神との関係を育てる <1>
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A-15 神との関係を育てる <1>
はじめに
- 神との関係を育てるというトピックで<1>では、神の不在経験をすることが、より深い神の臨在の経験をもたらすということに注目したい。それによって神との関係はゆるぎないものとなっていくからである。<2>では、神との関係が自分にフイットした祈りのスタイルを築くことによって、より自然体な神との友情をもたらすことに触れたい。
(1) ゆるぎない信頼を築く神の不在経験
①だれもが通る道
- 詩篇には嘆きの詩篇と呼ばれる詩篇がある。その詩篇においては、しばしば主の臨在感と不在感(神が遠くにおられる感じがして、祈っても答えられないという不在感)が交錯している。これはいったい何を意味するのか。
- 神が遠くに感じられる時、実は、問題は私たちにあるのではない。これはクリスチャンであるならばだれもか通る道であり、たいてい何度か通されるのが普通なのである。それは痛みと動揺を伴うが、私たちの信仰の成長のためにはどうしても欠かせないものなのである。
- 神が遠く感じられるとき、神が怒っておられるに違いないとか、あの罪のことで懲らしめを受けているのではないかと思うかもしれない。たしかに、罪によって、神との親しい交わりから遠ざかってしまうことはあり得る。しかし、神に見捨てられ拒絶されたと感じるのは、往々にして罪とは関係のないものである。それはむしろ信仰のテストである。神の臨在が感じられず、神が自分の人生に働いておられるという明確な証拠を見出せない時でも、神を愛し、神に信頼し、神に従い、そして神を礼拝することができるであろうか。
②神の不在経験の意義
a. 感情的体験から信頼する関係へ
- クリスチャンが犯している最も典型的な間違いは、神ご自身を求めるよりも何らかの<体験>を求めていることである。つまり、ある種の感情的な体験である。しかしそれを求めることは間違いである。実際、神はしばしば私たちの感情を取り除いて、私たちがそれに依存しないようにされる。信仰が成長するにつれて、神は体験―感情的な高まりーの依存的状態から自立へ向けて私たちを乳離れさせられるのである。
- 神の臨在を感じることは神も願っておられる。しかし、神は<感じる>ことよりも、<信頼する>ことの方に関心をもっておられる。神を喜ばせるものは感情ではなく、信仰である。しかも私たちが信仰において最も成長するのは、人生が崩壊し、神などどこにおられるか分からない、というような時なのである。旧約のヨブはそのようなところを通させられた。ヨブは一日にしてすべてを失ってしまった。家族も、仕事も、そして持ち物すべてである。しかも、最も落胆させられたことは、37章にもわたって、神が何も語ってくださらないことであった。
b. 不在経験は神の臨在を感謝するため
- 神の不在と臨在は、私たちの祈りをより人格的なホンモノの経験とするために神が備えられたものと言える。神はある意図をもって、しばしば私たちから少し離れたところに身を置かれる。神の不在経験は、神が聖であり、神のご性格やみこころについての私たちの見方がいかに真実とかけ離れているかを私たちに教える。私たちには、身近であるゆえにその偉大さに気づかず、むしろ神をないがしろにしてしまう弱さがある。それゆえ、神の不在経験は、むしろ神の臨在を感謝するためのものである。神の臨在と不在の経験によってもたらされるリアリティは、私たちの幻想を打ち砕いて、神に対するさらに深い信仰に導くことにある。神の光と闇とが、私と神との関係を浅瀬からより深みへと導いていくのである。自分のうちにある暗い感情に気づいて落胆したり、落ち込んだりしてしまうのではなく、それまで持っていた自分自身に対する幻想から解放されて、もっと神に柔軟にされることで、自己からの解放という現実を、よりはっきりと味わいつつ、内なる暗闇から抜け出すことができるのである。
c. 不在経験は神に対する新しい視点をもたらす
- このように、神の不在を個人的に経験することで、結局、私たちは神の臨在をより深く、そして新しい視点で受けとめ、神に感謝できるところへと導かれる。ここに神の不在経験の意義があるといえよう。私たちが気づいていなくても、理解できていなくても、神は私たちの近くにおられ、私たちの人生に深くかかわっておられる。心が燃えているときも、あるいは心が燃えていないときでも、主は私たちの生活に親しくかかわっておられる。そのことに気づかされることこそ神のみわざであり、神のいのち(かかわり)に触れることなのである。そして、いのちにおける神のみわざは、たとえば、闇と苦しみの時に、「なぜこれが私の身に起こっているのか」ではなく、「このすべてにおいて御父はどのように私を愛しておられるのか」という問いに私たちを向かわせるのである。
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