****** キリスト教会は、ヘブル的ルーツとつぎ合わされることで回復し、完成します。******

しかし、ルツは彼女にすがりついた

文字サイズ:

89. しかし、ルツは彼女にすがりついた

【聖書箇所】 ルツ記1章14節

画像の説明

【読み】
ヴェート ダーヴェー ーッハ

【文法】
画像の説明

【翻訳】

【新改訳改訂3】
ルツは彼女にすがりついていた。
【口語訳】
ルツはしゅうとめを離れなかった。
【新共同訳】
ルツはすがりついて離れなかった。
【岩波訳】
ルツは姑のもとを離れなかった。
【関根訳】
ルツは決して離れようとしなかった。
【NKJV】 【NIV】
but Ruth clung to her.
【LIB】
しかしルツは、何としてもナオミのそばから離れようとしません。

【瞑想】

1章14節の中にあるとても短いフレーズですが、その一つひとつの単語の中に、歴史を大きく変えるほどの意味が含まれています。

1章14節の全文は「彼女たちはまた声をあげて泣き、オルパはしゅうとめに別れの口づけをしたが、ルツは彼女にすがりついていた。」となっています。
ナオミは二人の嫁と一度はモアブからベツレヘムへ一緒に帰りかけますが、ナオミは彼女たちのことを思い、また自分にとっても重荷となることを考慮し、彼女たちに自分の実家に帰ることを勧めます。三度目の「帰りなさい」というナオミの勧めに対して二人の嫁はそれぞれ決断しました。オルパは自分の実家に帰ることを決断し、ルツはナオミと一緒に行くことを決断したのです。

なにゆえに、ルツはナオミにすがりついたのでしょうか。「すがりつく」と訳されたヘブル語は「ダーヴァク」(דָּבַק)です。関根訳は「ルツは決して離れようとはしなかった」と訳しています。この「ダーヴァク」(דָּבַק)という動詞が聖書ではじめて登場するのは創世記2章24節です。そこでは男は女と「結び合い」という箇所で使われています。「結び合う」とは、男と女のふたりが一体となるとことです。他にも、惹かれる、まといつく、離れない、つき従う、堅くくっつくという意味があります。

「すがりつく」ということばはルツ記1章のキーワードと言えます。なぜなら、ルツのナオミに対するすがりつきは、きわめて不思議なすがりつきで、ある種の神秘性を帯びています。というのは、このすがりつきが、ルツにとっても、また姑のナオミにとっても想定外の祝福と神の奥義をもたらすことになるからです。

ナオミとルツとの出会いは、ルツがナオミの息子のキルヨンの嫁となったことがそもそもの発端ですが、人間の思いをはるかに越えた出会いということができます。ルツのナオミに対する「すがりつき」は、ナオミの人間性と神に対する信仰面の二つの影響が考えられます。このルツの「すがりつき」は、自分がナオミについて行くことでナオミに迷惑がかかることを承知の上での「すがりつき」です。また、後にベツレヘムに帰ったときにナオミが故郷の人々に吐露する神への愚痴を聞いても決してひるまかったことにも表されています。

もしルツがナオミの表面的な部分だけを見て「すがりついた」としたなら、ここで確実につまずくはずです。ところがルツはナオミにつまずきまいていません。こうしたところに、ルツがナオミにすがりついたことの不思議さを見ることができます。つまり、ルツがナオミにすがりついたのは、神によって定められていたとしか言いようがありません。夫婦の出会いと同様、ナオミとルツとの出会いはきわめて宗教的な事柄―つまり自分のことでありながら、自分で操作できない事柄―であったということです。この出会いの神秘性は、ルツ記の第2章において見る「ルツとボアズとの出会い」においても言えることなのです。


2013.5.14


a:3035 t:1 y:1

powered by Quick Homepage Maker 5.2
based on PukiWiki 1.4.7 License is GPL. QHM

最新の更新 RSS  Valid XHTML 1.0 Transitional