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12章の「一人の女」について


ヨハネの黙示録12章の「一人の女」について

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ベレーシート

●ここには「イスラエルを中心とした最後のさばきー大患難時代」のことが記されています。11章19節で「天にあるかの神殿が開かれた」とありますから、これは教会ではなく、イスラエルに関係することがらであることが分かります。「契約の箱」はイスラエルにとって最も重要なのです。「契約の箱は神のご臨在の象徴です。「稲妻、声、雷鳴、地震、大きな雹」はすべてこれから起ころうとする神のさばきを表していますが、「契約の箱」の存在は、未曽有な苦難の中にあってもイスラエルに対する神の約束を保証してくれるものなのです。

●12章には、「一人の女」「男の子」「竜」「ミカエル」が登場します。特に、「一人の女」「男の子」「竜」が何者なのかは非常に重要です。牧師の書斎にある「ヨハネの黙示録」では12章が割愛されています。なぜなら、それを執筆した時には理解が乏しかったために、その箇所に触れないでおきました。しかし、聖書における「女」(創世記2章、エペソ5章、黙示録21章)について調べるうちに、どうしても避けて通ることはできず、黙示録12章の学びを余儀なくされたという経緯があります。

1. 「一人の女」のヴィジョン

●さて、11章19節の啓示を前提として、12章1~2節では「ひとりの女」のヴィジョンが示されます。

【新改訳2017】ヨハネの黙示録11章19節
それから、天にある神の神殿が開かれ、神の契約の箱が神殿の中に見えた。すると稲妻がひらめき、雷鳴がとどろき、地震が起こり、大粒の雹が降った。

【新改訳2017】ヨハネの黙示録12章1~2節
1 また、大きなしるしが天に現れた。一人の女が太陽をまとい、月を足の下にし、頭に十二の星の冠をかぶっていた。
2 女は身ごもっていて、子を産む痛みと苦しみのために、叫び声をあげていた。

●12章で登場する「一人の女」は、これから大患難にあう「男の子」を産みます。その「男の子」とは「イスラエルの残りの者たち」のことです。彼らは、11節にある「子羊の血と、自分たちの証しのことばのゆえに竜に打ち勝った。彼らは死に至るまでも自分のいのちを惜しまなかった」勝利者たちなのです。

●「太陽をまとい」とは、太陽は「神である主」を意味します(詩篇84:11)。女が太陽をまとっているのは、イスラエルの残りの者は将来「世の光とされる」時が来るからです。「月を足の下にし」の「月」とは暗闇や夜を象徴しますから、やがてイスラエルはやがて勝利者となることを意味します。つまり、将来、イスラエルは世界に対して指導的な地位と力が与えられることを意味しています。またこの「一人の女」が「頭に十二の星の冠をかぶっていた」とあるのは、十二の星とはイスラエルの12の部族を意味し、そのイスラエルが千年王国において世界を支配するようになることを意味しています。ところが、そんな女が今や「身ごもっていて、子を産む痛みと苦しみのために、叫び声をあげていた」のです。

2節で「女は身ごもっていて、子を産む痛みと苦しみのために、叫び声をあげていた。」とありますが、すでに女が子を産んだ時がありました。その時は「痛みと苦しみ」はなかったのです。イザヤ書66章にはこうあります。

【新改訳2017】イザヤ書66章7~9節
7 「彼女は産みの苦しみが来る前に産み、陣痛が来る前に男の子を産み落とす。(キリストの初臨)
8 だれが、このようなことを聞き、だれが、これらのことを見たか。地は一日の苦しみで産み出されるだろうか。国は一瞬にして生まれるだろうか。ところがシオンは、産みの苦しみと同時に子たちを産む。(キリストの再臨前)」

●12章2節では「女は身ごもっていて、子を産む痛みと苦しみのために、叫び声をあげて」いるのです。「産みの痛みと苦しみ」とは大患難時代のときのことです。その時には「子たちを産む」とはメシアを信じる「イスラエルの残りの者たち」を産むことになるという預言です。

2. 「赤い竜」

【新改訳2017】ヨハネの黙示録12章3~4節
3 また、別のしるしが天に現れた。見よ、炎のように赤い大きな竜。それは、七つの頭と十本の角を持ち、その頭に七つの王冠をかぶっていた。
4 その尾は天の星の三分の一を引き寄せて、それらを地に投げ落とした。また竜は、子を産もうとしている女の前に立ち、産んだら、その子を食べてしまおうとしていた。

