礼拝用語Ps22
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詩22篇 「賛美する」「ほめたたえる」הָלַלハーラル
〔カテゴリー賛美〕
22節「私は、・・会衆の中で、あなたを賛美しましょう。」(新改訳)
Keyword;「賛美する」(新改訳、新共同訳)、「ほめたたえる」(口語訳) 10:3/18:3/22:22, 23, 26/35:18/56:4, 10/63:5, 6/69:30, 34/74:21/84:4/102:18/104:35/105:45/106:1,48/107:32/109:30/111:1/112:1/113:1,9/115:17,18/116:1,2/117:1,2/119:164,175/135:1,3/145:2/146:1,2,10/147:1,12,20/148:1, 2, 3, 4, 5, 7, 13, 14/149:1, 3, 9/150:
- 「賛美する、ほめたたえる」と訳されるハーラル(הָלַל)のもともとの意味は「輝く、光を放つ」です。いわば「爆発的な喜びをもって、感謝をもって、声を張り上げて、叫ぶようにして神をたたえる」という意味合いをもつことばです。
- 聖書の中には、バーラフ(בָּרַךְ)のように、声を出さずに静かに神と交わる中で賛美する形態もあれば、ハーラル(הָלַל)のように、自分のことも忘れて、なりふり構わず、アクティブに、しかも、会衆とともに神を賛美する形態がこのハーラル(הָלַל)です。その雰囲気は喜びと楽しみにあふれています。楽器も歌も、そして踊りも加わります。神の民が神の救いを楽しみ、勝利にあふれています。神からの新しい力で満たされ、恐れや不安の霊は消え去ります。そして、賛美の後には礼拝者の顔が輝いている、そのようなイメージです。
- ハーラル(הָלַל)の名詞形「賛美」はテヒッラー(תְּהִלָּה)。詩篇のヘブル語名称はテヒッラーの複数形「テヒリーム」と呼ばれます。
- 25節「大会衆の中での私の賛美はあなたからのものです。」(新改訳)
- 25節の訳は冒頭にある前置詞(「ミン」מִן)をどう解釈するかで訳が異なっています。原文では「ミン」に目的格を示す「エート」(אֵתがくっついていることがさまざまな訳となっています。
①前置詞を「・・から、より」と解釈する立場。新改訳、関根訳、岩波訳、口語訳、文語訳。「あなたからの賛美」、「賛美はあなたから」
②前置詞を「・・に」と解釈する立場。新共同訳、「あなたに賛美をささげ」
③前置詞を「・・を」と解釈する立場。フランシスコ会訳。「あなたを賛美しましょう」
- しかし、賛美の力のみならず、神を礼拝することも語り告げることも、いずれにしてもすべては神からの賜物ですから、出処が同じということでどちらに訳しても問題は無いのかも取れません。「愛されている者」を例える「雌鹿」が、力の強い者たちによって取り囲まれ、今にも押しつぶされようとしている状況から、一転して、勝利を叫ぶ作者は「ハーラル」(הָלַל)というなりふりかまわぬ賛美を大会衆の中でしようと決意しています。ダビデの国挙げての幕屋礼拝(後の神殿礼拝も含めて)は、音楽と共に24時間途切れることのない神への賛美を礼拝の中にもたらしました。そしてそれはやがて、ヤコブのすえを越えて全世界に広がっていくというヴィジョンを見ています。
- 「ハーラル」(הָלַל)が使われている詩22篇22節は、詩22篇においてきわめて重要な箇所で、<嘆き>が<賛美>に変わる転換点となる箇所です。この詩篇は<メシア詩篇>とも呼ばれ、キリストの十字架の苦しみと復活の喜びを預言している詩篇です。ヘブル人への手紙2章12節には、詩22篇22節の「私は、御名を私の兄弟たちに語り告げ、会衆の中で、あなたを賛美しましょう。」が引用されています。兄弟たちに語り告げるべき御名とは、詩22篇24節に記されているように、「まことに、主は悩む者の悩みをさげすむことなく、いとうことなく、御顔を隠されもしなかった。むしろ、彼が助けを叫び求めたとき、聞いてくださった」御名です。このことを大会衆の中でたたえる(הָלַל)というのです。イエス・キリストの来臨の目的は、まさにこの御名を告げ知らせることでした。
- ちなみに、旧約では神を表わす用語として五つあります。
①エール(אֵל )
②エローヒーム(אֱלֹהִים)
③アドーナイ(אַדֹנַי)
④ヤーウェ(יהוה) 。ただしユダヤ人はこれを「アドナイ」と読む)。
⑤ヤー(יהּ)。ヤーウェיהוהの省略形)。
- 「ハレル・ヤ」は、ハーラル(הָלַל)とヤー(יהּ)を合わせて「主をほめたたえよ」と訳されます。
- 聖書で「ハレルヤ」とあるのは旧約で24回(すべて詩篇)、新約ではヨハネの黙示録の19章の4回です。その箇所は「小羊の婚宴」といわれる場面です。「婚宴」の基調は「喜び」です。まさに「ハレル・ヤ」(הַלְלו יהּ)は神の大いなる婚宴にふさわしいことばなのです。