15章から19章までの「三つのトピック」
ヨシュア記の目次
15. 15章から19章までの「三つのトピック」
【聖書箇所】 15章1節~19章51節
はじめに
- 15章から19章まではレビ族と東側のルベン、ガド、マナセの半部族を除く相続地の配分が記されています。その中から三つのトピックを取り上げたいと思います。
1. カレブとヨシュアに与えられた個人的な相続地
- 第一のトピックはエジプトを脱出した第一世代の中で、ヨシュアとカレブだけが約束の地に入りましたが、その二人については特別に、個人的な相続地を与えられたということです。ユダ族のカレブはヘブロン(そこはアナク人の中でも最も偉大な人物がいたところでした)。一方のヨシュアはエフライム部族ですが、特別にティムナテ・セラフという場所を与えられましたが、二人とも自らそこを求めました。この個別の相続地は彼らが主に従い通した賜物ということができます。
2. 完全には追い出すことができなかった
ユダ族の相続地は低地、山地、荒野が与えられましたが、15章63節には「エルサレムに住むエブス人を追い出すことができなかった」とあります。エルサレムは自然要塞の町でした。後にその町はダビデによって征服されたばかりか、全イスラエルの中心地となります。
エフライム族も16章10節にあるように、「彼らはゲゼルに住むカナン人を追い払わなかった」とあります。それゆえカナン人は苦役を服する奴隷とはなりましたが、エフライムの中に住んでいました。
マナセの半部族も17章12, 13節で「・・の町を占領ことができなかった。(それゆえ)カナン人はこの土地に住みとおしたとあります。・・彼らを追い払ってしまうことはなかった。
以上、「追い払うことができなかった」(15:63)、「追い払わなかった」(16:10)、「追い払ってしまうことはなかった」(17:13)と、それぞれ微妙な表現になっています。後の二つは完了形のヒフィール態で、徹底的に追い払うことができなかったようで、徹底さが欠けたことを記しています。おそらくそれはカナン人が鉄の戦車をもっていたからだと考えられます。ヨシュアに自分たちの民の数の割には相続地は小さいと抗議したエフライムとマナセに対して、ヨシュアはこの鉄の戦車をもつカナン人追い出さなければならないと語っています(17:16)。
3. ギルガルからシロへ移動した会見の幕屋
- 第三の特筆すべきことは、神の臨在の場であった会見の幕屋が「ギルガル」から「シロ」へ移動したことです。おそらくシロはエブライム族の相続地の中にあります。指導者ヨシュアがエフライム族であったがゆえにそこに落ち着いたのだと考えられます。シロはサムエル時代にペリシテとの戦いにおいて祭司エリの二人の息子ホフニとピネハスが幕屋から神の契約の箱を持ち出し、敵に奪い取られて栄光が去るまではイスラルエの全体の宗教的中心地でした。
- ダビデの治世においては、契約の箱はシオンのダビデの幕屋に安置され、会見の幕屋はエルサレムから15kmほど離れたユダ部族の町「ギブオン」に移動しています。
⇒ 「契約の箱」の歴史的経緯について
2012.4.3
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