****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

1章20~21節


創世記1章20~21節

【新改訳2017】

20 神は仰せられた。「水には生き物が群がれ。鳥は地の上、天の大空を飛べ。」
21 神は、海の巨獣と、水に群がりうごめくすべての生き物を種類ごとに、また翼のあるすべての鳥を種類ごとに創造された。神はそれを良しと見られた。

כ וַיֹּאמֶר אֱלֹהִים יִשְׁרְצוּ הַמַּיִם שֶׁרֶץ נֶפֶשׁ חַיָּה וְעֹוף יְעֹופֵף עַל־הָאָרֶץ עַל־פְּנֵי רְקִיעַ הַשָּׁמָיִם׃
כא וַיִּתֵּן אֹתָם אֱלֹהִים בִּרְקִיעַ הַשָּׁמָיִם לְהָאִיר עַל־הָאָרֶץ׃

●以下にあるように、20~21節では7個、22~23節では4個が新しく登場する語彙です。ここでは20~21節にある7つの語彙を取り上げます。

①「生き物」(「ネフェシュ・ハッヤー」נֶפֶשׁ חַיָּה)
②「鳥」(「オーフ」עוֹף)
③「海の巨獣」(「タンニーニム」תַּנִּינִם)・単数は「タンニーム」(תַּנִּין)
④「群がる」(「シャーラツ」שָׁרַץ)、「群がるもの」(「シェレツ」שֶׁרֶץ)
⑤「うごめく」(「ラーマス」רָמַשׂ)
⑥「飛ぶ」(「ウーフ」עוּף)
⑦「翼」(「カーナーフ」כָּנָף)

●これらはいずれも重要な語彙です。一つひとつ「探る」必要があります。特に「ネフェシュ・ハッヤー」(נֶפֶשׁ חַיָּה)は「生き物」という意味で、「息をするもの、呼吸するもの」を意味します。つまり、息をしなくなると死んでしまう存在、それが「ネフェシュ・ハッヤー」なのです。つまり、海に住むもの、空を飛ぶ鳥、地の生き物、動物、家畜、野の獣、地を這うもの、そして人間も「ネフェシュ・ハッヤー」(נֶפֶשׁ חַיָּה)なのです。

●ここで注目すべきことは、1章1節で使われた「創造された」(「バーラー」בָּרָא)が、21節の「水の生き物と翼のある鳥」と27節の「人間」の場合に使われていることです。ちなみに、「実をつける木」(11, 12節)、「光る物」(16節)、「地の生き物」の場合には「アーサー」(עָשָׂה)という動詞が使われています。この違いは一体何を意味するのでしょうか。ひとつ言えることは、神が創造した(「バーラー」בָּרָא)したもの、つまり「水の生き物と翼のある鳥」と「人間」に対して、神が「生めよ、増えよ、満ちよ」(22, 28節)と祝福されていることです。

●ところで、20~23節の「第五日」では、水に住むものと大空を飛ぶ鳥しか出てきません。なぜこの組合せなのでしょうか。第六日では、地の動物と人の組み合わせです。これらの組み合わせの必然性はどこにあるのでしょうか。

1. 「水にうごめく生き物」

●「水にうごめく生き物」(=魚)と「天の大空を飛ぶ翼のある鳥」が創造されています。これらは文字通りの存在なのか、それとも象徴的な存在なのかということです。文字通り、魚と鳥が造られたとすれば理解は簡単ですが、そのような表面的な理解だけでよいのでしょうか。確かに、神は魚も鳥も造られたことは大前提だとしても、創世記1章はただそのことだけを記しているのか、それともさらに隠された意味があるのかどうか、あるとすれはせそれは何かを探っていきたいと思います。

●水と水の間を分けるようにして大空が造られ、その大空を天と名づけ、それぞれの水を上の水と下の水に分けられました。下の水は一つ所に集められて、「乾いた所」(יַּבָּשָׁה)と「海」(יַמִּים)に分けられました。その「乾いた所」を「地」(אֶרֶץ)と名づけられました。神はその海に、生き物、すなわち、群がりうごめく生き物(魚)と海の巨獣、そして天の大空を飛ぶ翼のある鳥を造られました。「水」は冠詞付きの「ハッマイム」(הַמַּיִם))で「下の水」という意味です。そこにむらがりうごめく生き物といえば、魚「ダーガー」(דָּגָה)、あるいは「ダーグ」(דָּג)です。ただしその語彙は出て来ません。水の中の生き物、水の中でうごめく生き物です、

●イェシュアの弟子たちのうち少なくとも4人(シモン、アンデレ、ヤコブとヨハネ)は漁師です。なにゆえにイェシュアの弟子たちが漁師だったのでしょうか。それは彼らが魚と関係していたからに他なりません。聖書で「魚」が出て来る箇所と言えば、以下の箇所です。

