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詩篇89篇に見るメシア

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詩篇は、神と私たちの生きた関係を築く上での最高のテキストです。

12. 詩篇89篇に見るメシア

ベレーシート

  • 詩篇89篇がメシア詩篇であるゆえんは、ルカの福音書1章26~33節で、御使いガブリエルが処女マリヤに告げた受胎告知の中にあります。

【新改訳改訂第3版】ルカの福音書1章30~33節
30 すると御使いが言った。「こわがることはない。マリヤ。あなたは神から恵みを受けたのです。
31 ご覧なさい。あなたはみごもって、男の子を産みます。名をイエスとつけなさい。
32 その子はすぐれた者となり、いと高き方の子と呼ばれます。また、神である主は彼にその父ダビデの王位をお与えになります。33 彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わることがありません。」

  • イェシュアの誕生は、神がダビデとその子孫に対して結ばれた契約に基づくものです。ダビデと結ばれた契約は、王国、王家、王座に関する約束であり、それはダビデとその子孫に永久に(無条件的に)与えられたものです。そのダビデ契約は主が預言者ナタンを通して語られたものです。Ⅱサムエル記7章11~17節に記されています。

【新改訳改訂第3版】Ⅱサムエル記7章11~16節
11・・・わたしはあなたをすべての敵から守って、安息を与える。さらに【主】はあなたに告げる。『【主】はあなたのために一つの家を造る。』
12 あなたの日数が満ち、あなたがあなたの先祖たちとともに眠るとき、わたしは、あなたの身から出る世継ぎの子を、あなたのあとに起こし、彼の王国を確立させる。
13 彼はわたしの名のために一つの家を建て、わたしはその王国の王座をとこしえまでも堅く立てる。
14 わたしは彼にとって父となり、彼はわたしにとって子となる。もし彼が罪を犯すときは、わたしは人の杖、人の子のむちをもって彼を懲らしめる。
15 しかし、わたしは、あなたの前からサウルを取り除いて、わたしの恵みをサウルから取り去ったが、わたしの恵みをそのように、彼から取り去ることはない。
16 あなたの家とあなたの王国とは、わたしの前にとこしえまでも続き、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。」


●12節の「あなたの身から出る世継ぎの子(単数)」とは、「ダビデの子」として生まれたイェシュアによって成就しました。

  • 詩篇89篇におけるメシアの称号は、
    4節の「おまえのすえ(あなたの子孫)」(「ザルエハー」זַרְעֶךָ)。
    29節の「彼の子孫」(「ザルオー」זַרְעוֹ)。
    いずれも単数。また、人称語尾の「おまえ」と「彼」はダビデのことを指しています。

1. ダビデ契約の特徴

  • ダビデ契約の特徴が1~2節、および3~4節に簡潔に記されています。

(1) 「恵み」(「ヘセド」)と「真実」(「エメット」)

【新改訳改訂第3版】詩篇89篇1~4節
1 私は、【主】の恵みを、とこしえに歌います。あなたの真実を代々限りなく私の口で知らせます。
2 私はこう言います。「御恵みは、とこしえに建てられ、あなたは、その真実を天に堅く立てられる」と。

3 「わたしは、わたしの選んだ者と契約を結び、わたしのしもべダビデに誓っている。
4 わたしは、おまえのすえを、とこしえに堅く立て、おまえの王座を代々限りなく建てる。」 


●ここに記されているダビデ契約の特徴は大きく二つあります。一つは、主の「恵み」と「真実」に基づくものであること。もう一つは、主によって「とこしえに建てられ」「天に堅く立てられる」ことです。

「ヘセド」と「エムーナー」.JPG

●第一の主の「恵み」と「真実」という組み合わせは、この詩篇において顕著です。「真実」(「エムーナー」אֱמוּנָה)は過去との関連で語られ、決して神の約束は破られないことを意味する語彙です。「恵み」(「ヘセド」חֶסֶד)は、将来との関連で語られ、無条件的な契約であることを示唆しています。

●89篇での「恵み」は、1, 2, 3, 5, 14, 24, 28, 33, 49節に7回、「真実」は1, 2, 3, 5, 8, 24, 28, 33, 37, 49節の19回が使われています(ただし、28, 37節は動詞「アーマン」(אָמַן)の受動分詞が使われています)。

●第二の「建てられ」と「堅く立てられ」は、ヘブル語の「バーナー」(בָּנָה)と「クーン」(כּוּן)です。「主が家を建てるのでなければ」の「建てる」は「バーナー」(בָּנָה)で、初出箇所は神が「人から取ったあばら骨をひとりの女に造り上げ」の「造り上げる」という箇所に、この動詞が使われています。結婚の奥義の中に、神と人とが住む神の家、神の王国、神の都が建てられることが啓示されています。一方の「クーン」(כּוּן)は堅く立てられ、ゆるぐことがないことを意味しています。

●89篇での「堅く建てられる」は2, 4節の2回。「堅く立てられる」は、2, 4, 21, 37節デ4回が使われています。

  • 以上のような特徴が、詩篇89篇19~37節ではさらに詳しく記されているのです。特に、27~29節は重要です。

【新改訳改訂第3版】詩篇89篇27~29節
27 わたしもまた、彼をわたしの長子とし、地の王たちのうちの最も高い者としよう。
28 わたしの恵みを彼のために永遠に保とう。わたしの契約は彼に対して真実である。
29 わたしは彼の子孫をいつまでも、彼の王座を天の日数のように、続かせよう。


2. ダビデ契約はイェシュアの再臨によって成就する

  • ダビデ契約における恵みは決してもぎ取られることはありませんが、もし、ダビデの子孫たちが主の教えを捨てて、主の道を歩かないならば、主は杖とむちをもって彼らのそむきの罪と咎を罰するとしています(89:30〜32)。
  • ダビデ契約はイェシュアが王としてこの地ドを統治されるという約束です。1945年、イスラエルが復興し、多くのユダヤ人が約束の地であるイスラエルに帰還しています。しかしいまだ不信仰の状態にあります。つまり、イェシュアをメシアとして信じることができないのです。そのために、やがて「ヤコブの苦難の時」(エレミヤ30:7)が待ち受けています。しかしその後に、イェシュアは王の王、主の主として再臨され、この預言を成就されるのです。


2016.8.10


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