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苦難に対するビルダデの神学(1)

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7. 苦難に対するビルダデの神学(1)

【聖書箇所】8章1節~22節

ベレーシート

  • 6~7章で語られたヨブの語りかけを「激しい風のようだ」として一喝するビルダデの登場です。もし、8章だけを読むならば、「アーメン」で受けとめてそれで終わりということになるでしょう。ここで語られているビルダデの苦難(苦しみ)に対する考え方は、正統主義的な堅牢な思想神学だからです。
  • 詩篇の第一篇には「幸いな人」(「アシュレー・イーシュ」)についての明確な神学があります。「正しい者」と「悪者」についての明確な区別があります。「正しい者」は「水路のそばに植わった木のように」、時が来ると実がなり、その葉も枯れず、何をしても栄えるという祝福がもたらされますが、「悪者(罪人)」は「風が吹き飛ばすもみがらのように」、やがて滅びうせるとされています。この思想こそ、因果応報の思想であり、ビルダデの神学です。この神学について、ヨブ記の8章から整理しておきたいと思います。

1. 苦難に対する応報思想

  • ビルダデ(בִּלְדַּד)は、ヨブに対して「あなたが口にすることばは、激しい風のようだ」と断罪しています。この箇所を中澤洽樹氏は「「いつまで君は息をはずませて文句を言うのだ」と訳しています。ヨブの口から出ることばは軽率な文句にすぎないとビルダデは考えています。なぜなら、彼に言わせれば、神の統治の原理は常に明白で、常に正しく、常に変わらないと考えているからです。特に、神の公義(「ミシュパート」מִשְׁפּט)と義(「ツェデク」צֶדֶק)において神の統治の基準は不変だとしています。
  • 「神は公義を曲げるだろうか。全能者は義を曲げるだろうか。」と訴えています。ここにある「曲げる」という動詞は「アーヴァー」(עָוָה)の強意形ピエル態が使われています。ヨブ記8章3節ではじてめ使われている語彙で、旧約聖書では12回使われていますが、そのうち4回はヨブ記にあります(8:3, 3/19:6/34:12)。「決して曲げられることもゆがめられることもないのだ」というニュアンスで使われています。
  • ビルダデの神学は正統主義であり、教条主義であり、応報思想です。その内容は勧善懲悪の教えであって、善と悪を教える上で重要な考え方です。ヨブの息子や娘たちが災難にあったのは、彼らが神に対して罪を犯したからだとしています。イェシュアの弟子たちもこうした考え方をもっていました。
  • ヨハネの福音書9章で、生まれつきの盲人を見た弟子たちは、イェシュアに質問します。「先生。彼が盲目に生まれついたのは、だれが罪を犯したからですか。この人ですか。その両親ですか。」と。するとイェシュアは、この質問に対して「この人が罪を犯したのでもなく、両親でもありません。神のわざがこの人に現れるためです。」と語られました。おそらく、このイェシュアの答えは弟子たちを驚かせたに違いありません。ヨハネの福音書において「神のわざが現れる」とは、イェシュアが神から遣わされたメシアであることを信じるようになること、あるいはそのことを証しする者となることを意味します。「神のわざが現れる」、これは正統主義とは異なる、人生の苦難に対する全く新しい考え方です。

2. 苦難に対する伝統主義

  • ビルダデの正統的な神学は「応報思想」であることですが、それは彼個人の独断的な考え方ではなく、先輩先人から受け継いだものであり、伝統的な知恵に負うものだとしています。「さあ、先代の人に尋ねよ。その先祖たちの探求したことを確かめよ」(8節)とヨブに語りかけます。「尋ねよ」は「シャーアル」(שָׁאַל)の命令形、「確かめよ」は「クーン」(כּוּן)の命令形です。そうすれば自分の言っていることが理解できるはずだとしています。
  • 伝統主義は、神の基準となる公正と義が人間的な概念(人間が造りだした律法)に微妙にすり替えられていくとき、それは人を苦しめる基準ともなり得るのです。その例が先のヨハネ9章です。いやされた生まれつきの盲人がパリサイ人とのやり取りの中で、「おまえはまったく罪の中に生まれていながら、私たちを教えるのか」と言われただけでなく、外に追い出されてしまいます。伝統主義は律法主義と密接に結び付きます。それゆえ、神の基準から離れていく危険があります。それゆえ、私たちは自分の考え方が、人から来たものか、神から来たものかを常に吟味する必要があるのです。
  • 20~22節は応報神学の鉄則が再び語られています。

    【新改訳改訂第3版】
    8:20 見よ。神は潔白な人を退けない。悪を行う者の手を取らない。
    8:21 ついには、神は笑いをあなたの口に満たし、喜びの叫びをあなたのくちびるに満たす。
    8:22 あなたを憎む者は恥を見、悪者どもの天幕は、なくなってしまう。

  • ビルダデは、神が天上においてサタンに対して語ったヨブの評価ー「ヨブのように潔白で正しく、神を恐れ、悪から遠ざかっている者はひとりも地上にはいない」と語ったことばを知らずに、語っているのは言うまでもありません。


2014.5.27


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