●「竜」とはサタンのことであり、創世記3章の「へび」が巨大化しています(14,15節では「蛇」と記されています)。しかも「七つの頭と十本の角を持ち、その頭に七つの王冠をかぶっていた」は「獣」の非常に似ていますが、異なる点は、頭に七つの王冠をかぶっていることです。獣の場合は「その角には十の冠があり」とあります。頭は決定する権威を象徴しますが、角は執行する権威を象徴します。頭は統制し、角は執行します。

●「その尾は天の星の三分の一を引き寄せて、それらを地に投げ落とした」とは、竜とともに堕落した天使が、天使たちの1/3に及んだことを示しています。ここから「悪霊」が生まれたのです。

3. 「男の子」

【新改訳2017】ヨハネの黙示録12章5節
女は男の子を産んだ。この子は、鉄の杖をもってすべての国々の民を牧することになっていた。その子は神のみもとに、その御座に引き上げられた。

●ここでの「男の子」とは約束されたメシアのことではなくて、11節では「兄弟たち」となっています。つまり、彼らはイスラエルの民でありながら、「残りの民」と言われる勝利者たちなのです。Ⅰ列王記19章18節に「バアルにひざをかがめず、バアルに口づけしなかった者」、七千人がいます。ハウロもローマ11章でこのことを引用しています。「神はご自分の民を退けてしまわれたのか、絶対にそんなことはない」というその根拠として、その箇所を引用しています。大患難時代の未曽有の苦難をイスラエルは通らせられますが、その意図は彼らが神に立ち帰るための最後のチャンスとするためです。その目的のために、神はイスラエルを象徴する「一人の女」を通して「男の子を産み出す」のです。その子は「鉄の杖をもってすべての国々の民を牧することになっていた」とあります。この表現は詩篇2篇9節のメシアに対する預言としてのフレーズですが、黙示録において3回、それぞれ、教会イスラエルの残りの者、そしてイェシュアに対して用いられています。ですから、「男の子」、イコール「イェシュア」ではないのです。

①2章26~27節の教会に対して。
②19章15節の再臨のメシアに対して。
③12章の「男の子」に象徴される「イスラエルの残りの者たち」です。


4. 「荒野」(神が備えられた場所)

【新改訳2017】ヨハネの黙示録12章6節
女は荒野に逃れた。そこには、千二百六十日の間、人々が彼女を養うようにと、神によって備えられた場所があった。

●「女は荒野に逃れた」とは、「イスラエルの民」は患難時代の後半、千二百六十日の間、荒野に逃れたとあります。神とサタンとの最終的な戦いである「ハルマゲドンの戦い」において、イスラエルの民たちに「神によって備えられた場所」が備えられているのです。その場所とは「ボツラ」(ギリシア語では「ペトラ」)です(脚注)。そのところで、彼らは恵みと嘆願の霊によってイェシュアがメシアであることを悟り、悔い改め、その名を呼び求めます。そのことでメシアが再臨されるのです。反キリストは軍勢をエルサレムだけでなく、ボツラにも派遣します。ところが、その場所にメシアが再臨され、イスラエルの民は助け出されるのです。そのあとに、メシアはオリーブ山に立ち、反キリストとその軍勢を滅ぼされるです。このことを記しているのが、19章11~21節です。

5. 「ミカエル」

【新改訳2017】ヨハネの黙示録12章7~9節
7 さて、天に戦いが起こって、ミカエルとその御使いたちは竜と戦った。竜とその使いたちも戦ったが、
8 勝つことができず、天にはもはや彼らのいる場所がなくなった。
9 こうして、その大きな竜、すなわち、古い蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれる者、全世界を惑わす者が地に投げ落とされた。また、彼の使いたちも彼とともに投げ落とされた。

●ここから場面が変わり、「天に戦いが起こって、ミカエルとその御使いたちは竜と戦った」とあります。これは「男の子」が生まれたことによるものです。この戦いの結果、竜であるサタンはミカエルとそれに従う御使いたちと戦って、負けて地に投げ落とされます。サタンの転落は三段階[天⇒空中(エペソ2:1)⇒地]です。サタンは彼らを当然迫害し、死に至らしめますが、彼らは殉教し、神のみもとである御座に引き上げられます(5節)。

●ちなみに、「ミカエル」(מִיכָאֵל)とは「だれが神のようであろうか」という意味の名前です。サタンの意図は自分が神のようになろうと願っただけでなく、また人をも誘惑して神のようにならせようとしました。しかし、ミカエルの名前が意味するように、「だれが神のようであろうか」という問いかけは、サタンに対して「決してそうはいかない」というメッセージを発しているのです。

