところがここ4章では、この語彙のもうひとつの意味である「離れ去る、取り去られる」という意味で使われています。全く反対の意味合いを有する不思議な語彙です。
  • さて、なにゆえに「イスラエルから神の栄光が去った」のか、それはいつまでのことか、神の歴史の文脈の流れの中でどのように理解すればよいのかを瞑想したいと思います。

1. 戦いにおいて「契約の箱」が敵であるペリシテ人に奪われた

  • 4章1節に「サムエルのことばが全イスラエルに行き渡ったころ」とあります。このころペリシテ軍とイスラエル軍が戦いとなりました。しかし、その戦いにもその後も、サムエルは出て来ません。。サムエルが再び登場するのは、7章の再度のペリシテ人との戦いにおいて霊的指導者として登場し、イスラエルを勝利に導いています。つまり、ペリシテ人の戦いにおいて契約の箱を持ち出し、それが奪われるという事態が起こった時にはサムエルはまだ指導的な役割を果たしていなかつたようです。後に、契約の箱がペリシテ領からイスラエル領のキルヤテ・エアリムというところに戻ってから20年後に、再びペリシテ人の戦いがなされます。そのときにはサムエル霊的に指導者として立ち、イスラエルを勝利に導いています。
  • 4章でのペリシテ人との戦いにおいては、形勢が不利であったために、民たちは当時シロの聖所にあった「契約の箱」を戦場に持って来ました。いわば、契約の箱が偶像の神々となんら変わらない程度の扱いを受けたのです。祭司もそのことに無頓着でした。結果的には何の力も現されることなく、イスラエルは戦いに敗れ、祭司エリの二人の息子も戦死し、しかも契約の箱が奪われるという事態を引き起こしたのでした。また、その報告を聞いた祭司エリも驚き、座っていたところから後ろに倒れ、首の骨を折って死にました。神の視点からすれば栄光はすでに去っていたのですが、人間の視点では契約の箱が奪われ、祭司一家が滅んだことによってそれが目に見える形で表されたのです。
  • 祭司エリの首が折れるという出来事は象徴敵です。つまり、体と頭をつなぐ首が折れたということは、イスラエルの神とのかかわりにおける祭司的手段が崩れたことを象徴しています。今やそれに変わる神とのかかわりは、預言者サムエルにゆだねられたのです。今や、神は祭司制度による粛清を余儀なくされ、再びそれが回復するダビデの時代が来るまでは頓挫したのです。

2. 宗教的中心としてのシロの意義

  • ヨシュアの時代においては、シロはイスラエル全家の中心でした。イスラエルの人々は律法で定められた例祭を行うために毎年、シロに集まっていたのです。
  • 士師の時代になってから、シロの宗教的中心地としての役割が希薄になっていきます。士師記21章にシロの記述がありますが、それはベニヤミン族の立て直しのために、主の祭りでシロに集まってくる処女4百人を彼らのために略奪婚が行われるように、他の部族の長たちは計らっています。エリの時代にはシロは霊的に中心地としては最も希薄になった時で、エリの二人の息子たちは自分たちに与えられた立場を利用して人々がささげるささげものの中から最上の部分を横領したため、礼拝はさらなる空洞化を招きました。世襲制としての祭司制の堕落とともに、霊的な堕落もその一途をたどったのです。
  • サムエル時代のシロにおける記述は聖書の中にありませんが、主の臨在を喪失したシロから、次の時代を担べく神のことばを語る新しい指導者が起こされたことは神の歴史支配の妙です。最も霊的に堕落したその場所から、神は神の代弁者となるサムエルという新しい指導者を起こしたのです。まさに神のアイロニーという他ありません。

2012.5.18


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