王妃交代の経緯
ネヘミヤ記、エステル記の目次
1. 王妃交代の経緯
ベレーシート
- エステル記の主人公の「エステル」は2章で登場しますが、その登場の背景となった事件が記されています。不思議なことに、エステル記には一切「神」という言葉は出てきません。しかし神がいないわけではなく、隠れたところで歴史を支配しているのです。目には見えなくとも、一つ一つの出来事の背後に神の配剤が隠されているのです。
王妃ワシェテの廃位の事情
- 具体的なことは記されていませんが、ペルシアの王アハシュエロス(クセルクセスとも言います)が、国威を示しための宴会を催しました。身分の高い者たちを招いてのデモンストレーション的宴会でした。その宴会の最後の日のクライマックスに、王は「酒で心が陽気になり、王妃ワシェテに王冠をかぶらせて、王の前に連れてくるように家臣に命じました。王妃の美しさを集った者に見せびらかすつもりでした。ところが、この王妃は、王の命令を拒んでしまったのです。
- 王妃ワシュティがなぜ王の命令を拒んだのか、その理由は一切記されていません。王妃の弁解もありません。ワシュティの一つの不従順の行為が、国としての品位を落とし、国の面子をつぶすものと見なされて、法に乗っ取っての王妃の廃位となってしまったのです。それは、王妃の王に対する侮辱は、国中の妻が夫を尊敬しなくなってしまうことを懸念してのものでした。
- しかし、聖書は、王の「酒に酔っていたこと」、また自分の思いが通らなかったゆえの「憤り」が招いたことでした。その憤りは尋常なものではなく、「王は非常に怒り、その憤りが彼のうちで燃え立った。」(1:12)と記しています。あるいは、王の身勝手さが招いたとも言える事件です。しかし、この王の身勝手さがなければ、エステル記も書かれなかったと言えます。
- こうしたことは、エルカナの二人の妻、ハンナとペニンナの二人の確執がなかったとすれば、預言者サムエルは生まれなかったかもしれません。そう考えるならば、人間の日常的な営みの中にも、神のご計画があることを教えられます。エルテル記第一章の国家的面子の出来事の中にも、神のご計画が隠されていると言えます。
2013.11.21
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