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「わたしはあなたのために一つの家を造る」

33. 「わたしはあなたのために一つの家を造る」

【聖書箇所】 7章1節~29節

はじめに

  • この章は「ダビデ契約」と言われる重要な章です。ダビデが立派なツロの杉材で王宮を立てた後に、ダビデは自分が立派な家に住んでいるのに、神の箱が粗末な天幕の中にあることに良心の責めを感じて預言者ナタンに対して相談しています。それはダビデが主のために家を建てたいということです。それに対してナタンは「あなたの心にあることをみな行いなさい。主があなたとともにおられるのですから。」と言います。しかし、その夜、主のことばがナタンに告げられ、ナタンはそれをダビデに語りました。その内容が5節~16節に示されています。18節以降はそれに対するダビデの「感謝の祈り」が記されています。

1. 「わたしはあなたのために一つの家を建てる」という主の約束

  • 預言者ナタンから語られた主のことばはダビデにとって想定外の内容でした。自分が主のため家を建てたいと願っていたにもかかわらず、それは許されず、「主がダビデのために一つの家を作る」(11節)という約束を聞いたからです。その「家」(「バイト」בַּיִת、単数)とは、ダビデの住む家のことではなく、ダビデの子孫、ダビデの王族としての家系を意味します。「作る」と訳された原語は「アーサー」(עָשָׂה)、新共同訳は「(家を)興す」と訳しています。実際的には、ダビデから生まれる世継ぎとしての子孫(単数)が、すなわちソロモンが主のための家を建てること、そして主はソロモンの王国の王座をゆるぎないものとして、永遠に堅く建てる(据える)という約束です。そしてそのソロモンの王座は、ソロモンよりもはるかに勝る王であるイエス・キリストをも視野に入っているのです。これが「ダビデ契約」と言われるものです。神の一方的なゆるぎない約束です。
  • この「ダビデに対して語られた約束」のゆえに、ダビデの王国(別名、ユダ王国)は、やがて神への背きの罪のゆえに国を失い、バビロンの捕囚の民となりますが、それは神がご自身の民を新しくリセットするための厳しい計らいであり、決してダビデの家を見捨てられたわけではありませんでした。それは主の民に対する「ヘセド」(恵み、いつくしみ、愛)のゆえであり、契約に対する神の側の責任を行使されたからです。

2. 神の約束に対するダビデの「感謝の祈り」

  • 主がダビデに「あなたの家とあなたの王国とは、わたしの前にとこしえまでも続き、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。」(16節)と約束されたことに対して、ダビデは感謝のことば(祈り)をささげています。

「私がいったい何者であり、私の家が何であるからというので、あなたはここまで導いてくださったのですか(18節)。・・

この私はあなたの御目には取るに足りない者でしたのに、あなたはこのしもべの家にも、はるか先のことまで告げてくださいました(19節)。・・・

どうか、神、主よ。あなたが、このしもべとその家について約束されたことを、とこしえまでも守り、あなたの約束どおりに行ってください(25節)。・・・

あなたは、このしもべの耳にはっきり、『わたしが、あなたのために家を建てる。』と言われました(27節)。・・・

あなたのことばはまことです。あなたは、このしもべに、この良いことを約束してくださいました(28)。・・

主よ。あなたが、約束されました(29節)。」

  • この祈りには、ダビデが主を恐れる謙遜さと神の約束を信仰によってしっかりと受け止めようとしている姿が見られます。まさに、「神に愛される者」という意味の「ダビデ」という名の実質を見る思いがします。
  • また、このダビデの祈りには、神が「約束された」という表現が多く使われています。原語では「ダーヴァル」(דָּבַר)の強意形ピエル態が使われています。へブル語には「約束する」という意味の動詞はありません。なぜなら、神が語られたことはすべてその通りに実現されるからです。「約束」といえども、それは決して空約束に終わることはなく、必ず実現されるのです。その約束を再度心に刻みたいと思います。

「あなたの家とあなたの王国とは、わたしの前にとこしえまでも続き、あなたの王座はとこしえまでも堅く立つ。」(16節)

2012.7.20


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