****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

ペテロの裏切り

No.11. ペテロの裏切り

①ペテロの否認の予告

マタイ26:31~35、マルコ14:26~31、ルカ22:31~34、ヨハネ13:36~38

②ペテロの否認

マタイ26:69~75、マルコ14:66~72、ルカ22:54~62、ヨハネ18:15~18, 25 ~27

1. イエスからペテロ(岩)と呼ばれた男

  • 弟子(使徒)たちの中でいつも筆頭に名があげられるのはペテロです。彼の本名はヨハネの子シモン。彼が弟アンデレの紹介で初めてイエスに会った時、イエスから「あなたをケパ(訳せばペテロ)と呼ぶことにする」とつけられた愛称、それがペテロです。ペテロとは「岩」を意味する。彼がやがて主の恵みに聖化されるまでは、「岩」とはほど遠い存在でした。しかしイエスは、彼の本性のすべてを知りながら、「ペテロ」と呼ばれたのです。ペテロの生涯を見る時、ある者は彼の生涯から励ましを受け、ある者は諭しを見出すに違いありません。
  • ペテロの言動は極端から極端です。それは以下の言動をみると彼の性格をよく表わしています。

①彼は水の上を自信満々に歩き始めますが、数秒後には沈みながら助けを叫びました。

②彼はイエスについて「あなたこそ生ける神の子キリストです」と告白し称賛されながら、イエスの受難の予告を聞くと、すかさず「そんなことがあなたに起こるはずがありません。」と言って、イエスから「引き下がれ。サタン」と叱責を受けました。

③ゲッセマネの園へ行く途上で、イエスのためにいつでもいのちを捨てる覚悟ですと誓ったペテロに、イエスは「わたしは悲しみのあまり死ぬほどです。ここを離れないで、わたしといっしょ目をさましていなさい。」と言われても、目を覚ましている事さえできませんでした。

④群衆がイエスを捕えに来た時、ペテロは剣を抜いて戦う勇気を示しますが、イエスから「剣をもとに納めなさい。剣を取る者はみな剣で滅びます」と言われてしまいます。そんなペテロが同じ夜、大祭司の中庭で自分がイエスの弟子であることを三度も否認してしまったのです。


2. ペテロの失敗の裏にあった欠点

  • イエスが弟子たちに「あなたがたは、今晩、わたしのゆえにつまずきます。」(マタイ、マルコ)と言われた時、「たとい、全部の者があなたのゆえにつまずいたとしても、私は決してつまずきません。」と、最も強くそのことを否定したのは他ならぬペテロでした。
  • 今回の瞑想のタイトルは「ペテロの裏切り」ですが、彼はイスカリオテのユダのように、前もってイエスを裏切るという思いは彼のうちには微塵もありませんでした。ですから、「裏切り」というよりも、彼の弱さによる「失敗」と言った方がより正確かもしれません。その失敗の原因は彼が自分自身の弱さや欠点を本当に知っていなかったからです。自分の弱さや欠点を知っていれば、ある意味で失敗を防ぐことができます。しかし彼はそれを知りませんでした。彼の最大の欠点は、自分だけは大丈夫という「自信過剰」であったことです。

3. ペテロに対するイエスのとりなしの祈りとまなざし

  • 熱心で一本気な気質、大言壮語しながらも臆病な彼を、真のペテロ(岩)にさせたのは、イエスの彼に対する愛に満ちたまなざしでした。ルカの福音書では特別にペテロの失敗の予告を次のように記しています。
    「シモン、シモン、サタンがあなたがたを麦のようにふるいにかけることを願って聞き届けられました。しかし、わたしはあなたのために祈りました。だから、あなたが立ち直ったら、兄弟を力づけてやりなさい。」(22:32)
  • イエスはペテロの失敗を予告するだけでなく、彼が立ち直る布石を敷いておられました。それは彼のためのとりなしの祈りです。ペテロが失敗しないようにという祈りではなく、失敗した後に立ち直ることができるための祈りでした。
  • もうひとつ大切なことして私たちが心に留めなければならないことは、ペテロが実際にイエスの弟子であることをイエスの予告どおり三度否認したとき、一瞬ですが、イエスと目を会わせました。そのイエスのまなざしは、ペテロのすべてを見抜いていたにもかかわらず、彼のために前もって祈っておられたイエスの愛のまなざしです。このイエスの愛のまなざしに触れた時、彼ははじめて「激しく泣いた」のです。この涙には彼の人生にとって新しい出発(たびたち)を促す多くのものが含まれていたと信じます。
  • やがてペテロが真のペテロ(岩)となっていくその祝福の秘訣は、ひとえにイエスのとりなしの祈りと恵みに満ちた愛のまなざしがあったからだと信じます。これはいつの時代においても真理であり、この私も同じ恵みに支えられていることを告白します。失敗が失敗で終わることなく、それを祝福に変えることのできる唯一の方、主の御名がほめたたえられますように。

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