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瞑想Ps80/B

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瞑想Ps80/B

  • 3節「神よ。私たちをもとに返し、御顔を照り輝かせてください。そうすれば、私たちは救われます。」を瞑想のキーワードとしたいと思います。
  • 3節は、7節にも19節にも繰り返されています。これが詩80篇のテーマであることが分かります。「もとに返す」(シューヴ)も、「照り輝かせる」(オール)も、普通の意味では「返す」、「輝かす」ですが、ここでは強意形(ヒットパエル)が使われており、新改訳は「もとに」とか「照り」というのがついて強意的に訳しています。
  • ところで、「私たちをもとに返す」にある「もと」とは、いったいどの地点に帰ることを意味しているのでしょうか。回復への希求がみられる中で、この問いは重要ではないかと思います。
  • イスラエルの歴史において、「輝かしい歴史」と「苦汁に満ちた歴史」が見えます。前者はモーセに率いられてエジプトを脱出した時からダビデ王(あるいはソロモン)の時代までの歴史。後者はソロモン王以降、北王国と南王国とに分裂し、それぞれの首都であったサマリヤとエルサレムの陥落へとつながる亡国の歴史です。これらを経験した時点にいる詩篇の作者が「私たちをもとに返し」と祈るその「もと」とはいったいどこなのでしょうか。最も華やかだったダビデ、ソロモン時代への復帰を意味するのでしょうか。それとももっと原初的なかかわりへの復帰を意味するのでしょうか。その視点をどこに据えようとしているのか、この詩篇では必ずしも明確ではありません。
  • 今日、日本のキリスト教会の行き詰まり感の中で「霊性の回復」が叫ばれています。この回復への希求も同じ問いが投げかけられていると思います。それは、本来、私たちが立ち帰らなければならないところです。
  • この詩80篇では8節以降、イスラエルの民と神との関係を「ぶどうの木と農夫」にたとえられています。
    「8 あなたは、エジプトから、ぶどうの木を携え出し、国々を追い出して、それを植えられました。9 あなたがそのために、地を切り開かれたので、ぶどうの木は深く根を張り、地にはびこりました。10 山々もその影におおわれ、神の杉の木もその大枝におおわれました。11ぶどうの木はその枝を海にまで、若枝をあの川にまで伸ばしました。」
  • 農夫である神によってぶどうの木が伸びていく様子が語られています。預言者エレミヤは、神とイスラエルの民には初々しい「婚約時代の愛」(脚注)があったことを2章1節に記しています。正式な結婚はシナイで結んだ契約の時でした。そこでは神の一方的な愛に答えようとする民の姿がありました。
  • 新約聖書にも「はじめの愛」ということばがあります。これはエペソの教会に対して「あなたは初めの愛から離れてしまった。」(ヨハネの黙示録2:4)という主の非難のことばの中にあります。「初めの愛」に戻ることが求められています。これは私たちにとってなにを意味するのかが問題です。
  • 詩80篇の作者が「私たちをもとに返し」という祈りも、「初めの愛」に復帰するようにとの主の声も、いずれもイエスが語られた第一の戒め、すなわち、「心を尽くし、思いを尽くし、知力を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛する」愛への回復だと信じます。
  • もし、イスラエルの黄金時代を築いたダビデの時代に戻るとしても、それはダビデの霊性に復帰しなければならないと思います。ダビデの霊性とは、「ただひとつのこと」として彼が第一に求めたところの「主の家に住む」という第一の戒めの回復です。そこに立ち帰らなければ、御顔を慕い求めることにならず、御顔の輝きを仰ぐことはできません。
  • 今一度、神とのかかわりにおいて原初的な地点であるはずの「もとに返らせ」という祈りを深めなければならないのではないかと思います。

  • 岩波訳の「エレミヤ記」の2:2の訳は「新婚時代の愛」と訳しています。その脚注にはこう記されています。
    「原語ケルーロートは『婚約』とも解される。いずれにせよ、神とイスラエルの関係を、預言者ホセアが夫と妻の関係で捉えたのに対し、エレミヤはなかんずく、その出発点の最も蜜なる時期に比論した点に特色がある。」
  • 荒野時代の「神とイスラエルの純愛(ハネムーン時代)」が回顧されています。

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