6. 「天からの声」

【新改訳2017】ヨハネの黙示録12章10~12節
10 私は、大きな声が天でこう言うのを聞いた。「今や、私たちの神の救いと力と王国と、神のキリストの権威が現れた。私たちの兄弟たちの告発者、昼も夜も私たちの神の御前で訴える者が、投げ落とされたからである。
11 兄弟たちは、子羊の血と、自分たちの証しのことばのゆえに竜に打ち勝った。彼らは死に至るまでも自分のいのちを惜しまなかった。
12 それゆえ、天とそこに住む者たちよ、喜べ。しかし、地と海はわざわいだ。悪魔が自分の時が短いことを知って激しく憤り、おまえたちのところへ下ったからだ。」

●「大きな声」とは神の勝利を宣言する天の声です(11:15, 16:17, 19:1)。特に、第七の御使いがラッパが吹き鳴らした時の天から大きな声、つまり「この世の王国は、私たちの主と、そのキリストのものとなった。主は世々限りなく支配される」(11:15)、また、第七の御使いが鉢を空中にぶちけた後の天からの声である「事は成就した」(16:17)は重要です。

●12章で、大きな声が「兄弟たち」と言っているのは「イスラエルの残りの者たち」、すなわち、竜に打ち勝った「勝利者たち」です。彼らは「小羊の血」と「自分たちの証しのことば」(=イェシュアがメシアであるという告白)と「自分のいちのを惜しまなかった」主への従順さによって勝利者とされた者たちです。彼らの影響力は相当に大きなものであったと考えられます。おそらく、彼らも11章に登場する「二人の証人」の影響があったと思われます。

7. ハルマゲドンの戦い

【新改訳2017】ヨハネの黙示録12章13~17節
13 竜は、自分が地へ投げ落とされたのを知ると、男の子を産んだ女を追いかけた。
14 しかし、女には大きな鷲の翼が二つ与えられた。荒野にある自分の場所に飛んで行って、そこで一時と二時と半時の間、蛇の前から逃れて養われるためであった。
15 すると蛇はその口から、女のうしろへ水を川のように吐き出し、彼女を大水で押し流そうとした。
16 しかし、地は女を助け、その口を開けて、竜が口から吐き出した川を飲み干した。
※大水とは、ここでは反キリストの率いる軍隊のこと。
17 すると竜は女に対して激しく怒り、女の子孫の残りの者、すなわち、神の戒めを守り、イエスの証しを堅く保っている者たちと戦おうとして出て行った。

●ここでは「ハルマゲドンの戦い」のことが記されています。13節は、6節とつながります。このことが起こるのは7年間の患難期の中頃です。パウロは教会と聖霊が地上を去った携挙の後に、この時が来ることを示しています(Ⅱテサロニケ2:3~7)。

●15節の「大水」とは、反キリストの率いる軍隊のことを意味します。また、17節の「女の子孫の残りの者、すなわち、神の戒めを守り、イエスの証しを堅く保っている者たち」とは、イスラエルの残りの者たちのことを述べています。使徒パウロはローマ人への手紙11章で、「バアルに膝をかがめなかった七千人」を例にあげながら、神の恵みによる「イスラエルの残りの者」について以下のように記しています。

【新改訳2017】ローマへの手紙11章1~5節
1 それでは尋ねますが、神はご自分の民を退けられたのでしょうか。決してそんなことはありません。この私もイスラエル人で、アブラハムの子孫、ベニヤミン族の出身です。
2 神は、前から知っていたご自分の民を退けられたのではありません。それとも、聖書がエリヤの箇所で言っていることを、あなたがたは知らないのですか。エリヤはイスラエルを神に訴えています。
3 「主よ。彼らはあなたの預言者たちを殺し、あなたの祭壇を壊しました。ただ私だけが残りましたが、彼らは私のいのちを狙っています。」
4 しかし、神が彼に告げられたことは何だったでしょうか。「わたしは、わたし自身のために、男子七千人を残している。これらの者は、バアルに膝をかがめなかった者たちである。」
5 ですから、同じように今この時にも、恵みの選びによって残された者たちがいます。


ベアハリート

●このように、12章の天に現われた「巨大な天のしるし」に見る「一人の女」の功績は、サタンに敵対する「男の子」を生んだことです。それはこれからのことです。その「男の子」はイスラエルの救いにおいて大きな助けとなるのです。そのような「男の子」を産んだあと、その女は神に備えられた場所で守られ、やがてはそこで「恵みと嘆願の霊」が注がれて神に立ち帰り、再臨のキリストによって助け出されることになるのです。


脚注

ボツラ(בָּצְרָה)は「エドムの町の主要都市の一つ」ですが、「囲い、(羊の)おり」(ミカ2:12)という意味があります。語源の「バーツァル」(בָּצַר)は、「堅固にする、近寄りがたくする」といった「要害」としての意味合いがあります。


2020.5.25
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