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110. 神のことばは永遠に立つ

【読み】
ヤーヴェーシュ　ハーツィール　ナーヴェール　ツィーツ　ウーデヴァル　エローヘーヌー　ヤークーム　レオラーム

【文法】

【翻訳】

【新改訳改訂３】
草は枯れ、花はしぼむ。だが、私たちの神のことばは永遠に立つ。」
【口語訳】
草は枯れ、花はしぼむ。しかし、われわれの神の言葉は／とこしえに変ることはない」。
【新共同訳】
草は枯れ、花はしぼむが／わたしたちの神の言葉はとこしえに立つ。
【岩波訳】
草は枯れ、花はしぼむ。だがわれらの神の言葉は、永久(とこしえ)に立つ。
【NKJV】
The grass withers, the flower fades,　But the word of our God stands forever."
【NIV】
The grass withers and the flowers fall, / but the word of our God stands forever."
【LIB】
草はしおれ、花はしぼむ。 しかし神様のおことばは、いつまでもすたれることはない。
【LXX】

but the word of our God abides for ever.

【瞑想】

イザヤ書40章8節のフレーズは6節から続いているフレーズの結びです。人と神(のことば)が比較対照されています。人がここでは「草」や「花」にたとえられています。それが一時どんなに美しく咲いたとしても、その栄光もまた愛もみなはかないものです。しかし、神のことばは草や花のようではなく、永遠にすたれることはありません。

ここで特に注目したいところは、神のことばは永遠に「立つ」という動詞です。ヘブル語は「クーム」です。それをLXX訳では「メノー」、つまり「とどまる、abide)」と訳しています。草や花が「枯れ、しぼむ」(完了形)であるのに対して、「クーム」は未完了です。つまり、永遠に変わらないであるという意味で「とどまる」ということかもしれません。

日本語の訳語も、大方「立つ」(stand)と訳していますが、口語訳だけは「変わることはない」と訳しています。しかし、この「クーム」という動詞は、立つ、変わることなく堅く立つといった意味にとどまることなく、人をして起こして立たせていく、立ち上がらせていく復活的な意味合いをもった「慰め用語」です。英語で言うなら "raise　up"、"rise"、"arise"です。

使徒ペテロはイザヤ書40章6～8節を引用してこう述べています。
【新改訳改訂第３版】Ⅰペテロ1:23～25
23 あなたがたが新しく生まれたのは、朽ちる種からではなく、朽ちない種からであり、生ける、いつまでも変わることのない、神のことばによるのです。
24 「人はみな草のようで、その栄えは、みな草の花のようだ。草はしおれ、花は散る。25 しかし、主のことばは、とこしえに変わることがない。」とあるからです。
あなたがたに宣べ伝えられた福音のことばがこれです。

つまり、ここでは神のことばの性格について述べながら、それによって私たちを新しく生まれさせたいのちのことばであると語っています。神と子どもとして新しく生まれた者は、神のことばのうちにとどまることによって、イザヤが40章の最後の節で述べているように、鷲のように翼をかって上ることができ、走ってもたゆまず、歩いても疲れることのないような「新しい力を常に与え続ける」のです。
これが神のことばが「立つ」(「クーム」קוּםの未完了)が意味することなのです。ただひとつの慰めは、まさに神のことばの中にあるのです。

ちなみに、「クーム」は新約的には復活を意味する語彙です。エゼキエル書34章にはイスラエルの家の失われた羊のために、神は「わたしは、彼らを牧するひとりの牧者、わたしのしもべダビデを起こす。彼は彼らを養い、彼らの牧者となる。」(23節)とあります。「わたしのしもべダビデ」とはダビデの家から出るメシア、つまり王なるメシアであるイエス・キリストを意味しています。そのメシアを「起こす」とありますが、この動詞は「クーム」(קוּם)です。LXX訳はこの訳語に「アニステーミ」(ανιστημι)を当てていますが、「アニステーミ」は復活用語です。

【付記】
⇒楽譜「ナハムー　ナハムー　アンミー」
⇒楽譜 "You Raise Me Up"