「キション川」の地理的背景に啓示される神の救いの戦略
列王記の目次
19. 「キション川」という地理的背景に啓示されている神の救いの戦略
【聖書箇所】18章1節~46節(特に、40節)
はじめに
- この章は、有名な「カルメル山の戦い」とされる部分です。ここで40節にのみをフォーカスして、その節に出て来る「キション川」の地理的背景が持つ、神の特別な戦略について考えます。
- まず舞台となっている地図を広げてみます。
- ヨルダン川の東にあるエリヤの出身地ティシュベがあります。その近くにエリヤが身を隠したケリテ川があります。首都であるサマリヤ。そして西の海沿カルメル山が確認できます。イズエレルの平地が確認できます。キション川の中流、上流の付近には、地図にはありませんが、北にタボル山、西南にはメギドの町があります。
- 「キション川」付近での戦いは、エリヤの時代だけではありません。士師記の時代から、やがて最終戦争の「ハルマゲドン」の戦いもこの地域で繰り広げられるのです。
1. 士師記4, 5章にある戦い
- ここでの戦いは、ヤビンの将軍シセラと女預言者デボラ、およびバラクとの戦いです。敵は戦車九百両という強大な戦力を持っていましたが、そのシセラの軍隊は、イズレエル平原ノキション川で、デボラとバラクの軍隊にわって敗北します。
- デボラは勝利の歌を記しています。
【新改訳改訂第3版】士師記5章19~21節
19王たちはやって来て、戦った。そのとき、カナンの王たちは、メギドの流れのそばのタナクで戦って、銀の分捕り品を得なかった。20天からは、星が下って戦った。その軌道を離れて、シセラと戦った。21キション川は彼らを押し流した。昔からの川、キションの川。私のたましいよ。力強く進め。
2. 列王記第一 18章の戦い
- ここでの戦いは、預言者エリヤと北イスラエルの王国のアハブの妻イゼベルの食卓をつく450人のバアルの預言者との戦いです。
- 主が神であるのか、それともバアルが神であるのか、真の神はどちらかという戦いでした。北イスラエルの王国がイゼベルによって完全に異教化してしまった暗黒時代における霊的戦いが、カルメル山を舞台になされました。軍配はエリヤの神が勝利し、民たちはこぞって、「主こそ神です」言わざるを得ませんでした。
- その時、エリヤは民たちに命じます。
Ⅰ列王記 18:40
「バアルの預言者たちを捕らえよ。ひとりものがすな。」彼らがバアルの預言者たちを捕らえると、エリヤは彼らをキション川に連れて下り、そこで彼らを殺した。
3. 歴代誌第二35章にある戦い
- ここでの戦いはユダの王ヨシヤとエジプトの王ネコとの戦いです。すでに北イスラエルの王国はアッシリヤによって滅ぼされています。ヨシヤとエジプトの王が戦った場所はメギドの平地です。メギドはやがて最終戦争の舞台となる「パルマゲドン」(メギドの丘)の場所です。その西にはカルメル山があります。
Ⅱ歴代誌 35章20~22節
20 すべてこのように、ヨシヤが宮を整えて後、エジプトの王ネコが、ユーフラテス河畔のカルケミシュで戦うために上って来た。そこでヨシヤは、彼を迎え撃ちに出て行った。
21 ところが、ネコは彼のもとに使者を遣わして言った。「ユダの王よ。私とあなたと何の関係があるのですか。きょうは、あなたを攻めに来たのではありません。私の戦う家へ行くところなのです。神は、早く行けと命じておられます。私とともにおられる神に逆らわずに、控えていなさい。さもなければ、神があなたを滅ぼされます。」
22 しかし、ヨシヤは身を引かず、かえって、彼と戦おうとして変装し、神の御口から出たネコのことばを聞かなかった。そして、メギドの平地で戦うために行った。
- この戦いでヨシヤは命を落とします。しかし彼の死によって南ユダは神のご計画を大きく推進することになります。というのは、この戦いでエジプトは大きな痛手を受け、結局、バビロンがアッシリヤを打ち倒して、ユダの民がバビロン捕囚することになるからです。これは神のご計画でした。
- ヨシヤとエジプトのネコとが戦った場所は、「キション川」が流れる「メギドの平地」だったのです。そこは歴史を動かした重要な戦いの場所でした。
4. 最終戦争をするために諸国の民が集められた「ハルマゲドン」
- 終わりの時、エルサレムにおいて、この世の暗やみの主権、サタンの勢力が「天の軍勢」との最後の決戦をするために、諸国の民を集めた場所が「ハルマゲドン」であることが、すでに聖書によって預言されています。
ヨハネの黙示録16章12~16節
12 第六の御使いが鉢を大ユーフラテス川にぶちまけた。すると、水は、日の出るほうから来る王たちに道を備えるために、かれてしまった。
13 また、私は竜の口と、獣の口と、にせ預言者の口とから、かえるのような汚れた霊どもが三つ出て来るのを見た。
14 彼らはしるしを行う悪霊どもの霊である。彼らは全世界の王たちのところに出て行く。万物の支配者である神の大いなる日の戦いに備えて、彼らを集めるためである。
15 ─見よ。わたしは盗人のように来る。目をさまして、身に着物を着け、裸で歩く恥を人に見られないようにする者は幸いである─
16 こうして彼らは、ヘブル語でハルマゲドンと呼ばれる所に王たちを集めた。
- 戦いの結果は、すでにシセラの軍隊がデボラとバラクの軍隊に敗北したように、神に敵対する暗やみの軍勢はここ「ハルマゲドン」において敗北します。シセラの軍隊は「メギド」と「キション川」近辺である「タナク」(イズレエル平原の南端)という大平原場で行われました。
- 神に敵意する勢力に対して、詩篇83篇の作者は、9節で次のように記しています。
どうか彼らを、ミデヤンや、キション川でのシセラとヤビンのようにしてください。
2012.10.11
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