礼拝用語Ps89
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詩89篇 「知らせる」 יָדַע ヤーダ
(カテゴリー:宣教 )
1節「私は、主の恵み(複数)を、とこしえに歌います。あなたの真実(単数)を代々限りなく私の口で知らせます。」
I will sing of the loving-kindness of the Lord forever; ―I will make known Thy faithfulness with my mouth (NKJV)
Keyword; 「知らせる」 make known, 40:10/89:1/105:1
- 「知らせる」(新改訳)「告げ知らせる」(口語、新共同訳)と訳された「ヤーダ」(יָדַע)は「知る」という動詞です。「理性的に知る、経験を通して知る、人格的に知る」という意味です。特に、詩139篇では、神とのかかわりにおいて「知る」(יָדַע)ということばが6回も使われています。
- 詩89篇では、神とのかかわりにおいて経験的に知ったことを、他者に「知らせる」「告げ知らせる」「告げる」という意味で使われています。40:10/89:1/105:1参照。つまり大切なことは、自ら経験したことを知らせるということです。ちなみに、詩40篇では「主の真実と救い」を、詩89篇では「主の恵みと真実」を、詩105篇では「主の奇しいみわざ」をそれぞれ伝えようとしています。
- 詩89篇の「恵み」(「ヘセド」חֵסֵד)と「真実(まこと)」(「エムーナー」אֱמוּנָה )、および「義」(「ツェデク」צֶדֶק)と「公正」(「ミシュパート」מִשְׁפָּט )は、契約の土台です。特に「恵みと真実(まこと)とは、イエス・キリストによって実現」します。この契約はシナイ契約とは別なサイトの契約、すなわち、アブラハム契約、ダビデ契約の流れです(モアブ契約にある「心の割礼」賦与も含みます)。モーセを通して結んだシナイ契約は「わざの契約」で、失敗は赦されず、責任が追及されます。しかしアブラハム・ダビデ・モアブ契約では、人の失敗とはなんらかかわりなく、神の一方的な好意に基づく契約です。二つの契約の良い例は、サウル王とダビデ王に対する神の取り扱いに見られます。サウルはシナイ契約を代表し、彼の罪によって恵みは取り去られ、王位も剥奪されました。しかし、ダビデはアブラハム契約を代表し、彼の罪によっても恵みは取り去られず、ダビデの家系と王位は継続しています。前者のわざの契約では永遠ということはあり得ませんが、後者の恵みの契約では永遠ということばが附随しています。この後者の恵みの契約こそ、代々限りなく知らされるべきです。
- イスラエルの民は後者の恵みのサイトによる契約によって保たれ、新しくされてきたのです。私たちも主イエス・キリストを通して恵みの契約の中に生かされています。この契約は「新しい契約」とも言われ、聖霊によって律法を心に書き記されるという神の奇しいわざがなされます。「律法を心に書き記される」とは、私たちが心から神を愛し、神のことばを喜びとする者へと変えられることを意味します。恵みと真実に貫かれた「新しい契約」、私たちはそれを告げ知らせるべき者として選ばれたのです。