①ルカの福音書5章1~11節・・・網が破れるほどの大漁であった。
②ヨハネの福音書21章3~11節・・153匹の大漁であった。
③マタイの福音書13章47~49節・・天の御国はあらゆる種類の魚を集める網のようなものです。
④エゼキエル書47章1~10 死海に群がるあらゆる生物は生き、非常に多くの魚がいるようになるという幻。


①は、ペテロに対してイェシュアが「これから後、人間をとるようになる」と言って魚と人間を結び付けています。

②の153匹の魚という数は、ギリシア語の魚を意味する「イクスュエス」(ἰχθύες)が、153の倍数(8)になります。また、パウロのローマ書8章17節の「共同の相続人」(「スンクレーロノモイ」συγκληρονόμοι)も153の倍数(7)なのです。別の解釈では、神とのかかわりを表わす「食べる」を意味するヘブル語の「アーハル」(אָכַל)を構成している三つの文字、すなわち「アーレフ」(א)、「カフ」(כ)、「ラーメド」(ל)という文字から順に「1」+「10」+「40」=「51」という数字を導き出すことができます。シモン・ペテロはイェシュアの十字架の前にそのかかわりを「三度」否定しました。それに対しイェシュアは死からよみがえってから弟子たちにご自分を表わされたのは、「三度目」だとヨハネは強調しています(21:14)。さらにこの後 21章15節からの箇所で「三度」も「ヨハネの子シモン、あなたはわたしを愛しますか。」と尋ねられ、それに対してペテロは「はい。 主よ。私があなたを愛することは、あなたがご存じです。」 と答え、彼とイェシュアとの関係の回復が「三度」確認されます。つまり神とのかかわりを表わす「アーハル」のゲマトリアは「51」ですから、これを「三度」繰り返すとその答え「153」となります。このように、ペテロが引き上げた「153」匹の魚とは、イェシュアとシモン・ペテロ、あるいは神とイスラエル、神と人との交わりの関係の回復を指し示している数と考えられます。そして 153 匹の魚 でいっぱいになった網が「破れなかった」ことにも、この回復された神と人との関係がもはや決して絶えることがないことが示されていると考えられます。

●つまり、神の御子キリストを信じることによって神の家族とされた神の子どもたちを、聖書は「魚」にたとえているのです。これは神によってしか創造し得ないことです。ですから、神にしか使われない「バーラー」(בָּרָא)が使われていると考えられます。

●「群がる」(「シャーラツ」שָׁרַץ)は創世記1章20~21節では「水に群がる生き物」ですが、それ以降は地に群がる生き物に使われています。出エジプト記1章7節では、「イスラエルの子らは多くの子を生んで、群れ広がり、増えて非常に強くなった。こうしてその地は彼らで満ちた」とあります。しかし、レビ記11章では「地に群がる者は、汚れたもの」とされています(29, 31, 41, 42, 43, 46節)。エゼキエルの幻では「死海に群がるあらゆる生物は生き、非常に多くの魚がいるようになる」と記されているのです。


2. 「海の巨獣」

●「海の巨獣」(「タンニーニム」תַנִּינִם)とは何でしょうか。これは「タンニーン」(תַּנִּין)の複数形です。「タンニーム」は「海の巨獣」という意味だけでなく、他に「わに、へび、竜」も意味します(出7:12、申命記32:33では「」)。詩篇74篇13節と14節には、以下のように、「海の巨獣」が「レビヤタン」と同義であることがわかります。

【新改訳2017】詩篇74篇13~14節
13 あなたは御力をもって海を打ち破りその水の上の竜の頭を砕かれました。
14 あなたはレビヤタンの頭を踏みにじり砂漠に住むものたちの餌食とされました。
(※新改訳改訂第三版では、「竜」を「海の巨獣」と訳されていました。)

①【新改訳2017】ヨブ記 41章1 節
あなたは釣り針でレビヤタンを釣り上げることができるか。輪縄でその舌を押さえつけることができるか。
②【新改訳2017】詩篇 104篇26節
そこを船が行き交いあなたが造られたレビヤタンもそこで戯れます。
③【新改訳2017】ヨブ記 3章8節
日を呪う者たちが、レビヤタンを巧みに呼び起こす者たちが、その日に呪いをかけるように。
④【新改訳2017】イザヤ書 27章1 節
その日、【主】は、鋭い大きな強い剣で、逃げ惑う蛇レビヤタンを、曲がりくねる蛇レビヤタンを罰し、海にいる竜を殺される。

●上から順に見ていくと、「レビヤタン」は、ヨブ記41章1節にあるように「力ある存在」であり、かつ詩篇104篇26節にあるように決して悪い存在ではないことがわかります。しかし、ひとたび「レビヤタンを巧みに呼び起こす者たち」(神のみこころに逆らう者たち)によって、捻じ曲がってしまう存在ともなるのです。それゆえ、そうなったレビヤタンは神に罰せられることになります。


