詩93篇/B
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瞑想Ps93/B
- 詩篇には、主をイスラエルの、あるいは全世界の王としてたたえているものがあります。そのような詩篇は、新約の光から見直すと良く理解できます。なぜなら、ナザレのイエスの宣教の第一声である「悔い改めなさい。天の御国が近づいたから。」(マタイ4:17)、「時が満ち、神の国は近くなった。悔い改めて福音を信じなさい。」(マルコ1:15)の宣言が意味しているテーマは「神の国」だからです。この「神の国」とその到来こそ、イエスの使命の中心点でした。
- 神の国(天の御国)とは、英語ではキングダム(Kingdom)です。 神の国とは、神の主権、神の支配、神の統治、神の権威のことです。イエスが語られたたとえ話のすべては、この神の国についてのものであり、神の国がどういうものであるか、どうすればそこに入ることができるか、そしてそこに入るための決断をうながすものでした。
- たとえば、イエスが語った有名なことばに「神の国とその義とをまず求めなさい」(マタイ6:33)というのがあります。ここでいう「神の国」とは、神の主権、神の支配、神の統治ことであり、「その義」とは、神の国を自らの生活においてかかわるようにすることであり、それを「何よりもまず求めるように」という勧めがこのみことばの意味するところです。
- また、主の祈りの中に「御国が来ますように。みこころが天になるこどく、地にもなさせたまえ」とありますが、この祈りが意味するところは、神がこの世を治め、神が王としての主権と御力(権力)を現わし、聖なる神の支配と義に対して逆らうすべての敵を追い払い、神のみが全世界の王となってくださるようにということです。
- イエス・キリストが述べ伝えた「神の国」は、基本的には「神の支配」です。神の統治、つまり実際に活動している神の主権性です。しかしなから、神の統治はいくつかの領域があって、未来に現わされる領域、と現在に現わされている領域があります。前者は、やがてキリストの再臨によって実現する領域であり、後者は、イエスの初臨においてじつげんしている領域です。神の国の福音はその二つの領域にまたがっています。
- 旧約における神の国は、この二つの領域が分けられることなく、入り混じって描かれています。特に「主を王として賛美する詩篇」は、この「神の国」がテーマとなっています。
- 主イエスが語った神の国のたとえ話において、その「神の国の奥義」がさまざまな面から描かれているように、「主を王として賛美する」詩篇も、統治者である王がいかなる方であるのか、あるいは、その王が治める国とはどのような国かをさまざまな面から描いているのです。
- ちなみに、詩93篇では、統治される王としての風格をたたえています。
王の風格を表わす語彙の訳語
93:1a | 93:1b | 96:6a | 96:6b | 96:6c | 96:7 | 99:9 | |
ヘプル語 | ゲウート | オズ | ホッド | ハーダール | テイフェレット | カーボード | カドーシュ |
新改訳 | みいつ※ | 力 | 尊厳 | 威光 | 光栄 | 栄光 | 聖 |
新共同訳 | 威厳 | 力 | 栄光 | 輝き | 光輝 | 聖 | 尊厳 |
口語訳 | 威光 | 力 | 誉 | 威厳 | うるわしさ | 栄光 | 聖 |
岩波訳 | 気高さ | 力 | 威光 | 栄誉 | 輝き | 栄光 | 聖なる |
関根訳 | 威厳 | 力 | 尊き | 栄え | 輝き | 栄光 | 聖くある |
フランシスコ会訳 | 威光 | 力 | 輝き | 威光 | 美 | 栄光 | 聖なる者 |
バルバロ訳 | 威光 | 威勢 | 威厳 | 光輝 | 美 | 光栄 | 聖なるもの |
英語 | Majesty | Strenghth | Honor | Majesty | Beauty | Glory | Holy |
※一般的には、「みいつ」は日本では天皇陛下しか使わないことばです。「君」という表現も天皇陛下を表わす語彙です(「君が代」)。讃美歌にも「君なるイエスはいまあれましぬ」とあります。あるいは「あなたは唯一の君」として歌われます。ここでの「君」も、王としてのイエスのことを指して歌っています。英語では Your Majesty と表現したりします。