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アロンの祝祷

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121.  アロンの祝祷

【聖書箇所】 民数記 6章24~26節

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【読み】
イェヴァーレフハー アドナーイ ヴェイシェメレハー
ヤ―エール アドナーイ パーナーヴ エーレハー ヴィフネッカー
イッサー アドナーイ パーナーヴ エーレーハー ヴェヤーセーム レハー 
シャーローム

【文法】
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【翻訳】

24節
【新改訳改訂3】
『【主】があなたを祝福し、あなたを守られますように。
【口語訳】
「願わくは主があなたを祝福し、/あなたを守られるように。
【新共同訳】
主があなたを祝福し、あなたを守られるように。
【NKJV】
The Lord bless you and keep you;
【NIV】
The LORD bless you / and keep you;


25節
【新改訳改訂3】
【主】が御顔をあなたに照らし、あなたを恵まれますように。
【口語訳】
願わくは主がみ顔をもってあなたを照し、/あなたを恵まれるように。
【新共同訳】
主が御顔を向けてあなたを照らし/あなたに恵みを与えられるように。
【NKJV】
The Lord make His face shine upon you,And be gracious to you;
【NIV】
the LORD make his face shine upon you / and be gracious to you;


26節
【新改訳改訂3】
【主】が御顔をあなたに向け、あなたに平安を与えられますように。
【口語訳】
願わくは主がみ顔をあなたに向け、/あなたに平安を賜わるように」
【新共同訳】
主が御顔をあなたに向けて/あなたに平安を賜るように。
【NKJV】
The Lord lift up His countenance upon you, And give you peace.
【NIV】
the LORD turn his face toward you / and give you peace.


●ここでの単数の「あなた」はイスラエルの集合人格としての「あなた」です。

【瞑想】

アロンの祝祷は三つの文節からなり、それぞれ二つの動詞を有しています。

最初に登場する「バーラフ」(בָּרַךְ)は、礼拝において、神が人に対して使われる場合には「祝福する」と表現され、人が神に対して使う場合には「ほめたたえる、賛美する」と表現されます。「ひさまずく」という意味もあります。

祝福するということは、神がその御顔を人に向けられるということであり、親しいかかわりを意味します。神は良いものを与えることを喜びとされる方であるという信仰がその背景にあります。

アロンの祝祷の中で祈られている祝福の内容は以下の三点です。
(1) 生存と防衛の保障・・「シャーマル」(שָׁמַר)
「守られるように」とは、人間の最も基本的なニーズである「生存と防衛の保障」が与えられるようにという祈りです。この保障を神にのみ求められることを神は最も喜ばれます。その保障を神にではなく、偶像に求めるときに、神はとても怒られる方です。それは神の歴史があかししています。使徒パウロは「私の神は、キリスト・イエスにあるご自身の栄光の富をもってもあなたがたの必要をすべて満たして下さいます。」と述べています(ピリピ4:19)。

(2) 「神の恵み(あわれみ)によって生きること」・・「ハーナン」(חָנַן)

主は「あわれみ豊かな方」です。出エジプト記33章19節には「わたしは恵もうと思う者を恵み、あわれもうと思う者あわれむ。」とその主権性が宣言され、イザヤ書30章18節では「主は、あなたがたに恵もうと待っておられ、あなたがたをあわれもう(חָנַן)と立ち上がられる。」と、今にも思いが行動となって表わそうとする熱い心情を述べています。

このように神が「あわれむ」とは、単に心情だけにとどまることなく、必ず具体的なことが施されるのです。新改訳ではイエスのあわれみ(スプラングニゾマイ)が「かわいそうに思う」と訳されていますが、この動詞は「同情+具体的行動」をその内容としています。つまり、この動詞が出で来るときには、必ず、なんらかの主のあわれみの行動が起こされているのです。それゆえ、私たちの歩みにおいて、おりにかなった助けを受けるために、大胆に、あわれみ深い主の前に近づくべきです。

(3) 祝福の総称としての平安が人生のすべてに置かれること・・「シャーローム」(שָׁלוֹם)

「平安」ということばは、ギリシャ語では「エイレーネー」εἰρήνηということばです。パウロはこのことばを、ヘブル語の「シャーローム」(שָׁלוֹם)の内実をそのまま表わすことばとして使っています。「シャーローム」とは、単なる争いのない状態としての平和とか、心理的な平安という意味ではなく、神が私たちに与えようとしている「祝福の総称」です。

むしろ「シャーローム」は、以下にあげるように、力と生命に溢れた動的な状態をいいます。
● 平和 (対国、対神、対人) ・・・和平、和解
● 平安 (個人的)・・・平穏、無事、安心、安全
● 繁栄 (商業的)
● 健康 (肉体的、精神的) ・・・健全、成熟
● 充足 (生命的) ・・・満足、生きる意欲
● 知恵 (学問的) ・・・悟り、霊的開眼
● 救い (宗教的) ・・・暗闇から愛の支配へ
● 勝利 (究極的) ・・・罪と世に対する勝利


以上、アロンの祝祷に込められた祝福の祈りを理解しながら、日々、自分だけでなく、人のためにとりなすときにも、この祈りを祈るようにしたいものです。


  • 名尾耕作著「旧約聖書名言集」(講談社学術文庫)によれば、「み顏」とは、主の現在・啓示・恵みを意味し。主の顔が民を「照らす」とか民に「向け」というとき、それは主との恵みの関係に入ることで、主が顔を「隠す」(申命記31:17~18など)とか民から顏を「そむける」(レビ20:3, 5)というとき、それは神が恵みの関係を絶つということで、神が民を罰する場合の擬人的表現だと説明しています(85頁)。


2013.7.25


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