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イスカリオテのユダが首を吊る


13. 午前5時~午前6時 イスカリオテのユダが首を吊る

【聖書箇所】
マタイの福音書27章3~10節

ベレーシート

●イスカリオテのユダの自殺はマタイの独占記事であり、並行箇所はありません。この箇所の中に、前回扱った「引き渡す」ことを意味する「パラディドーミ」(παραδίδωμι)が二回使われています。まずはその箇所を見てみましょう。新改訳ではいずれも「売った」と訳しています。

【新改訳改訂第3版】マタイの福音書27章3~10節
3 そのとき、イエスを売った(παραδίδωμι)ユダは、イエスが罪に定められたのを知って後悔し、銀貨三十枚を、祭司長、長老たちに返して、
4 「私は罪を犯した。罪のない人の血を売った(παραδίδωμι)りして」と言った。しかし、彼らは、「私たちの知ったことか。自分で始末することだ」と言った。
5 それで、彼は銀貨を神殿に投げ込んで立ち去った。そして、外に出て行って、首をつった。
6 祭司長たちは銀貨を取って、「これを神殿の金庫に入れるのはよくない。血の代価だから」と言った。
7 彼らは相談して、その金で陶器師の畑を買い、旅人たちの墓地にした。
8 それで、その畑は、今でも血の畑と呼ばれている。
9 そのとき、預言者エレミヤを通して言われた事が成就した。「彼らは銀貨三十枚を取った。イスラエルの人々に値積もりされた人の値段である。
10 彼らは、主が私にお命じになったように、その金を払って、陶器師の畑を買った。」


1. イェシュアを売ったことを後悔したユダ

●イェシュアが罪に定められ、死刑にされることを知ったユダは自分の取った行動を後悔しました。イェシュアの逮捕に協力したものの、その結果イェシュアを死刑に至られせてしまったことは全の想定外だったと思います。イェシュアが最高議会からローマ総督に引き渡されるにおよんで、彼は受け取った銀貨30枚を返却しただけでなく、首を吊って自殺するという悲劇的な結末を迎えることとなってしまいました。

●ユダだけでなく、ペテロもイェシュアを裏切りましたが、その結末は対照的です。その違いはユダが後悔したに過ぎなかったのに対し、ペテロは神に立ち返ったことでした。「後悔」と神へ立ち返る「悔い改め」とは全く異なるということです。前者の「後悔する」とは、「残念に思う」とか、「まずいことをしたと考える」ことですが、後者の「悔い改める」とはありのまま神に立ち返ることを意味します。残念なことに、ユダは神に立ち返って助けを求めようとはしませんでした。

●ユダに対してもイェシュアは忍耐強く、ごまかしの歩みから神に立ち返るようにと何度もそのチャンスを与えてきました。しかしユダの心は変わらず、金銭を愛してしまい、サタンが彼の心を支配することを許してしまったのです。「私は罪を犯した。罪のない人の血を売ったりして。」(4節)とユダが後悔した時には、時すでに遅しでしたが、ある意味、このユダの発言はイェシュアの無罪性を証言しているとも言えます。

2. イェシュアを売った金で旅人たちの墓地が買われた

●ユダは受け取った銀貨30枚を返却しようとしましたが、「私たちの知ったことか。自分で始末することだ」と一蹴されてしまいます。「自分がしたことは、自分で責任を取れ」とばかりに、拒絶されてしまったのです。

●ユダはその金を神殿に投げ込んで後、首を吊って自殺したのです(5節)。祭司長たちはその金を神殿の金庫に戻すのは良くないと考え、相談して、陶器師の畑を買い、旅人たちの墓地にしたのです。つまり、きよくない金であるゆえに、きよくない人のために、きよくない土地を購入しようと決めたのです。ここでの「旅人」とは、散らされた羊の群れ、すなわち、失われた10部族のことだと解釈する人もいます。

●このことをマタイはエレミヤの預言が成就したと語っていますが、厄介なことに、似たような出来事はあっても、預言と言える的確な内容がエレミヤ書には出てこないのです。ゼカリヤ書11章13節に、「『彼らによってわたしが値積もりされた尊い価を、陶器師に投げ与えよ。』そこで、私は銀三十を取り、それを主の宮の陶器師に投げ与えた。」とあります。「尊い価」というのは皮肉な表現であり、これまでの労苦に比べるなら全く合わない金額という意味です。ここでの銀三十というのは奴隷一人の値段であり、ユダがイェシュアを売った額と同じだということです。


2015.3.23


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