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エルサレム崩壊の預言

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1. エルサレム崩壊の預言

【聖書箇所】1章1~16節

ベレーシート

  • 預言書にはほとんどと言って良いほど、「審判(さばき)」と「回復(救い)」の預言がセットになっています。それは「救いの表裏」なのです。さばきのない救いは救いではなく、救いのないさばきも神のさばきではありません。ミカ書には「エルサレム崩壊」というさばきと終末におけるメシア王国での「エルサレム」の回復が預言されています。「エルサレム」は神のご計画においてきわめて重要です。ですから「エルサレム」は、神にとって常に「こだわり項目」です。

1. ミカの預言活動の時期について

【新改訳改訂第3版】ミカ書1章1節

ユダの王ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に、モレシェテ人ミカにあった【主】のことば。これは彼がサマリヤとエルサレムについて見た幻である。

  • 1節には三人の王の名前があります。ミカが預言者として活躍した時期が以下の三人の王ー「ヨタム」(B.C.750~732)、「アハズ」(同、732~716)、ヒゼキヤ(同、716~687)ーの治世にまたがっているということです。ちなみに、預言者イザヤの場合は、ヨタムの前の王「ウジヤ」の治世から始まっています。
  • ミカの預言の中には、北イスラエルの首都サマリヤを野原の廃墟とするという預言があります(1:6~7)。サマリヤ陥落はB.C.722年ですから、ユダの王アハズ、ヒゼキヤの治世の頃に、ミカは預言者として活躍したと考えられます。ミカは南ユダのエルサレムの陥落についても預言しますが(1:9~16)、ヒゼキヤが悔い改めて主に助けを求めたことから、エルサレムの陥落は100年ほど延期されることになります。しかし、結局のところ、ユダは神のさばきを免れることができませんでした。

2. ミカの預言したエルサレムに対する神のさばき

  • エレミヤがエルサレムの陥落を預言する前に、同じくそのことを預言したミカについての記述があります。

    【新改訳改訂第3版】エレミヤ書26章18節
    「かつてモレシェテ人ミカも、ユダの王ヒゼキヤの時代に預言して、ユダのすべての民に語って言ったことがある。『万軍の【主】はこう仰せられる。シオンは畑のように耕され、エルサレムは廃墟となり、この宮の山は森の丘となる。』

  • ミカの預言は約1世紀後のエレミヤの時代にも知られていたということは、ミカが語った預言が当時の人々にも強い印象を与えていたことを示しています。
  • ミカは、エルサレムの陥落がサマリヤと同じ罪によるものだとしています。その罪とは、神を信頼せずに偶像を礼拝していることです。まことの神に頼らずにアッシリヤやエジプトと手を組んだりすることは偶像礼拝の罪なのです。その罪の恐ろしさが語られています。

    【新改訳改訂第3版】ミカ書1章6~7節

    6 わたしはサマリヤを野原の廃墟とし、ぶどうを植える畑とする。わたしはその石を谷に投げ入れ、その基をあばく。
    7 そのすべての刻んだ像は打ち砕かれ、その儲けはみな、火で焼かれる。わたしはそのすべての偶像を荒廃させる。それらは遊女の儲けで集められたのだから、遊女の儲けに返る。

  • エルサレムがそむきの罪のために主のわざわいがもたらされるとき、ユダの町々もそのわざわいに巻き込まれて敵に奪い取られます。ここでの敵はアッシリヤですが、イザヤ書には神のさばきの道具として用いられる「アッシリヤ」という語彙が42回も使われているのに対し、ミカ書の場合はほんのわずかしか使われていません(3回)。エルサレムの陥落はミカの時代には免れますが、ユダの町々のほとんどがアッシリヤの軍勢によって破壊され略奪されてしまいました。
  • そのひとつ、ユダの要塞都市と言われた「ラキシュ」(エルサレムから南西に45キロ)も、エルサレムを包囲し攻略しようとするアッシリヤの橋頭堡とされてしまいます。

3. エルサレムに対する神の審判のゆえに悲しみを表わすミカ

【新改訳改訂第3版】ミカ書1章8~9節
8 このために、わたしは嘆き、泣きわめき、はだしで、裸で歩こう。わたしはジャッカルのように嘆き、だちょうのように悲しみ泣こう。
9 まことに、その打ち傷はいやしがたく、それはユダにまで及び、わたしの民の門、エルサレムにまで達する。

  • ミカの悲しみの中には、自分の出生地である「モレシェテ」もアッシリヤによって略奪されたことが含まれているかも知れません。「モレシェテ」(ヘブル語は「モーラシュティー」מוֹרַשְׁתִי)は「所有」を表わす名詞。その語源は動詞の「ヤーラシュ」(יָרַשׁ)です。しかし神によって与えられ、所有した土地が敵に奪われるだけでなく、神の都エルサレムが滅びることはそれ以上に悲しむべきことなのです。
  • ミカはエルサレムに対しても呼びかけます。「あなたの喜びとする子らのために、あなたの頭をそれ」(1:16)と。ここでの「あなた」は二人称単数女性形です。「あなたの頭をそれ」(口語訳は「あなたの髪をそり落とせ」)とは悲しみを表わしますが、その内実は、子らがやがて捕囚となる運命だからです。また、「彼らが捕らえられて、あなたから去って行った」(1:16)の「去って行った」は預言的完了形です。やがて、必ず、そうなることを意味します。
  • このことは、イェシュアがエルサレムのために涙を流されるシーンと重なります。

    【新改訳改訂第3版】ルカの福音書19章41~44節
    41 エルサレムに近くなったころ、都を見られたイエスは、その都のために泣いて、
    42 言われた。「おまえも、もし、この日のうちに、平和のことを知っていたのなら。しかし今は、そのことがおまえの目から隠されている。
    43 やがておまえの敵が、おまえに対して塁を築き、回りを取り巻き、四方から攻め寄せ、
    44 そしておまえとその中の子どもたちを地にたたきつけ、おまえの中で、一つの石もほかの石の上に積まれたままでは残されない日が、やって来る。それはおまえが、神の訪れの時を知らなかったからだ。」


2014.12.12


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