●「レビヤタン」のヘブル語の綴りは、לִוְיָתָןです。この語彙の中に「連なる、伴う」を意味する「ラーヴァー」(לָוָה)が見て取れます。もし、「ヤーターン」(יָתָן)が「賦与する、与える」を意味する「ナータン」(נָתַן)だとするならば、合成語として「神に連なる存在」だとも解釈できます。それは、ヤコブの子「レビ」、あるいは「レビ人」を意味し、彼らは「祭司たち」です。とすれば、次に説明する「翼のある鳥」と同じ務めを担う者たちを意味します。こうしたの存在が神のみこころに逆らうものとなるとき、蛇の仲間である「まむしの子孫たち(צִפְעוֹנִים)」と呼ばれるのです。以下がそうです。語彙としては同じではありませんが、意味としては同義です。

①はバプテスマのヨハネのことばで、②と③はイェシュアのことばです。

①【新改訳2017】マタイの福音書 3章7節
ヨハネは、大勢のパリサイ人やサドカイ人が、バプテスマを受けに来るのを見ると、彼らに言った。「まむしの子孫たち、だれが、迫り来る怒りを逃れるようにと教えたのか。
②【新改訳2017】マタイの福音書 12章34 節
まむしの子孫たち、おまえたち悪い者に、どうして良いことが言えますか。心に満ちていることを口が話すのです。
③【新改訳2017】マタイの福音書 23章33節
蛇よ(נְחָשִׁים)、まむしの子孫よ。おまえたちは、ゲヘナの刑罰をどうして逃れることができるだろうか。

●このようにして見ると、なぜパリサイ人やサドカイ人たちが「まむしの子孫たち」と呼ばれたのかが理解できるのです。


3. 「翼のある鳥」

●次に「」、しかも「翼のある鳥」が飛ぶように造られています。翼のある鳥の王者は何といっても「鷲」です。「鷲」の初出箇所を見てみましょう。

【新改訳2017】出エジプト記19章4 節
『あなたがたは、わたしがエジプトにしたこと、また、あなたがたを鷲の翼に乗せて、わたしのもとに連れて来たことを見た。

●これは比喩的、かつ象徴的な表現です。「鷲の翼に乗せて」とは、祭司たちの働きによってという意味です。事実、イスラエルの民たちは祭司であるモーセとアロンの指導の下にエジプトから脱出し、シナイ山の麓までやって来たのです。

【新改訳2017】イザヤ書40章27~31節
27 ヤコブよ、なぜ言うのか。イスラエルよ、なぜ言い張るのか。「私の道は【主】に隠れ、私の訴えは私の神に見過ごされている」と。
28 あなたは知らないのか。聞いたことがないのか。【主】は永遠の神、地の果てまで創造した方。疲れることなく弱ることなく、その英知は測り知れない。
29 疲れた者には力を与え、精力のない者には勢いを与えられる。
30 若者も疲れて力尽き、若い男たちも、つまずき倒れる。
31 しかし、【主】を待ち望む者は新しく力を得、鷲のように、翼を広げて上ることができる。走っても力衰えず、歩いても疲れない。

●出バビロンの時も、イザヤ書40章30節で預言されているように、イスラエルの民は(厳密にはユダの民ですが)、「新しく力を得る」ことが「翼を広げて上ること」にたとえられていますが、それは祭司たちが神によって新しく造られる(バーラー)ためなのです。それが創世記1章20節で「鳥は地の上、天の大空を飛べ」と言われている所以なのです。祭司たちが、神によってみここにかなった働きがなされるとき、神の民は「新しく力を得、走っても力衰えず、歩いても疲れない」ということが起こるのです。


●「」は「カーナーフ」(כָּנָף)で、それは「衣の」を意味します。裾にある(「ツィーツィーット」צִיצִית)も同様に神のみことばを意味しているのです。12年間長血で苦しんでいた女が、イェシュアの衣の房に触れた時に、みことばの力がイェシュアから流れ出て彼女を癒やしました(マタイ12:10~22)。

●旧約聖書の最後の原書であるマラキ書にはこうあります。

【新改訳2017】マラキ書4章1~2節
1 「見よ、その日が来る。かまどのように燃えながら。その日、すべて高ぶる者、すべて悪を行う者は藁となる。迫り来るその日は彼らを焼き尽くし、根も枝も残さない。──万軍の【主】は言われる──
2 しかしあなたがた、わたしの名を恐れる者には、義の太陽が昇る。その翼に癒やしがある。あなたがたは外に出て、牛舎の子牛のように跳ね回る。
(※「義の太陽」とはメシア。その翼とは「大祭司キリストによる神のことば」を意味します。)

●メシアの翼による「癒やし」(=救い)は、神にしかできない新しい創造なのです。


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